清里森林事務所は、知床半島の西側の付け根である清里町に所在し、約7,400ヘクタールの国有林を管理しています。
また、当森林事務所は川本森林事務所、青歯森林事務所、緑森林事務所との合同事務所となっており、4森林事務所の管理面積は約27,600ヘクタールで、森林率が約70%である清里町の森林の約9割を国有林として守り育てています。

農村風景 南斜里岳を望む
知床連山と阿寒・摩周火山群の中間にそびえる斜里岳(1,545m)は、全域が国有林で、根室管内との分水嶺となっています。
道東ならではの針広混交林が見られ、斜里岳から北西方向には広大な農地が広がっています。小麦、ビート、ジャガイモが畑作3品といわれ、斜里岳から吹き下ろす強風から農作物を守る防風林と共に、美しい農村景観をつくりだしています。

稜線からオホーツク海方面を望む
また、年間7,8千人が登山に訪れる斜里岳は清里町のシンボルとなっています。深田久弥による日本百名山のひとつで、多くの人を魅了する、見ても登っても楽しい山です。千島火山群に属し、最近?の噴火は25万年前との記録があります。管内にも火山礫が見られ、温泉が湧き出しています。

じゃがいも焼酎工場
一方、斜里岳を源流とする斜里川は、上・中流が日本一きれいな河川(環境省)に選ばれたこともあり、周辺の森林と共に、ヒグマやイトウをはじめ多くの動植物の生息・生育地環境を整えています(大局的にエゾシカの増加問題がありますが)。また、山の腐葉土にしみ込んだ雨が多くの湧水として支流をなし、栄養とミネラルをオホーツク海にもたらし、海域の生態系を豊かにすることが分かっています。途中、流域の畑地を潤しながら。文字通り、斜里岳が生み出す恵みの川となっています。

雄鹿の滝 斜里岳の銀領水が岩から湧き出している(上流に川はない)

神の子池 摩周湖の伏流水が湧き出している(斜里川中流に流れ込む)
この地域でも、こうした森林環境を絶やすことなく明治末期から森林づくりが進められてきました。林業が基幹産業だった時代もあり、森林の状況についての調査や立木の伐採・搬出(昭和30年頃までは森林鉄道が走っていました)、その後に植えて手入れをする、林道・作業道の管理、木材加工など、様々なかたちで多くの人が森林づくりに係わってきました。

初秋の斜里岳
現在、清里合同森林事務所では、10名の職員がそれぞれの山見の技術を持ち寄って、国有林の森林資源について、向こう5年間の管理方法を計画するために森林調査をしているところです。動植物の状況や被害木の有無、立木の成育状況や下刈り・間伐等の手入れの必要性、木材利用する山は伐採の適期、作業道の状況、崩壊地や水源地の下流域への影響など、調査項目は多岐にわたります。森林の現況を把握することは、健全な森林環境を維持する上で重要な作業のひとつとなっています。

斜里川の流れ
林業・林産業全体では、従事者不足や木材需要(国産材利用率)の低迷等、森林のもつ多くの機能を持続的に発揮していく上で難しい問題を抱えています。そのなかで、自然が相手ではありますが、将来的に目指していく森林のすがたを考えつつ、地域にある森林づくりに係わっていけるよう、山見の技術を高めていきたいと思っております。
網走南部森林管理署
清里森林事務所
斜里郡清里町羽衣町27-12
電話0152-25-3164
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前列左から「青葉森林官」、深津、「川本森林官」
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