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後世に伝えるべき治山 ~よみがえる緑~

治山事業は、山地災害から国民の生命・財産を保全するとともに、水源の涵養、生活環境の保全・形成等を図るため、森林の維持・造成を通じ、荒廃地の復旧等を行う事業です。

事業完了後は、周囲の森林と同化し、事業の痕跡も目立たなくなるものも少なくないことから、治山事業の重要性や必要性を広く国民の皆様に御理解いただくため、明治44年度に第一期森林治水事業を開始して以降、治山事業の実施が100年を経過したことを機に、緑がよみがえり国土の保全に寄与した治山事業地を「後世に伝えるべき治山~よみがえる緑~」として選定しました。

選定にあたっては、学識経験者からなる「後世に伝えるべき治山」選定委員会を設置し、これまで治山事業が実施された箇所の中から、技術、事業効果、地域への貢献、人々の記憶という点に加え、国民や関係者の視点を考慮した上で審査を行い選定しました。

 

「後世に伝えるべき治山~よみがえる緑~」

 

所在地

治山施設等の名称

(※名称をクリックすると概要をご覧いただけます。)

主要な工期

選定概要

1 北海道
稚内市
日本の最北で酪農地帯を守るメークマ海岸の治山事業(PDF:519KB) S45~H11 最北端の寒冷地海岸林造成地。
2 北海道
北見市
煙害の山を緑に戻し歴史的産業史跡を残したイトムカの治山事業(PDF:550KB) S48~S59 イトムカ鉱山跡地(水銀鉱石の製錬)の復旧。
3 北海道
羽幌町
離島に創った水源林(PDF:453KB) S29~H2 天売島・焼尻島の水源林を再生し、水道水源の流水量を安定化。
4 北海道
月形町ほか
樺戸山系を治め石狩川の氾濫を鎮めた石狩川地区民有林直轄治山事業(PDF:519KB) S46~H19 全国で初めて「低ダム群工法」を導入し、渓床を安定化。
5 北海道
洞爺湖町
ほか
幾度の噴火災害に貢献した有珠山の治山事業(PDF:529KB) S52~H17 有珠山の噴火(S52)の復旧とH12の噴火で温泉街などを保全。
6 北海道
奥尻町
未曾有の被害から離島を復興させた北海道南西沖地震(奥尻島)の治山事業(PDF:310KB) H5~H6 北海道南西沖地震(H5)の復旧。
7 北海道
森町ほか
土石流から街を守る駒ヶ岳の治山事業(PDF:452KB) S38~H24 駒ヶ岳の火山地域対策。豪雨等による土砂流災害や泥流災害で効果を発揮。
8 北海道
えりも町
地域の協力を得て豊かな森と海をよみがえらせた「えりも岬」の治山事業(PDF:259KB) S28~H9 漁業者と協力して海岸林を再生。昆布の質量が向上するなど地域の振興に貢献。
9 青森県
五所川原市
先人の知恵とヒバの耐久性を伝える木製堰堤(PDF:471KB) T5~S33 戦前・戦後に設置された現地発生のヒバ被害木による木製堰堤群。
10 青森県
つがる市
ほか
人々の暮らしを風や飛砂から守る屏風山海岸防災林造成事業(PDF:309KB) S7~H25 天明の大凶作の際の乱伐により荒廃した海岸林を再生。メロンの産地として地域振興に貢献。
11 岩手県
宮古市
カスリン・アイオン台風の大災害の記憶を伝える治山事業(PDF:508KB) S25~H17 アイオン台風(S23)により早池峰山山麓に発生した河道閉塞が決壊し、下流の宮古市などが被災。当時最大級の堰堤を設置。
12 岩手県
一関市
平成20年岩手・宮城内陸地震を後世に伝える磐井川地区民有林直轄治山事業(PDF:581KB) S44~H3 岩手・宮城内陸地震の際に防災効果を発揮。トンネル暗渠工からの湧出水は上水道として活用。
13 秋田県
能代市
能代の街を飛砂から守る海岸防災林造成事業(風の松原)(PDF:456KB) T10~S62 日本海中部沖地震(S58)で発生した津波の威力が減衰。富樫健次郎氏の献身的な努力と官有地の組み替えなどを実施。
14 秋田県
小坂町ほか
緑をよみがえらせた小坂鉱山煙害地復旧治山事業(PDF:651KB) M43~H19 被害面積5万haと言われた小坂鉱山煙害地の復旧。ニセアカシアは養蜂、民芸品に貢献。
15 山形県
酒田市ほか
人々の暮らしを飛砂から守る庄内海岸防災林造成事業(PDF:367KB) S26~S46 「砂の女」のモデル。日本海中部沖地震(S58)で効果を発揮。
16 栃木県
日光市
自然景観に配慮しつつ長大な崩壊地を復旧してきた男体山治山事業(PDF:545KB) S33~H22 薙や堀と呼ばれる急勾配の崩壊地の渓床侵食を防止し、土砂生産を安定化。
17 栃木県
日光市
足尾荒廃地の緑の復元(足尾治山事業)(PDF:460KB) M30~H22 大規模な山火事と足尾銅山による過伐、亜硫酸ガスの被害により、消失した森林の復旧。
18 神奈川県
山北町ほか
関東大震災からの復旧(丹沢・箱根地域)(PDF:388KB) T12~S5 関東大震災(T12)により神奈川県の林野面積の7%に及んだ崩壊地の集中的な復旧。
19 神奈川県
山北町
昭和47年豪雨災害の記憶を伝える治山工事(足柄上郡山北町中川地内)(PDF:663KB) S48~S54 神奈川県内で戦後最大の豪雨災害の復旧。「箒杉」が集落を守ったとの逸話が残り、豪雨災害発生日には毎年地域の人々が参拝。
20 新潟県
長岡市
飛砂とのたたかいを克服した寺泊地区海岸防災林事業(PDF:316KB) S23~H24 信濃川の大河津分水の通水(T11)により出現した砂浜からの住民生活への飛砂被害を防止するため海岸林を造成。
21 新潟県
長岡市ほか
新潟県中越地震で発生した地すべりから住民の生活を守る中越地区直轄地すべり防止事業(PDF:596KB) H16~H24 新潟県中越地震(H16)で発生した地すべりの復旧。
22 新潟県
糸魚川市
大なだれから柵口地区を守る~なだれ誘導堤と雪ダム~(PDF:448KB) S61~S63 県内最大級のなだれ被害に対し、県内では唯一のなだれ誘導工などを整備。その後のなだれでも被害は発生していない。地区は世界ジオパークの一要素。
23 新潟県
妙高市
地域の安全・安心に貢献する「八幡」(上平丸)地すべり防止事業(PDF:554KB) S11~H19 杭打ち工を全国に先駆け本格実施。H22に発生した地すべりの際に河川本流への土砂流入を阻止。
24 富山県
入善町
農業の発展に寄与した入善海岸防災林造成事業(PDF:580KB) S60~H24 昭和40年代からの土地利用の高度化に伴い急激に減少した海岸林の造成。
25 石川県
小松市
航空実播工法を採用した治山事業(PDF:248KB) S47~S63 鉱山跡地のはげ山復旧。初期の航空実播工を実施。
26 石川県
加賀市
砂嵐の脅威から地域を保全した「加賀海岸国有林」海岸防災林造成事業(PDF:455KB) M44~T13 藩政時代から砂防植林を実施。明治期の枯損により消失した海岸林の再生。治山事業初期の海岸林造成事業。
27 福井県
大野市
ミノ又谷大崩壊地における治山事業(PDF:376KB) S38~S54 九頭竜川上流の溶岩層が複数重なり土砂発生源になっていたミノ又谷大崩壊地の復旧。
28 山梨県
笛吹市
山地を守り続けて1世紀「三ツ澤治山堰堤」(PDF:661KB) M44 第一期森林治水事業で整備された空石積治山堰堤。
29 長野県
王滝村
御岳の土石流跡に緑を甦らせた長野県西部地震災害復旧(PDF:295KB) S59~H25 長野県西部地震(S59)の復旧。3,600万m3の土砂の流出防止と緑化。
30 長野県
飯田市
砂防学校と共に歩み官民一体となって取り組んだ上久堅地区の治山工事(PDF:428KB) T6~S31 村が村営砂防(治山)学校を創り地域と一体となって治山事業を推進。
31 長野県
喬木村
鬼が住むと恐れられた大荒廃地「九十九谷」の森林再生(PDF:408KB) S3~S29 過伐や焼き畑などにより「鬼の住む」とまで言われるほど荒廃した九十九谷の復旧。
32 長野県
中川村ほか
伊那谷を襲った梅雨豪雨災害(36災害)山腹崩壊地復旧(PDF:487KB) S37~H7 上伊那地方が大洪水に見まわれた昭和36年伊那谷梅雨前線豪雨災害の復旧。
33 岐阜県
土岐市ほか
土岐地区はげ山復旧治山工事(PDF:464KB) S7~S47 窯業で荒廃した土岐川流域のはげ山復旧。
34 静岡県
静岡市
災害復旧の記憶を伝える安倍川民有林直轄治山事業(PDF:317KB) S31~S53 崩壊と土石の流出を繰り返していた安倍川流域の復旧。国内で最初の鋼製堰堤が整備されるなど先進的な工法を導入。
35 静岡県
静岡市
東海の大動脈を守る由比地すべり防止工事(PDF:175KB) S23~H12 東海道の交通・通信の大動脈を直下に持つ地すべり地の復旧。
36 静岡県
藤枝市
静岡県内最大級の雑割石空積流路工(PDF:419KB) M45~大正初期 明治後期から大正初期の空積流路工の展示的施設。
37 静岡県
御前崎市
ほか
海岸地域の発展に寄与した遠州灘沿岸の斜め海岸林(PDF:388KB) S7~S60 幕末から整備された偏西風を受け流す「斜め海岸林」の保全・整備。
38 愛知県
瀬戸市
ホフマン工事~日本に現存する唯一の欧州式治山工事施工地~(PDF:457KB) M38 ホフマン氏の指導により作成された設計書を元に行われたはげ山復旧。現在の設計思想である渓床勾配の緩和等の概念を先駆的に導入。
39 愛知県
瀬戸市
瀬戸のはげ山復旧と萩御殿(PDF:482KB) M33~S44 治山事業の創世記から始められたはげ山復旧と、見学等のために設置された萩御殿の保存。
40 滋賀県
大津市
禿げ山から地域に親しまれる森林に復旧した田上山の治山事業(PDF:692KB) M30~H15 藤原宮や社寺の造営で乱伐された田上山のはげ山復旧。
41 大阪府
泉南市ほか
泉南地域のはげ山復旧(PDF:421KB) S28~S39 薪炭のための過伐によるはげ山で農業用のため池が決壊し鳥取池の大災害(S27、災害救助法適用第1号)が発生。翌年から本格的にはげ山復旧。
42 兵庫県
神戸市ほか
豊かな緑を未来に~六甲山の治山事業~(PDF:335KB) M26~H17 牧野富太郎博士が雪に例えるほど過度の森林利用によりはげ山となった六甲山系の復旧。新たな地震対策工法(ロープネツトロツクボルト工法)を開発。
43 和歌山県
美浜町
煙樹ヶ浜松林保全に貢献した吉原地区治山事業(PDF:408KB) S61~H14 藩政時代から守られてきた海岸林を管理・保全。松葉かきで集めた松葉を堆肥化し、キュウリなどを特産化。
44 鳥取県
鳥取市
砂丘らっきょうをはじめとする地域産業の基盤形成に寄与した海岸防災林造成事業(PDF:345KB) S25~S38 飛砂により不毛の地となっていた砂丘に大正時代から植林に取組み、昭和25年から本格的に造成。らっきょうの産地が形成されるなど地域経済に貢献。
45 島根県
浜田市ほか
昭和58年に発生した大災害の記憶を伝える災害復旧治山事業(PDF:312KB) S58~S61 島根災害(S58)の復旧。治山事業箇所560カ所。
46 岡山県
玉野市
岡山県玉野市における「はげ山」森林復旧(PDF:394KB) S23~S62 戦中・戦後に燃料として過伐したことによるはげ山の復旧。流出した土砂は天井川を形成し、降雨の度に甚大な被害。
47 広島県
呉市ほか
広島県沿岸部のはげ山を復旧した治山事業(PDF:389KB) S22~S39 製塩に起因する広島県内最大のはげ山復旧。
48 山口県
防府市
西目山地区における航空実播工(PDF:558KB) S43~S46 大面積山火事跡地の復旧。初期のヘリコプターによる航空実播を本格的に実施。
49 徳島県
三好市
大規模地すべりから地域を保全した平谷地すべり防止事業(PDF:486KB) S36~H4 S29台風12号による大規模な地すべり被害の復旧。船底型袖部構造併用のブロック構造を施工。S50台風豪雨で一時活発化したがS55以降沈静化。
50 愛媛県
今治市
護山治水(PDF:463KB) T2~S9 白い島と言われるほどのはげ山を、森林組合の設立などにより復旧。山を護る大切さを記念した「護山治水」の碑が立つ。
51 高知県
室戸市
大規模崩壊地(加奈木のつえ)の復旧により地域を保全した大道南山復旧治山事業(PDF:649KB) T6~S39 「加奈木の潰(つえ)」と呼ばれる大崩壊地の復旧。復旧箇所は世界ジオパークの一要素。
52 福岡県
添田町
地域防災に貢献した英彦山遊水堰堤(PDF:545KB) S14~S18 戦時に建設され、張石粗石混凝土工が保存。
53 佐賀県
伊万里市
昭和26年に発生した大災害の記憶を伝える乙女地区地すべり防止事業(PDF:371KB) S25~S39
S40~S51
H元~H14
S26・S32に大規模な地すべりが発生し、「地すべり等防止法」の制定のきっかけの一つ。北松型地すべりの呼称の発祥。
54 長崎県
長崎市
自然環境にやさしい工法を施工した福田地区復旧治山事業(PDF:495KB) H8~H10 樹木の根系の土壌緊縛機能を活かした新たな山腹工法の開発と普及。
55 長崎県
島原市ほか
緑を復元した雲仙・普賢岳の治山事業(PDF:467KB) H3~H18 雲仙・普賢岳噴火災害の復旧。スーパー治山ダムや大面積の航空実播工などを施工。
56 長崎県
島原市
土石流から住民を守る眉山地区治山事業(PDF:337KB) T5~H11 島原大変・肥後迷惑と言われる災害跡の大崩壊地の復旧
57 熊本県
阿蘇市
九州北部豪雨災で効果を発揮した阿蘇山麓の治山施設群(PDF:465KB) S57~H22 九州北部豪雨(H24)の際に防災機能を発揮。
58 大分県
由布市
由布院温泉郷を守っている治山ダム群(PDF:378KB) T2~H19 由布岳の噴火活動の荒廃地を復旧。24年の豪雨時に土石流を補足し、被害の拡大を防止。
59 宮崎県
宮崎市
台風被害から山河を甦らせた鰐塚山山系治山事業(PDF:699KB) H17~H18 大規模崩壊(いわゆる深層崩壊)箇所の本格的な復旧対策。
60 鹿児島県
鹿児島市
土石流から生命・財産を守る桜島の治山施設(PDF:582KB) S39~H8 桜島火山対策。渓間工1442基設置。

 

注:主要な工期は、治山施設等の設置と緑化・造成がほぼ完了した期間をいい、このほか保全管理や修繕・復旧のための工事、付帯的な工事等が実施されている場合がある。

お問合せ先

森林整備部治山課

ダイヤルイン:03-6744-2306

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