こちら特命森林調査隊「モリサー」「特命森林調査隊」(愛称=モリサー)は、森林に係る専門的な知識と調査技術の一層の向上を図るため、北海道森林管理局が管理している技術開発試験地等を活用し、実際に森林内における各種調査を行いながら、職員自ら国民の森林である国有林をどのようにすべきかを考え、森林調査の技術向上を目指しています。 北海道内各森林管理署等から登録があった若手職員主体で構成され、国立研究開発法人森林総合研究所北海道支所、林木育種センター北海道育種場などの研究機関のご協力をいただきながら、自己研鑽のための汗を流しています。 |
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「カラマツ人工林収穫試験地選木調査」(6月28日実施)6月28日、網走中部森林管理署置戸森林事務所管内の国有林において、カラマツ人工林収穫試験地の間伐の選木調査を森林総合研究所北海道支所の指導のもと行いました。 本試験地は昭和42年に設定された人工林における成長量、収穫量及び林分構造の推移の解明を目的に設置された試験地です。
この試験地は昭和28年植栽、面積は標準地0.199ヘクタール(約40メートル×50メートル)、外囲林0.681ヘクタール、合計0.88ヘクタールで、これまでに間伐を一度実施しています。
まず、形質良好な立木を残すこととし、偏った枝張りの木、上木の下層になってしまった木、成長の衰えた木等を優先的に間引くように選木を行いました。
現地は、最も高いもので30メールを超える立木もありましたが、残念ながら野ねずみ被害等によって枯れているものや近年の強風等により倒れているものが目立つ状況でした。
調査に参加して、カラマツ人工林であるため、野ネズミによる食害等による立枯や風倒木が顕著に見られ、その中で選木・残存木の配置を悩みながら判断しなければならず、大変勉強になりました。 初めての試験地調査を行う職員もおり、貴重な経験になったと思います。
「清川採取園(上川町)、雨紛採取園(旭川市)の着果調査」(6月27日)6月27日、上川中部森林管理署管内の清川採種園(上川町)及び雨紛採種園(旭川市)において着果調査を林木育種センター北海道育種場4名、北海道森林管理局技術普及課2名、網走西部森林管理署4名、上川南部森林管理署4名、留萌南部森林管理署3名の合計17名で実施しました。
今回の調査の目的は採種園ごとの着果状況を調べ、苗木生産に必要な豊凶度の情報提供を行うことです。今年はそれに加え、樹高・枝下高・胸高直径についても調査しました。これは、着果状況と樹木の成長の関係を研究するもので、解明されれば豊凶の予測などに役立ちます。 着果状況についての調査方法は、アカエゾマツ・カラマツ40本、トドマツ30本を対象に球果(マツボックリ)となる雌花の豊凶度を5段階評価(アカエゾマツ・トドマツの場合、樹幹全体の1/2以上なら5、1/3の範囲なら4、1/4の範囲なら3、全体にわずかなら2、全く着果なしなら1になり、カラマツの場合、樹幹全体に濃く着果していれば5、全体に薄く着果していれば4、全体にまばらに着果していれば3、全体にわずかに着果していれば2、全く着果が見られなければ1)で判定していきます。(5は豊作、3は並作、1は凶作)
清川採種園ではアカエゾマツの着果状況を調査しました。単眼鏡や双眼鏡を使いながら確認していきますが、なかなか見つけることができず評価2、評価1と凶作傾向でした。 雨紛採種園ではカラマツ、トドマツの着果状況を調査しました。ここでは評価3をいくつか見つけることができましたが、全体を通してやはり凶作傾向でした。
樹木の成長量の測定は超音波樹高測定器と輪尺を使い行いました。超音波樹高測定器は樹木の高さを測るための器械です。
計り方は 1.測定対象木の根元から高さ1.3メートルの位置に応答器を設置 2.木の梢頭が見える位置から測定器の照準窓をのぞき、照準を応答器に合わせて測定ボタンを押す(水平距離の測定) 3.続いて、樹冠を構成している主要な枝の中で最も低い位置についている枝に照準を合わせて測定ボタンを押す(枝下高の測定) 4.最後に、木の梢頭に照準を合わせて測定ボタンを押す(樹高の測定) 5.測定器が、自動的に「樹高・枝下高」を算出し、ディスプレイに数値が表示される 以上の手順に沿って測定していきます。なお、超音波測定器は、対象木を見通せなくても応答器から出る超音波をとらえることが出来れば、樹高を測ることが出来ます。しかし、付近で大きな音を立てたときや、雨天時で雨粒の音が絶えないようなときは誤作動を起こす場合があるとのことでした。
【調査を終えた隊員の感想】 ・最初は超音波樹高測定器の操作に戸惑ったり、照準窓をのぞきながら梢頭を見上げ照準を合わせることが難しかったりと大変でしたが、慣れてくるとスムーズに操作を進めることができよかったです。 ・今回、初めて着果調査に参加しましたが、今年は着果が少なく、探して見ることが出来たものもごく僅かで残念でした。しかし、調査方法や探し方のコツをベテランの方に教えていただき、良い経験になりました。次年度も、同じ調査を実施すると伺っているので、また参加したいと思います。 ・今回の調査では、調査対象である今年着果した球果を見られず残念だったが、昨年の古い球果はいくつか見ることができ、良い経験になった。調査方法についても、実際に身体を動かして作業することで理解を深めることができ、非常に良い勉強となりました。
「銀山採種園(仁木町)と発足採種園(共和町)の着果調査」(6月17日実施)平成28年6月17日、あいにくの天気でしたが、石狩森林管理署管内の銀山採種園(仁木町)と後志森林管理署管内の発足採種園(共和町)において、石狩森林管理署から3名、後志森林管理署から2名、北海道森林管理局から4名が参加し、森林総合研究所林木育種センター北海道育種場の方々の指導のもと着果調査等を実施しました。 今回の調査目的は、遺伝的に優れた種子を安定的に供給するため、種苗生産者等への豊凶情報の提供を行うことです。調査内容は、トドマツ固定調査木40本の着果状況を評価判定する着果調査、超音波樹高測定器による樹高・枝下高の測定及び輪尺による胸高直径を測定する成長量調査の2種類を行いました。 1 着果調査着果調査の具体的な方法は、双眼鏡等を用いてトドマツの樹冠全体を、後に球果(いわゆるマツボックリ)となる「雌花」の量を観察し、5段階評価で豊凶の判定を行うというものです。全く着果が見られない場合を「1」として、1個でも着果していたら「2」となります。頭頂部から4分の1の範囲で着果していると「3」になります。「2」の評価には幅があり、「3」と迷う場合は「2」と判断します(評価5が「豊作」で、評価3が「並作」、評価1が「凶作」)。
調査結果に統一性が出せるよう、事前に参加者全員が目合わせするのですが、なかなか球果が見つけられませんでした。昨年度は、全道的に「凶作」ということでしたが、今年度も、球果がほとんど見られず、「凶作」が予想されます。
双眼鏡を用いて、じっくり観察すると、雌花の色が黄緑色のもの、赤紫色のものなどがありました。トドマツの雌花は、上向きで梢頭辺りに多く見られるため、調査木から離れて樹冠全体が見渡せる場所から観察することが必要でした。 特に銀山採種園においては、隣接している広葉樹の葉が調査木の樹冠に重なっており、その枝葉に視界を遮られるという状況が多く、観察しにくい状況でしたが、なんとか観察することができました。
一方、発足採種園は、園内の作業道が整備され、林床も比較的歩きやすい状況でした。また、林床や林縁部では、採種園のトドマツの種から発芽した稚樹が数多く育っておりました。
2 成長量調査今年度から、着果の状況と調査木の成長量の因果関係の有無を明らかにするため、「樹高、枝下高測定」を行うこととなりました。具体の方法は、超音波樹高測定器を使用し、次のような手順で行いました。
3 調査を終えた感想
4 全体を通して本調査のご指導を頂いた森林総合研究所林木育種センター北海道育種場の皆様、本当にありがとうございました。 森林調査隊の一員として着果調査等について、一部分でありますが、現地において直に肌で感じた1日間であり、大変有意義でありました。 最後に、種子の安定的な生産(着果促進)を試みた接ぎ木から3年を経過したものを見せて頂きました。種子から育てたものより着果速度が5~10年程度速くなるそうです。周りを防水シートで覆い、植生の侵入を防ぎ水量を調節するという対策が取られておりました。接ぎ木を初めて見せて頂きましたが、継ぎ目がはっきりわかる状態でとても興味深く有意義なときであり今後の成長が気になりました。
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森林整備部技術普及課
担当者:企画官(技術開発)
ダイヤルイン:050-3160-6285
FAX:011-614-2654