根釧東部森林管理署 養老牛森林事務所 首席森林官 赤塚 豊

武佐岳から格子状防風林を望む
養老牛森林事務所は、道東の中標津町市街地に所在し、約10,180ヘクタールの国有林野を管理しています。
また、当森林事務所は開陽森林事務所、西春別森林事務所との合同森林事務所になっており、3森林事務所の管理面積は中標津町の他に標津町・別海町の一部を含め約27,400ヘクタールになります。
この区域は、北部の千島火山帯につながる山岳林地帯は比較的急峻な地形が多く、南部の平坦地は根釧台地に広がる格子状防風林になっています。

晩秋の武佐岳

冬の標津岳(左)、武佐岳(右)
山岳林地帯にある千島山系の標津岳(1061m)や武佐岳(1005m)は、羅臼岳や雄阿寒岳のような難コースではなく、登山初心者でも夏は気軽に登ることができます。登山上級者においては、名峰攻略のための足慣らしとして散策しているようです。
周辺の森林は優れた水源涵養の機能を有し、標津川・荒川・俣落川・クテクンベツ川などの源流域となっています。森林から流れ出る水は生活用水はもちろんのこと、地元農業やさけ・ますふ化場にも利用されています。
クテクンベツ川上流には「クテクンの滝」と呼ばれる観光スポットがあり、林道終点から徒歩45分程度でその荒々しい勇姿を見ることができます。
標津川上流域付近には露天風呂も楽しめる仙境のいで湯、秘湯「養老牛温泉」があり、道外からも多くの人が湯治・休養に訪れています。
また、中標津市街地から約15kmにある開陽台は標高270mの台地に位置し、360度見渡せ、山岳地帯や周囲に広がる原野を一望することができます。

クテクンの滝 開陽台展望館
根釧台地に広がる中標津国有林の格子状防風林は約3,300ヘクタール。2001年10月に北海道遺産に選定されました。
この防風林は防風効果は当然のことですが、その他に防霧効果や雪によって視界が悪くなるホワイトアウト現象の軽減という役割を果たし、基幹産業である酪農業・畑作業に寄与すること、そして人の命さえ守っていることが認められています。
防風林の林帯幅は基本100間(約180m)で造成されています。当初はカラマツを中心に植林されていましたが、近年は積極的な複層林を造成するために、カラマツの伐採跡にトドマツなどを植栽をしています。

トドマツの植付作業
今、私たちの事務所では間伐調査を中心に、森林の現況調査や請負の監督など多岐ににわたる業務を進めています。
今後もより良い森林づくり、そして地域に根ざした国有林管理ができるよう努力していきたいと考えています。
(2010年7月 掲載)