空知森林管理署 紅葉山森林事務所 土屋 修久
私が勤務する紅葉山森林事務所は夕張市の国道274号線沿いにあり、およそ7,000ヘクタールの国有林を管理しています。
当森林事務所の国有林は主に夕張市の南側に位置し、栗山町・由仁町・夕張市にまたがっており、夕張の中心部と比べて降雪が遅く雪解けが早い、北海道内では比較的温暖なところです。
沼ノ沢や紅葉山の町は、それぞれ炭鉱・林業の町として栄え、国有林はそれらの産業を支えるフィールド、あるいは里山や水源涵養の森として地域の方々と深い関係を持ってきました。
地形も里山らしく、ポッコリとした形の山がならんでおり、その代表格が夕張市の南部にある鬼首山(おにくびやま、標高641m)で、夏場は多くの登山者が訪れます。

鬼首山
紅葉山国有林内には試験的なフィールドも多く存在します。試験地にはコーカサスモミ、ムラヤナマツ、バンクスマツなどの見慣れない樹種の人工林があり、個性豊かな魅力にあふれています。

試験地の精英樹 天然更新の様子
(成長が特に優れた木)
管内には御料林(皇室の財産である森林)として管理された歴史をもつ箇所もあります。

御料林の境界石
御料林の名残である境界石には「宮」の字が彫られています。
春先(4月~5月)には、笹がまだ雪に埋もれており歩きやすいのを利用し、主に間伐調査を行っています。
写真はカラマツの人工林で、今後さらに成長させるため、間引く木を選んでいるところです。

伐る木を明示する極印を打つ 輪尺を使って木の太さを調査する
(輪尺:木をはさんで太さを測るノギスのような道具)
調査木に目印をつける 調査に使う道具
木の根元を削って極印(金槌のような形をした叩いて印をつける道具)を打ち込み、輪尺で直径をはかって野帳に記入し、さらに伐採時に分かりやすいように、ピンク色の見出しテープをつけます。
残った木が将来の森や環境を決めていくため、経験豊富な職員とともに良い森へ誘導できるよう伐採木を選びます。
こうして仲間たちと自然に対して向き合い、夕張の森や山を見続けていると、夕張という民族の一員になった気になります。
厳しい自然の中に入っていく同僚は、単に業務を遂行するパートナーを超え、自然との向合い方を教わる父であり、切磋琢磨する兄弟であり、互いに身を守りあう戦士であり、いつも心強く励まされています。
これからも紅葉山、そして夕張の国有林を見守り、やがてみんな土に返ったら大きく育った樹の下に集まって語り合いたいものです。
(2010年5月 掲載)