今年度より、知床森林生態系保全センターは羅臼岳歩道(知床連山縦走路含む登山道)において登山者がヒグマを目撃した際の情報を登山口にて掲示する新しい取り組みを公益財団法人知床財団と共同でスタートさせました。
ここ数年、羅臼岳ではヒグマの目撃情報が増え、遭遇による長時間の立ち往生や野営地において無人のテントが引き裂かれる事案などが発生しており、いつ人身事故が起きてもおかしくない状況とも言われています。
羅臼岳において(写真はクリックで拡大 以下すべて)
登山は、基本的に自己責任で入山するものですが、遭遇による事故を未然防止する方策として、登山口において最新の目撃情報を掲示し、ヒグマが身近に生息している現実を来訪者に伝えることにより、しっかりとしたヒグマ対策(遭遇しないようにする方法、遭遇した場合の対処方法、熊撃退スプレーや鈴の携行、登山計画の変更等)や身構えをしていただきたいと考え情報発信をすることにしました。
羅臼岳には、斜里町に「岩尾別登山口」と「硫黄山登山口」、羅臼町に「羅臼温泉登山口」があります。3箇所の登山口において、山中でヒグマを目撃した際は下山後にアンケート用紙に必要事項を記載していただき、その情報を元に地図への図示、日別カレンダーへの書き込みを週1回の頻度で更新していきます。なお、最新の情報については、アンケート用紙が綴られているファイルを見ていただくことで把握できる仕組みとなります。
硫黄山登山口

一般に広く知られている通り、知床半島は世界的に見てもヒグマの生息密度が高い地域です。
いつどこで遭遇してもおかしくないのが現状ですが、ヒグマにとってはできるならば人間は避けたいところでしょう。
事故の大半は、不用意な遭遇により引き起こされます。
お互いが自らの存在を知らせ、適切な距離を保つことで事故は防ぐことができるはずです。
今年度から国民の新しい祝日として「山の日(8月11日)」が制定されました。
世界自然遺産地域の美しい名峰を安全で楽しく過ごせるように、
ぜひ情報掲示を活用していただければと思います。