十勝東部森林管理署斗満森林事務所は、十勝の北部に位置する「日本一しばれる町」陸別町西部の国有林10,388haを管理しています。

陸別町は、周りを山に囲まれた盆地であるため、夏は30℃超え、冬は－30℃を超えることもあり、寒暖の差が非常に激しいことでも有名です。

毎年2月は人間耐寒テスト等を行う「しばれフェスティバル」が開催されるなど、寒さを観光資源としている町です。なお、「第31回しばれフェスティバル」は、平成24年2月4日(土)～5日(日)に開催されます。 

 

平成18年低気圧被害地跡のトドマツ植林地と斗満国有林

斗満（トマム）は、アイヌ語で「湿地のところ」という意味で、国有林内も沢が多い地域です。

また、管内の山は比較的緩傾斜地で、人工林はアカエゾ、トドマツが主体となっています。

下層植生は、クマイザサで、場所によって笹深いところもあり、調査の際は笹に埋もれながら漕ぎ分けて歩いて行くこともあります。

また、森林内ではエゾシカやクマゲラ、タヌキ等の野生動物も見られ、このような（ヒグマ以外の）動物に出会えることも楽しみの一つです。今年は管内で、白い鹿を見たときは驚きました。 

管内の森林の大部分は水源かん養保安林に指定され、吸い込んだ雨をゆっくり下流に流すことで洪水、渇水を防ぐ等、地域の暮らしを支えています。また、地域においしい水を提供する水源地にもなっています。

森林事務所では、このような森林を育てていくため、様々な仕事を行っています。

仕事内容は多岐に渡りますが、当事務所では夏は主に収穫調査、冬は地林況調査を行っています。

収穫調査は、間伐等をするための事前の調査で、伐採する木を選び直径を測ります。間伐は、込みすぎた森林の木を抜き切りをすることにより、植栽木を成長させ水源かん養機能等を高めるために行うものです。

冬に行う地林況調査は、その山にどれだけの材積（木の体積）の樹木があり、今後どのような施業を行うべきか決めるための調査です。収穫調査同様に樹木の直径を測り、森林内にある樹木の体積を算出し、今後の施業方法を決めていきます。

その他、樹木の植え付け、下刈り等の造林事業の監督や、森林整備に欠かせない林道、作業道の維持修繕作業を行う等、ほぼ毎日森林内で仕事をしています。一見、毎日の山歩きは女性には大変のように思われますが、初めて見る動物や植物の名前を覚えたり、季節ごとに新緑、紅葉、雪景色と日々変化する景色を見て働けることはこの仕事の魅力で、大変な中にも楽しみが多いと感じています。

 

帰所するときに見られる雌阿寒岳

山頂の真っ白い景色の中で撮った集合写真

斗満森林事務所管内では、毎年、10月第1日曜日に陸別町、町教育委員会、町体育連盟主催の北稜岳町民登山会が開催されています。

今年は、10月2日(日)に開催され、陸別森林事務所首席森林官と2名で参加しました。
参加者は野球少年団の子供達を含む約70名で、開会式の後、元気よく山頂を目指しました。

途中、陸別では今年初となる雪が降る中、滑りやすい道を注意して歩きロープを伝う難所を乗り越えて、山頂までの登山を楽しみました。

山頂は、あいにくの悪天候で真っ白い景色でしたが、晴れた日には山頂から東大雪山系や雌阿寒、斜里岳まで望めるそうです。

北稜岳は、歩道が広く学校登山や家族登山には適した山だと思いますので、山の景色や運が良ければ見れるというナキウサギを是非見にきてください。

※ 北稜岳は、斗満森林事務所西部にある登山口から登る標高1,254mの山で、町の山岳会「陸別北綾山岳会」が東三国山から尾根づたいに縦走したとき、この無名の山が前方にあるのを見つけ、山岳会の名をとって名付られました