10月23日、十勝東部森林管理署上足寄森林事務所部内(足寄町上足寄)において、森林総合研究所北海道支所の研究者2名と当署職員3名の5名で、天然林施業実験地に防鹿ネットの設置及び天然林無施業区への試験地設定と蓄積調査を行いました。
この試験地は、1950年からデータ収集が行われ、天然林施業実験地としては世界的にも古く貴重な林分であり、約10年間隔で択伐(不良木や過熟木を伐採し後継樹を育成する施業)を行い、概ね350m3/haの蓄積で推移しており、一定の優良林分が保続され理想的な施業が行われて、天然林施業のモデル地となっています。
はじめに、天然更新木へのエゾシカによる食害を定量把握するため、簡易な防鹿ネットの設置を行いました。
この鹿ネットは他の地域では、冬期は雪の重みで倒壊してしまうため積雪前に一旦撤去していますが、積雪の少ない足寄地区において通年設置が可能かどうかを試験するため設置しました。

鹿ネット(6m×6m方形、高さ2m)を張っていきます。

完成しました。
なお、鹿は黄色に対し盲目であるため、赤やピンクテープで障害物の存在をアピールして飛び込みや衝突を防ぎます。
次ぎに、実験林内の過去に伐採を行っていない無施業区内に、今後の生育状況を継続的に調査していくため、試験区の設定と蓄積調査を行いました。
まず、50m×80mの試験地を測量して区域を表示し、蓄積調査は地際から1.3mの高さで直径を計測し、今後同じ場所で計測できるよう青スプレーで印付け、調査木にナンバーを付して調査を行いました。今回は時間の関係で一部だけの調査で終了しましたが、今後は全木この調査を行い樹高も測って生育状況の推移を見て行きます。

50m×80mの試験区を設定 ナラタケやホウキタケが顔を出していました
今回行った試験地の設定と第一回目の蓄積調査は、普段は立ち会うことが出来ない作業であり、貴重な体験をさせて頂きました。また、研究者の方の林業最先端のお話も聞かせて頂き非常に興味深かったです。
このような機会があれば参加していきたいと思います。
トドマツ人工林においては、高齢化に伴い、材の腐朽が進行している林分も見られ、今後の施業を検討する上でも、これらの実態を把握す必要があり、その一環としての伐根調査を実施しました。
国有林としては、これまで経験のない調査ということもあり、午前中は道総研林業試験場の研究者から、菌類の生態、防除方法等これまでの研究成果をしっかりとレクチャーしていただき、午後から作業現場(空知署管内)にて調査を実施しました。
伐根に付着した泥を金ブラシで取り除き、腐朽状況の計測を行い、1本1本写真を撮影しました。
最初は腐朽の判定等戸惑いもありましたが、何とか50本程度の調査を無事終えることができました。
腐朽の原因究明のためには、これらの調査データは北海道全体においてもまだまだ少なく、今後引き続き、国有林における調査を継続していく必要を感じているところです。

