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FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、熱帯地域においては1990年から2000年の10年間で、わが国の国土面積の3倍以上に相当する面積の森林が減少しました。また、生物多様性の減少、砂漠化の進行、地球温暖化等、地球規模での環境問題がクローズアップされるにつれ、各方面で森林の重要性が認識されるようになりました。 林野庁では、国際的な政策対話への参加や開発途上国における森林保全等の支援を通じて、地球規模での持続可能な森林経営の推進に取り組んでいます。 2011年は、国連の定めた「国際森林年」です。日本の、そして世界の森林・林業の重要性を改めて考えるきっかけにしましょう。 |
FAOの資料(世界森林資源評価2005(FRA2005))によれば、2005年における世界の森林面積は約39億5千万haであり、陸地面積の約30%を占めています。
世界の森林は、2000年から2005年までの5年間で、農地等への転用、森林火災、過放牧、薪炭材の過剰採取等により、熱帯地域を中心に年間約1,290万ha減少しました。また一方では、植林等により約560万ha増加しており、差し引きでは、約730万ha(日本の国土面積の約5分の1)の森林面積が毎年純減したことになります。(注:純減している国々の純減面積を足しあげると約1,290万ha、純増している国々の純増面積を足しあげると約560万haという意味です。)

地域別には、南米及びアフリカの両地域が年平均400万ha以上のペースで純減したのに対して、アジアでは年平均で約100万ha純増(1990年~2000年は79万haの純減)、欧州では約66万ha純増したことが注目されます。
主要途上国については、中国において近年の大規模な植林面積の増加(年平均約150万ha)を背景に年間約406万ha純増しているほか、インドでも微増(約3万ha純増)を示しました。一方、ブラジル(約310万ha純減)、インドネシア(約187万ha純減)などでは大規模な森林減少が引き続き発生しました。
我が国については森林面積が2,487万haとなっており、ほとんど変化はありません。また、森林率は68.2%となっており、先進国の中ではフィンランド(73.9%)に次いで2番目となっています。
FAOでは、世界の森林現況の最新データ(世界森林資源評価2010)を2010年中に公表する予定となっています(速報版は2010年3月に公表済み)。
熱帯諸国を中心に森林減少が進行する中にあって、国連等においては、「世界の持続可能な森林経営(sustainable forest management)」に向けた議論が行われています。
(地球サミット)
1992年にブラジルで開催された「国連環境開発会議(United Nations Conference on Environment and Development, UNCED)」、いわゆる「地球サミット(the Earth Summit)」では、各国は自国の資源の開発主権を有するとともに他国の環境に損害を与えないようにする責任があること、地球環境悪化に関しては、先進国と途上国とでは、共通だが差異のある責任(common but differentiated responsibilities)を有することなどの環境と開発に関する基本原則を述べた「リオ宣言(Rio Declaration on Evironment and Development)」、持続可能な開発に向けた実施計画である「アジェンダ21(Agenda 21)」等が合意されました。(このアジェンダ21の実施状況をフォローアップするため、1993年に、経済社会理事会の下に「持続可能な開発委員会(Commission on Sustainable Development, CSD)」が設置されました。)
森林関係では初めての世界的合意である「森林原則声明(Forest Principles) 」が採択されるとともに、「アジェンダ21」には第11章「森林減少対策」が盛り込まれました。「森林原則声明」では、現在及び将来の世代にわたって、社会的、経済的、文化的及び精神的なニーズに応えられるよう持続可能な経営が行われるべきこと、各国や国際社会が取り組むべきことなどが謳われました。
この地球サミットでは、既に交渉が妥結し採択されていた「気候変動枠組条約」、「生物多様性条約」が署名のために開放されたのとは対照的に、森林に関しては、自国の資源に対する利用制限をおそれた途上国の反対が強く、法的拘束力を有する森林条約等を交渉するに至らなかったことから、それに代わるものとして、法的拘束力のない「森林原則声明」が採択された経緯があります。
(国連森林フォーラム)
国連では地球サミット後も継続的に世界の森林に関する議論が行われてきており、「森林に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Forests, IPF)」(1995-1997)、「森林に関する政府間フォーラム(Intergovernmental Forum on Forests)」(1997-2000)を経て、現在では「国連森林フォーラム(United Nations Forum on Forests, UNFF)」が対話の場となっています。この森林フォーラムは2000年に経済社会理事会の下に設置されました。
2007年の第7回会合(UNFF7)では、世界の持続可能な森林経営の達成に向けて、各国や国際社会が取り組むべき事項を盛り込んだ文書である「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書( Non-legally Binding Instrument for All types of Forests, NLBI)」が合意されました。2015年までに、森林面積や森林関係ODAの減少傾向を反転させることなど、(UNFF6)において合意された世界目標(global objectives on forests)のほか、各国が政策を検討する際には、持続可能な経営に関する基準及び指標(criteria and indicators)の要素も考慮すべきことなども盛り込まれました。
2009年の第8回会合(UNFF8)では、NLBIの実施状況に関する意見交換などが行われましたが、途上国側は、持続可能な森林経営に取り組むためには、先進国側からの支援の拡充が必要との立場であり、資金に関する専門家会合の設立が決定しました(2010年9月、ケニアにて第1回会合開催)。
2015年のUNFF会合では、それまでのNLBIの実施状況を踏まえ、森林条約の必要性等に関する議論が行われる予定です。一方、NLBIは、各国に対して持続可能な森林経営に向けた進展状況の報告を任意で求めていますが、途上国からの報告数は限られていることから、こうした途上国の報告能力を向上させることが今後の重要な課題となっており、我が国としても積極的に支援を行う予定です。
(様々な対話の場)
森林に関する国際的な対話は、主に政府間によるものとしては、国連のほか、先進国首脳会議(G8サミット)において、また、政府やNGOなど幅広い関係者が集う場としては、2002年に我が国とインドネシアの提唱で発足した「アジア森林パートナーシップ(Asia Forest Partnership, AFP)」などがあります。
我が国には、国際熱帯木材機関(International Tropical Timber Organization, ITTO)があり、熱帯木材貿易や熱帯林の保全に関する国際的な専門機関として、途上国に対する支援や対話の場を提供しています。
(参考)

モントリオール・プロセスは、持続可能な森林経営のための「基準・指標」の作成と適用を進める国際的な取組の1つです。カナダ、米国、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、豪州、ニュージーランド、中国、ロシア、韓国、日本の12ヵ国が参加し、1994年から、「基準・指標」の作成と改訂、指標に基づくデータの収集、国別報告書の作成等に取り組んできました。2007年からは我が国(林野庁)が事務局を務め、各国間の活動の企画調整等を行っています。
1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミット(UNCED)以降、森林や森林経営の持続可能性を客観的に把握する「ものさし」として、基準・指標を作成する取組が国際的に進展してきました。モントリオール・プロセスのような取組は、欧州各国による汎欧州プロセス(最近ではフォレストヨーロッパと呼称)、国際熱帯木材機関(ITTO)加盟の熱帯木材産出国によるものなど、世界に9つあり、約150ヵ国が少なくとも1つに参加していることがFAOによって報告されています。
モントリオール・プロセスでは、1995年に基準・指標(7基準67指標)を作成、これに基づき参加各国でデータの収集等が行われ、2003年に参加各国の第1回国別報告書等が作成されました。その後、同報告書の作成を通じた指標の運用性や社会情勢の変化、技術開発の進展等を考慮し、2006年に主に技術的な分野である基準1~6の指標改訂(7基準64指標)、2008年には制度的な分野である基準7の指標改訂(7基準54指標)が行われました。2009年には、2006年の改訂指標に基づき収集されたデータを使用し、第2回国別報告書が参加国(約半数)によって作成され、また第13回世界林業会議(2009年、アルゼンチン)でサイドイベントの開催等を通じ取組が紹介されました。同報告書を作成することで、自国の森林の情報を持続可能性の観点から整理し把握することが可能になるほか、作成を繰り返すことで傾向を把握することが可能になります。これは政策の立案や一般市民の森林施策への理解の手助けにもなるでしょう。
モントリオール・プロセスの現在の「基準・指標」(7基準54指標)の概要は次のとおりです。
基準1:生物多様性の保全(9指標:森林生態系タイプ毎の森林面積、森林に分布する自生種の数等)
基準2:森林生態系の生産力の維持(5指標:木材生産に利用可能な森林の面積や蓄積、植林面積等)
基準3:森林生態系の健全性と活力の維持(2指標:通常の範囲を超えて病虫害森林火災等の影響を受けた森林の面積等)
基準4:土壌及び水資源の保全維持(5指標:土壌や水資源の保全を目的に指定や管理がなされている森林の面積等)
基準5:地球的炭素循環への寄与(3指標:森林生態系の炭素蓄積量、その動態変化等)
基準6:長期的多面的な社会経済的便益の維持増進(20指標:林産物のリサイクルの比率、森林への投資額等)
基準7:法的制度的経済的な枠組(10指標:法律や政策的な枠組、分野横断的な調整、モニタリングや評価の能力等)
2010年の第21回総会(米国)では、2011年の「国際森林年」に向けての取組、一般市民にわかりやすい指標の「見える化」等が検討されました。
(参考)
ロシア(2009年、その1、その2、その3、その4、その5,その6)
日本(2009年、和文その1、和文その2、和文その3、英文その1、英文その2、英文その3)

2011年は、2006年の国連決議により、国際森林年(International Year of Forests)に指定されています。国連は、加盟国に対して国際森林年に関連した活動を促進することを求めています。
2011年1~2月に国連本部で開催される国連森林フォーラム第9回会合(UNFF9)における閣僚級会合において、国際森林年の公式なキックオフが行われます。
国連から国際森林年のロゴマークが発表されております。使用に当たっては窓口(国連森林フォーラム)への申請が必要となりますので、国連森林フォーラムのウェブサイトや林野庁が作成したガイドライン仮訳をご覧下さい。
(参考)
森林は、樹木が光合成により、温室効果ガスである大気中の二酸化炭素を吸収し、幹や枝という形で炭素を長期間貯蔵することにより、地球温暖化防止に貢献します。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、加盟各国に対して、温室効果ガスの吸収源・貯蔵庫である森林などの持続的な管理を求めています。同条約の目的の達成に向けて各国の具体的な義務を定めた京都議定書では、先進国の温室効果ガス排出削減義務の達成に森林などによる吸収量を算入することが認められています。
気候変動枠組条約の京都議定書は、先進国の温室効果ガス排出削減義務を規定していますが、先進国が途上国で排出削減や吸収増大の取り組みを行った場合、その削減量や増大量を自国の排出削減目標の達成に算入することを認めています。これはCDM(クリーン開発メカニズム)と呼ばれており、森林分野では植林(新規植林(afforestation)(注1)、再植林(reforestation)(注2))が対象となっています。
CDM植林(AR-CDM)のプロジェクトからの吸収量(クレジット)を先進国の排出削減目標の達成に使用できるようにするには、プロジェクトの内容審査、国連への登録、関係国政府による承認などの手続きが必要となります。正式にCDM植林プロジェクトとして認められるには、いくつかの要件を満たす必要があり、工業分野などの排出削減に関するCDMプロジェクトに比べると、国連登録に至ったプロジェクト数は少ない実態にあります。このため、林野庁では、我が国企業等によるCDM植林プロジェクト形成に資するため研修などの支援を実施しています。
注1:過去50年間森林ではなかった土地に植林すること
注2:1989年末時点で森林ではなかった土地に植林すること
途上国では、熱帯林を中心に急速に森林の減少(deforestation)・劣化(forest degradation )が進んでいます。森林減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出量は、世界の総排出量の2割を占めるとされており、この排出を削減すること(reducing emissions from deforestation and forest degradation in developing countries, REDD)が気候変動対策を進める上で重要な課題となっています。
REDDは、過去の推移等から予想される森林減少からの排出量と実際の排出量との差に応じて資金などの経済的インセンティブを付与し、これにより森林減少の抑制を図るとの考え方として、2005年にパプアニューギニア等によって提案されました。2007年のCOP13以降、途上国の気候変動緩和の取組として、REDDの資金等の政策論、森林のモニタリング等の方法論の検討が行われています。(森林減少・劣化からの排出削減に加えて、森林の保全等も対象としたものがREDD+(プラス)と呼ばれています。)
REDDについては、人材育成をはじめ必要な取組が早期に開始されるよう、関心国間で積極的な意見交換が行われています。
林野庁では、これまで衛星リモートセンシングによる森林資源の増減の把握などREDD+に必要となる技術開発を途上国で実施する事業や、本邦の技術者の養成、各国の調査等を行う事業を支援するほか、REDDに関する国際会議等を開催してきています。
違法伐採問題は、地球規模での環境保全、持続可能な森林経営の推進にとって極めて重要な課題であり、世界有数の木材輸入国である我が国の責務として、このような違法伐採問題の克服に向けて積極的な取り組みを行っているところです。詳細は以下のページをご参照下さい。
Illegal logging is a very important problem to be solved for the world wide conservation of environment and sustainable forest management. The Japanese government has been tackling this problem because Japan is one of the biggest wood import countries.
多角的貿易交渉のWTOドーハラウンド交渉では、林産物は、非農産品市場アクセス(Non-agricultural market access: NAMA(ナマ))交渉グループにおいて議論が行われています。NAMA交渉グループでは、農産物以外の全て(鉱工業品及び林水産物)に関する関税及び非関税障壁の撤廃・削減についての交渉が行われています。詳細については以下のページをご参照下さい。
各国との経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)交渉を進める際には、我が国全体として経済上・外交上の利益を考慮し、国内農林水産業・農山漁村の振興などを損なわないという基本的姿勢を堅持しながら、個別品目の事情に応じて戦略的に交渉に臨んでおります。また、これらの交渉を通じて持続可能な森林経営や地球環境の保全への取組の推進、木材自給率の向上等に資するよう努めております。各国とのEPA/FTAの締結状況や交渉の現状については、以下のページをご参照下さい。
林野庁では、財務省が公表している貿易統計のうち、木材の輸入額及び輸入量をとりまとめたものを公表しています。木材全体の輸入額及び主要な木材である丸太、製材、合板、木材チップ、集成材の輸入額・輸入量について、地域別や主な輸入先国別に集計し、過去3年間の木材輸入実績を並べて掲載しており、近年の木材輸入の動向が分かります。これまでの公表内容については、以下のページをご参照下さい。
1976年にフィリピンで「パンタバンカン森林造成プロジェクト」を開始して以来、国際協力機構(JICA)を通じた二国間海外林業協力を世界各国で実施しています。二国間協力は、相手国政府の要請に応じ、各種国際的取り決めに基づいて実施されるもので、専門家の派遣、研修員の受け入れ、機材の供与などからなる技術協力と、無償及び有償の資金協力とに大別されます
国連食糧農業機関(FAO)や国際熱帯木材機関(ITTO)(概要PDF:114KB)等へODA(政府開発援助)として資金を拠出し、開発途上国における持続可能な森林経営を推進するための技術協力プロジェクトを支援しています。
多様化する森林・林業協力の要請に的確に対応するため、先駆的な技術の開発、開発途上国等の森林・林業に関する基礎調査、NGO等による海外植林活動の支援など、様々な事業に取り組んでいます。
林野庁では、世界の持続可能な森林経営の推進に貢献するため、森林専門家による国際対話を実施しています。
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森林整備部計画課海外林業協力室
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