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森林・林業分野の国際的取組

更新日:平成30年12月19日

目次

  1. 世界の森林の現況
  2. 国連における持続可能な森林経営に関する議論
  3. 開発途上国の森林減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+)への対応
  4. 違法伐採対策・木材貿易
  5. 森林・林業分野の国際協力
  6. その他

1. 世界の森林の現況   

国際連合食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価:Global Forest Resources Assessment(FRA)」によると、2015年の世界の森林面積は40億haであり、世界の陸地面積の約3割を占めています。

世界の森林面積は、2010年から2015年までの5年間に、中国やオーストラリアを始め、植林等により森林面積を大幅に増加させる国がある一方、ブラジルやインドネシア等における熱帯林等の減少により、全体として年平均で331万ha減少しています。地域別にみると、アフリカと南米でそれぞれ年平均200万ha以上減少している一方、アジア等では森林面積は増加しています。

世界の森林面積の減少率は、1990-2000年期は年平均0.18%であったものが、2010-2015年期には年平均0.08%となり半減しており、森林の他の土地利用への転用速度が減少したこと等により、森林面積の減少は減速傾向にあります。

世界森林資源評価2015概要 第2版(仮訳)(PDF : 1,654KB)
世界森林資源評価2015(英文サイト)

注:「世界森林資源評価(FRA)2015」(第2版)について
第2版は、初版と比べ、世界全体の森林面積や森林減少面積等といった主な数値、「世界の森林面積の減少は続いているが、その減少速度は低下傾向にある」といった主な分析結果については変更はないものの、国毎の森林面積、森林減少面積等の数値の一部修正、グラフ・図の一部修正・差替、詳細な分析についての記述の変更・削除等が行われていますので、初版を引用等で利用されていた方はご留意ください。

2. 国連における持続可能な森林経営に関する議論

持続可能な森林経営の推進に向けては、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)において「森林原則声明」が採択されて以降、国連の場において、政府間対話が継続的に開催されています。

地球サミット

1992年にブラジルで開催された国連環境開発会議(United Nations Conference on Environment and Development, UNCED)、いわゆる地球サミット(the Earth Summit)では、各国は自国の資源の開発主権を有するとともに他国の環境に損害を与えないようにする責任があること、地球環境悪化に関しては、先進国と途上国とでは、共通だが差異のある責任(common but differentiated responsibilities)を有することなどの環境と開発に関する基本原則を述べた「リオ宣言(Rio Declaration on Environment and Development)」、持続可能な開発に向けた実施計画である「アジェンダ21(Agenda 21)」等が合意されました。(このアジェンダ21の実施状況をフォローアップするため、1993年に、経済社会理事会の下に「持続可能な開発委員会(Commission on Sustainable Development, CSD)」が設置されました。)

森林関係では初めての世界的合意である「森林原則声明(Forest Principles)」が採択されるとともに、アジェンダ21には第11章に森林減少対策が盛り込まれました。森林原則声明では、現在及び将来の世代にわたって、社会的、経済的、文化的及び精神的なニーズに応えられるよう持続可能な経営が行われるべきこと、各国や国際社会が取り組むべきことなどが謳われました。

この地球サミットでは、既に交渉が妥結し採択されていた「気候変動枠組条約」、「生物多様性条約」が署名のために開放されたのとは対照的に、森林に関しては、自国の資源に対する利用制限をおそれた途上国の反対が強く、法的拘束力を有する森林条約等を交渉するに至らなかったことから、それに代わるものとして、法的拘束力のない「森林原則声明」が採択された経緯があります。

 環境と開発に関するリオ宣言(英文サイト)

 森林原則声明(英文サイト)

国連森林フォーラム

国連では地球サミット後も継続的に世界の森林に関する議論が行われてきており、「森林に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Forests, IPF)」(1995-1997)、「森林に関する政府間フォーラム(Intergovernmental Forum on Forests)」(1997-2000)を経て、現在は「国連森林フォーラム(United Nations Forum on Forests, UNFF)」が対話の場となっています。この森林フォーラムは2000年に経済社会理事会の下に設置されました。

2007年の第7回会合(UNFF7)では、世界の持続可能な森林経営の達成に向けて、各国や国際社会が取り組むべき事項を盛り込んだ文書である「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書( Non-legally Binding Instrument for All types of Forests, NLBI)」が合意されました。2015年までに、森林面積や森林関係ODAの減少傾向を反転させることなど、(UNFF6)において合意された世界目標(global objectives on forests)のほか、各国が政策を検討する際には、持続可能な経営に関する基準及び指標(criteria and indicators)の要素も考慮すべきことなども盛り込まれました。

全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(NLBI)(英文サイト)仮訳(概要)(PDF:258KB)

2009年の第8回会合では、NLBIの実施状況に関する意見交換などが行われましたが、途上国側は、持続可能な森林経営に取り組むためには、先進国側からの支援の拡充が必要との立場であり、資金に関する専門家会合の設立が決定しました(2010年9月、ケニアにて第1回会合開催)。

2011年の第9回会合では、NLBIの実施状況の評価と課題、資金・技術協力等の持続可能な森林経営のあり方について検討が行われました。NLBIを実施するための資金メカニズムのあり方については、2012年3月までに各国が意見を提出し、とりまとめることなどが合意されました。

2011年は、国連総会の決議に基づく「国際森林年(International Year of Forests2011)」でした。我が国においても、テーマ「人々のための森林(Forests for People)」の下、国際森林年に関連した活動が行われました。
(参考)我が国が実施した国際森林年の取組

2013年の第10回会合では、NLBIの実施状況の評価、資金・技術協力、森林と経済開発等に関する検討が行われました。これに加え、2015年開催のUNFF11に向けた会期間活動について議論し、森林条約の必要性等に関する専門会会合の開催等を含むロードマップが合意されました。 

2015年の第11回会合では、これまでのUNFFの取組状況の評価、NLBIの有効性の検証等を行った上で、UNFF11閣僚宣言「我々の求める2015年以降の森林に関する国際的な枠組(The International Arrangement on Forests We Want beyond 2015)」及びUNFF11決議「2015年以降の森林に関する国際的な枠組(International Arrangement on Forests beyond 2015 :IAF2015)」が採択されました。決議では、2030年までの戦略計画等を策定し実施状況をレビューすることや、これまでの促進プロセス(途上国の資金動員支援)を世界森林資金促進ネットワーク(Global Forest Financing Facilitation Network: GFFFN)に改称し、既存の資金や新たな資金メカニズムへのアクセス向上を促進することなどが合意されました。
「第11回 国連森林フォーラム(UNFF11)」の結果

なお、2015年9月に、国連持続可能な開発サミットが国連本部(ニューヨーク)で開催され、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」が採択されました。2030アジェンダでは、17の目標と169のターゲットからなる「国連の持続可能な開発目標(SDGs)」が定められています。森林は、ターゲット15.2において「2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。」目標が掲げられているほか、その他多くのゴール及びターゲットに関係しています。

2017年1月のUNFF特別会合では、「国連森林戦略計画2017-2030」(United Nations Strategic Plan for Forests 2017-2030:UNSPF)及び「4ヶ年作業計画2017-2020」(Quadrennial Programme of Work:4POW)が採択されました。UNSPFにおいては、2030年までに国際社会が達成すべき目標として、6の世界森林目標及び関連する26のターゲットが掲げられており、各国はその達成状況を評価した報告書を定期的に報告していくことが求められています。

「国連森林戦略計画2017-2030」及び「4ケ年作業計画2017-2020」(英語)(PDF : 511KB)
国連森林戦略計画2017-2030(仮訳)(PDF : 473KB)

2017年の第12回会合(UNFF12)では、貧困削減、ジェンダーの公平、食料安全保障等の議題に関し、森林セクターが果たすべき貢献のあり方について幅広い議論が行われました。また、次回会合において、2018年の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum on Sustainable Development:HLPF)会合へのインプットをまとめることが決定されました。

2018年の第13回会合(UNFF13)では、森林と関わりの深いSDGsのゴール(SDG15を含む6つのSDGs)の達成に向けた森林が果たしうる貢献について、2018年のHLPF会合へのインプットをとりまとめました。また、UNSPF及び 4POWに基づいて、IAF2015やUNSPFの内容を実施していく体制について議論され、GFFFNの運営ガイドラインが採択されたほか、UNFFの国別報告様式が決定され2019年11月中旬までに同報告様式による報告を提出することとされました。

(参考)国連における森林問題への取組(外務省サイト)


持続可能な森林経営の「基準・指標」~モントリオール・プロセス~

モントリオール・プロセスは、持続可能な森林経営のための「基準・指標」の作成と適用を進める国際的な取組の1つです。カナダ、米国、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、豪州、ニュージーランド、中国、ロシア、韓国、日本の12ヵ国が参加し、1994年から、「基準・指標」の作成と改訂、指標に基づくデータの収集、国別報告書の作成等に取り組んできました。2007年からは我が国(林野庁)が事務局を務め、各国間の活動の企画調整等を行っています。

地球サミット(UNCED)以降、森林や森林経営の持続可能性を客観的に把握する「ものさし」として、基準・指標を作成する取組が国際的に進展してきました。モントリオール・プロセスのような取組は、欧州各国による汎欧州プロセス(最近ではフォレストヨーロッパと呼称)、国際熱帯木材機関(ITTO)加盟の熱帯木材産出国によるものなど、世界に9つあります。

 モントリオール・プロセスでは、1995年に基準・指標(7基準67指標)を作成、これに基づき参加各国でデータの収集等が行われ、2003年に参加各国の第1回国別報告書等が作成されました。その後、同報告書の作成を通じた指標の運用性や社会情勢の変化、技術開発の進展等を考慮し、2006年に主に技術的な分野である基準1~6の指標改訂(7基準64指標)、2008年には制度的な分野である基準7の指標改訂(7基準54指標)が行われました。2009年には、2006年の改訂指標に基づき収集されたデータを使用し、第2回国別報告書が参加国(約半数)によって作成され、また第13回世界林業会議(2009年、アルゼンチン)でサイドイベントの開催等を通じ取組が紹介されました。同報告書を作成することで、自国の森林の情報を持続可能性の観点から整理し把握することが可能になるほか、作成を繰り返すことで傾向を把握することが可能になります。これは政策の立案や一般市民の森林施策への理解の手助けにもなるでしょう。

モントリオール・プロセスの現在の「基準・指標」(7基準54指標)の概要は次のとおりです。

 基準1:生物多様性の保全(9指標:森林生態系タイプ毎の森林面積、森林に分布する自生種の数等)

 基準2:森林生態系の生産力の維持(5指標:木材生産に利用可能な森林の面積や蓄積、植林面積等)

 基準3:森林生態系の健全性と活力の維持(2指標:通常の範囲を超えて病虫害・森林火災等の影響を受けた森林の面積等)

 基準4:土壌及び水資源の保全維持(5指標:土壌や水資源の保全を目的に指定や管理がなされている森林の面積等)

 基準5:地球的炭素循環への寄与(3指標:森林生態系の炭素蓄積量、その動態変化等)

 基準6:長期的多面的な社会経済的便益の維持増進(20指標:林産物のリサイクルの比率、森林への投資額等)

 基準7:法的制度的経済的な枠組(10指標:法律や政策的な枠組、分野横断的な調整、モニタリングや評価の能力等)

(参考)

3. 開発途上国の森林減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+)

開発途上国では、熱帯林を中心に急速に森林の減少(deforestation)・劣化(forest degradation)が進んでいます。森林減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出を削減すること(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries; and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries, REDD+)が気候変動対策を進める上で重要となっています。

REDDは、過去の推移等から予想される森林減少からの排出量と実際の排出量との差に応じて資金などの経済的インセンティブを付与し、これにより森林減少の抑制を図るとの考え方として、2005年にパプアニューギニア等によって提案されました。2007年のCOP13以降、森林減少・劣化からの排出削減に加えて、森林保全や炭素蓄積の強化のための取組等も含めたREDD+(プラス)活動が緩和策の一つとして議論され、2010年のCOP 16でREDD+の大枠が定義づけられました(カンクン合意)。さらに2013年のCOP19でREDD+の方法論に関する基本的枠組が決定(ワルシャワ枠組)し、2015年のCOP21ではパリ協定第5条2項においてREDD+の実施と支援が奨励されるに至っています。

林野庁では、京都議定書のCDM植林プロジェクト形成に資するため研修などの支援を実施してきましたが、こうした知見も活かしつつ、衛星リモートセンシングによる森林資源の増減の把握などREDD+に必要となる技術開発を途上国で実施する事業や、本邦の技術者の養成、各国の調査等を行う事業への支援やセーフガードに関する調査や、REDD+に関する国際会議等を開催し、その実施を支援しています。

(参考)
CDM植林ヘルプデスク
森林総合研究所REDD研究開発センター

4. 違法伐採対策・木材貿易

違法伐採対策

違法伐採問題は、地球規模での環境保全、持続可能な森林経営の推進にとって極めて重要な課題であり、世界有数の木材輸入国である我が国の責務として、このような違法伐採問題の克服に向けて積極的な取り組みを行っているところです。詳細は以下のページをご参照下さい。

木材貿易

WTO

多角的貿易交渉のWTOドーハラウンド交渉では、林産物は、非農産品市場アクセス(Non-agricultural market access: NAMA(ナマ))交渉グループにおいて議論が行われています。NAMA交渉グループでは、農産物以外の全て(鉱工業品及び林水産物)に関する関税及び非関税障壁の撤廃・削減についての交渉が行われています。詳細については以下のページをご参照下さい。

EPA・FTA

各国との経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)交渉を進める際には、我が国全体として経済上・外交上の利益を考慮し、国内農林水産業・農山漁村の振興などを損なわないという基本的姿勢を堅持しながら、個別品目の事情に応じて戦略的に交渉に臨んでおります。また、これらの交渉を通じて持続可能な森林経営や地球環境の保全への取組の推進、木材自給率の向上等に資するよう努めております。各国とのEPA/FTAの締結状況や交渉の現状については、以下のページをご参照下さい。

貿易統計

林野庁では、財務省が公表している貿易統計のうち、木材の輸入額及び輸入量をとりまとめたものを公表しています。木材全体の輸入額及び主要な木材である丸太、製材、合板、木材チップ、集成材の輸入額・輸入量について、地域別や主な輸入先国別に集計し、過去3年間の木材輸入実績を並べて掲載しており、近年の木材輸入の動向が分かります。これまでの公表内容については、以下のページをご参照下さい。 

1999年木材輸入実績(PDF:26KB) 2000年木材輸入実績(PDF:51KB) 2001年木材輸入実績(PDF:38KB)
2002年木材輸入実績(PDF:38KB) 2003年木材輸入実績(PDF:41KB) 2004年木材輸入実績(PDF:40KB)
2005年木材輸入実績(PDF:149KB) 2006年木材輸入実績 2007年木材輸入実績
2008年木材輸入実績 2009年木材輸入実績 2010年木材輸入実績(PDF:157KB)
2011年木材輸入実績(PDF:175KB) 2012年木材輸入実績(PDF:204KB) 2013年木材輸入実績(PDF:199KB)
2014年木材輸入実績(PDF:190KB) 2015年木材輸入実績(PDF:175KB) 2016年木材輸入実績(PDF : 176KB)
2017年木材輸入実績(PDF : 92KB)    

その他

5. 森林・林業分野の国際協力

国際協力機構(JICA)等を通じた二国間協力

1976年にフィリピンで「パンタバンカン森林造成プロジェクト」を開始して以来、国際協力機構(JICA)を通じた二国間海外林業協力を世界各国で実施しています。二国間協力は、相手国政府の要請に応じ、各種国際的取り決めに基づいて実施されるもので、専門家の派遣、研修員の受け入れ、機材の供与などからなる技術協力と、無償及び有償の資金協力とに大別されます。

国際機関を通じた多国間協力

国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization, FAO)は、各国国民の栄養水準と生活水準の向上、食料及び農産物の生産及び流通の改善並びに農村住民の生活条件の改善を目的として、1945年に設立された国連専門機関です。我が国は、加盟国としての分担金の拠出、信託基金によるプロジェクトへの任意拠出、職員の派遣等の貢献を行っています。

国際熱帯木材機関(International Tropical Timber Organization, ITTO)は、熱帯林の持続可能な経営の促進と合法的に伐採された熱帯木材の貿易の発展を目的として、1986年に設立された国際機関です。本部を我が国(横浜市)に置いています。林野庁では、ITTOに対して、本部事務局経費に加え、持続可能な熱帯林経営の推進や違法伐採対策のための普及・啓発・人材育成に必要な経費を拠出しています。最近の国際熱帯木材理事会の結果については、以下のページをご参照下さい。
 

6. その他

多様化する森林・林業協力の要請に的確に対応するため、先駆的な技術の開発、開発途上国等の森林・林業に関する基礎調査、NGO等による海外植林活動の支援などに取り組んでいます。

  国際セミナー

林野庁では、世界の持続可能な森林経営の推進に貢献するため、森林分野の専門家等による国際対話にも取り組んでいます。

海外での植林等に関心のある方へ

お問合せ先

森林整備部計画課海外林業協力室

 代表:03-3502-8111(内線6146)
 ダイヤルイン:03-3591-8449
 FAX番号:03-3593-9565

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