
知床の森の今の姿をブログで紹介します。森林の不思議や役割に興味を持ってみませんか。
「今年は流氷の状態が良い」(2月28日)
当地に赴任して間もなく2年になります。
赴任して初めて目にするものは色々ありますが、新聞に毎日流氷情報が掲載されるのはオホーツク管内ならではではないでしょうか?
その内容は、1~3、4~6、7~8、9~10の4段階で流氷が海面を覆う度合い(「密接度」)を示すものです(気象条件により観測不能な日もあります。)。
これによると、接岸初日から2月末までの45日間のうち、ウトロの前浜における密接度9~10の日は少なく見ても27日はあるので、6割以上の確率で海面全体を覆う流氷の姿が見られることになります。また、2月だけでみると19日間はあるので、約7割です。特に16日以降は10日間以上連続して密接度9~10となっています。

密接度9~10の流氷
そういえば、地元で観光に携わっている方が「今年は流氷の状態が良い」と話しているのを聞いたことがありますが、数字で見ると意外とそうでもない???
実は赴任してくるまでは流氷は常にビッシリと海を覆って動かないものだと思い込んでいたのですが、意外と簡単に動くものだということも当地に赴任して初めて知りました。朝方はびっしりと海面を埋め尽くしていたのに、午後にははるか沖合に離れていってしまった―――ということも珍しくない、というのが実感です。
それからするとやはり今年の状態は「良い」と言えるのではないでしょうか。
冬は観光資源となって地域を潤し、春は底部に付着する植物性プランクトンの大増殖により海中の生命、ひいては陸域の生態系をも潤す―――当地にとって非常に重要な存在なのだと、改めて実感する次第です。
最近の夕陽台の様子です(2月27日)

すっかりと流氷が定着し、冬の知床へ来る観光客の方々が増えてきています。
流氷ウォークなどの夏とはまた違う知床の楽しみ方があるようです。
また知床で自然散策をしているときなど、樹木の外皮が剥かれて鮮やかなオレンジ色や黄色があらわとなった幹の様子を目にすることも多いかと思います。これらはエゾシカによる樹皮食害を受けた木々です。
美しい知床の風景を眺めると同時に、待ったなしで進行しているエゾシカによる森林被害など知床の森林の現状も(もちろんそれに対する様々な取り組みについても)心の隅に留めていただければ幸いです。
子ども芸術フェスティバル(2月23日)
2月23日(土曜日)、斜里町公民館主催の「子ども芸術フェスティバル」に参加してきました。
これは毎年何らかのテーマをもとにこの時期に行われる子ども向けのイベントです。今回のテーマは「人形」でしたが、当センターへは「木で作る人形のワークショップを」との依頼があり出展してきました。
今回当センターで用意した人形は手足を自由に動かして遊べる人形です。その名も「ウッドール」。
事業上の不用な木の枝を利用し、誰でも手軽に作ることができるよう、予め人形のパーツを準備し、参加者にはそれらを選び・組み立てられるよう当センター職員らで考案したものです。
斜里町の小学生約15名程とその保護者等に参加いただきました。皆さま楽しげに人形を組立てた後、ドングリやクルミなどで装飾をし素敵な木の人形が完成しました。

参加者が作成した「ウッドール」

パーツ選び

作成の様子

ボタンやリボンをつけて完成!!
今年もまた彼(女)らが…(2月19日)
少し前の話になりますが、今月8日(金曜日)、ウトロは先月の25日(金曜日)のような暴風雪に見舞われました。
ウトロのオロンコ岩特設会場で開催されている「オーロラファンタジー」ショーもその日は中止となり、また、翌日(9日)朝の時点では付近の国道が軒並み通行止めとなる状態でした。

オーロラファンタジーショーの様子。
昭和33年に知床の空に現れたというオーロラをレーザー(と音響)で再現しています。 今年は3月12日(火曜日)までの開催です。
さて、たびたびの暴風雪のせいか今年のウトロの積雪は、「多い」といわれていた昨年をさらに上回るように見えます。当センターの庁舎前も…

高さ2~3メートルの除雪の雪山ができています。その上にエゾシカが…

木立の向こうにも…

小さくて見えづらいですが、ざっと見たところ若齢のオスを含む十数頭の集団のようでした。
秋以降あまり姿を見ることはなかったのですが、8日の暴風雪以降、当センター周辺でも頻繁にエゾシカの姿が見られるようになった気がします。多量の積雪とともに、行動しやすい市街地付近に移動してきたのではないでしょうか。
思い返してみれば昨年の冬もいつ頃からかエゾシカの群れがたむろするようになっていましたから、また今年もその時期が来たようです。
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