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林野庁

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FAO・EU議長国フランス共催ハイレベル森林イベント

更新日:令和43月23日

3月15日(火曜日)、FAO・EU議長国フランス共催ハイレベル森林イベントである「生計向上、気候、生物多様性と森林の関係~森林減少抑止のための解決策~」が開催されました。
我が国政府を代表し、宮崎大臣政務官が、世界の森林減少抑止に向けた我が国の取組と今後の政策展開について発信しました。

1. 開催日時・形式

日時:令和4年3月15日(火曜日)2330分~2530分(日本時間)
形式:オンライン

2. FAO・EU議長国フランス共催ハイレベル森林イベント

(1)背景・目的

昨年11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会合(COP26)において公表された森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言を踏まえ、国連食糧農業機関(FAO)とEU理事会議長国であるフランスの共催により開催されました。本イベントは、森林の多面的機能と現代社会がもたらす森林の危機を解消する重要性を発信し、依然として進んでいる世界的な森林減少を食い止めるための機運を向上することを目的にしています。

(2)ハイレベルオープニング

オープニングにおいて、フランスのドゥノルマンディー農業・食料大臣(画像左上)、FAOの(くつ)事務局長(画像右上)、アフリカ連合のサッコ農村経済・農業委員(画像左下)に続き、日本から宮崎大臣政務官がオープニングステートメントを行いました。


ドゥノルマンディー農業・食料大臣は、「森林減少を抑止するために我々は今すぐ行動しなければなりません。また、我々は、食料安全保障の目標を見失うことなく、バリューチェーンの持続可能性を向上させ、気候、健康、そして生物多様性のために、全ての人の利益のため、共に行動したいと思います。」と述べました。続いて、屈事務局長は、森林の農地への転換が森林減少の主要な原因であることを踏まえ、「森林減少を食い止めながら、持続可能な生産を達成するウィン・ウィンの解決策を推進しなければならない。」と強調しました。

宮崎大臣政務官による演説の主なポイントは以下のとおり。

(ア)日本の森林は戦後に大きく荒廃したが、国を挙げての緑化運動などにより、現在、日本は国土の7割が森林に覆われる緑豊かな国となっている。

(イ)この森林を適切に管理し、持続的に利用することにより、次の世代へ引き継いでいくことが重要。これらを通じて、森林による温室効果ガスの吸収効果、木材による貯蔵効果を高め、2050年のカーボンニュートラルに貢献していく考えである。

(ウ)世界の森林保全に向けた日本の国際協力としては、REDD+(※1)を推進するためのJICA技術協力や、FAOITTO(※2)などの国際機関への拠出を通じた支援、二国間クレジット制度(JCM)を通じた民間資金による森林保全の取組等を行っている。

(エ)また、昨年11月に開催された気候変動枠組条約COP26における森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言や、総額120億ドルの支援を行うことを約束したグローバル森林資金プレッジに参画し、日本は世界の森林保全に貢献していく。

(オ)加えて、昨年、みどりの食料システム戦略を策定し、持続可能性に配慮した輸入原材料のあり方について検討を進めており、引き続き農産物の持続可能なサプライチェーン構築を通した森林減少の抑止に取り組む。

(3)パネルディスカッション

FAO
のマリオUN-REDD事務局長を司会に、FAOのティーナ林業部次長、欧州委員会のアストリッド環境総局課長、ドイツのセバスチャン経済協力開発省部長、コロンビアのアドリアーナ環境・持続的開発省課長及びセネガルのシェイク生態モニタリングセンター長の5名の実務者レベルで、世界の森林減少を抑止するための方策について活発な議論が行われました。各登壇者の主な発言は以下のとおり。

FAOFAOUN-REDDプログラム等を通じて各国を支援するとともに、最新のリモートセンシング調査により、90%の森林減少が農地への転用に起因していることを示す報告書を近く公表するなど、各国の政策決定に必要な情報を提供している。農業と林業の間のトレードオフを管理しながら、お互いにとって有益なウィン・ウィンとなる取組を各国と協力して進めていく。

欧州委員会:欧州委員会は、消費国の立場から、世界の森林減少を抑止するための法整備を検討している。森林減少が合法か否かの定義づけ、企業が順守するデューデリジェンスの枠組み、森林減少リスクの高い国・地域のカテゴリー分けなど、課題は多くあるが、引き続き関係国と議論を続けていく。

ドイツ:ドイツは各国に対して、農業サプライチェーンに起因する森林減少の抑止や地域のコミュニティの生計向上のための支援を実施している。また、OECDFAOによる森林減少を抑止するための企業向けのビジネスツールの策定や、フランス等の欧州国と協調して森林減少を伴わない農業サプライチェーン構築に関する新たなプログラムを実施しているところ。

コロンビア:コロンビアにおける森林の9割は先住民族が居住する土地に存在することから、彼らが持つ知恵や経験を活用することが重要である。また、地域のコミュニティに加えて、民間部門や地方政府、開発パートナー等の多様な関係者と協調して取り組むことが不可欠である。

セネガル:農業・森林分野に限らずアフリカには多くの援助や投資がされているが、未だにその潜在力が活かされていない。生産時の食品ロスが大きな課題で、そのためのインフラ投資や生産方法の改善が必要である。また、樹木と農作物・家畜とを組み合わせて生産するアグロフォレストリーは、一つの解決策となりうる。

最後に、欧州議会のマリア議員からこれまでの議論の総括が行われ、地域コミュニティの役割の重要性を再度強調しつつ、森林減少を抑止することに加えて、これまでに消失・劣化した森林・生態系の回復にも取り組む必要があること、計画段階から実施段階へ移っていくことが重要であること、そして何よりそれぞれの関係者が手を取り合い、協力して行動を加速していく必要があることなどの認識が示されました。本イベントにより、森林減少抑止に対する世界的な気運が高まることが期待されます。

Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries; and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries ; and以下が「+」に相当)の略で、持続可能な森林経営や適切な森林保全を通じて途上国における森林の減少や劣化を抑制し、温室効果ガスの排出削減や吸収増加を促進させる気候変動緩和策。

国際熱帯木材機関(International Tropical Timber Organization, ITTO)は、熱帯林の持続可能な経営の促進と持続的かつ合法的に生産された熱帯木材の貿易の発展を目的として、1986年に設立された国際機関。

イベントの映像はこちらから視聴出来ます。
https://www.fao.org/webcast/home/en/item/5779/icode/

お問合せ先

森林整備部計画課海外林業協力室

代表:03-3502-8111(内線6146)
ダイヤルイン:03-3591-8449