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特命森林調査隊モリサー

 2014年7月のミッション 

「特命森林調査隊」(愛称=モリサー)は、森林に係る専門的な知識と調査技術の一層の向上を図るため、北海道森林管理局が管理している技術開発試験地等を活用し、実際に森林内における各種調査を行いながら、職員自ら国民の森林である国有林をどのようにすべきかを考え、森林調査の技術向上を目指しています。

北海道内各森林管理署等から登録があった若手職員主体で構成され、独立行政法人森林総合研究所北海道支所林木育種センター北海道育種場などの研究機関のご協力をいただきながら、自己研鑽のための汗を流しています。                              

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 「雨紛採種園における着果促進の取組みについて」(7月18日掲載)

みなさんこんにちは。

網走西部森林管理署 西紋別支署 総務グループから特命森林調査隊に参加している今廣です。

私は6月19日に実施した雨紛採種園における着果調査の後、森林総合研究所 林木育種センター 北海道育種場の職員の方とともに、平成25年度のグイマツの植栽箇所を確認してきました。

この植栽作業には私も参加させてもらっていたので、その後の成長が気になっていたのです。

植え付け直後の様子

グイマツ植栽直後の様子(平成25年5月15日) 

 

雨紛採種園では、カラマツ類の着果促進技術を開発するため、北海道育種場が試験的に間伐や植栽を実施しています。

 

北海道育種場と上川中部森林管理署では「採種園の取扱いに関する覚書」を締結しており、雨粉採種園をモデルとして、カラマツ類種子の安定的な生産に有効な採種園の整備技術を開発しようとしています。

採種園整備の流れは簡単に言うと、①光環境改善のために間伐→②伐採列にグイマツを植栽→③将来的にはカラマツとグイマツが交互に列状になった採種園を形成する、といったところです。

従来の採種園のランダム植えだと、カラマツとグイマツの雑種F1のできる可能性(雑種率)が60%程度にとどまるのに対し、カラマツとグイマツが交互に列状にあると、雑種率がほぼ100%になるのだそうです。

カラマツを父親、グイマツを母親にした雑種F1は、カラマツの成長のよさとグイマツのネズミ耐性を兼ね備えた優れた樹木になるので、この雑種F1を安定的に生産できるようになることはとても重要です。

というわけで、雨紛採種園では平成23年に受光間伐、平成24年に植栽箇所の地拵え、平成25年・26年にグイマツの植栽を行いました。

さらにグイマツの植栽の時には、防草シートとハイトシェルターの設置も試みました。

植え付け作業

グイマツ植栽→防草シート敷設→ハイトシェルター装着(平成25年5月15日)

 

防草シートは苗木の周囲に杭で固定して敷き、雑草の繁茂を防いで下刈の負担を軽減する効果が期待されます。

ハイトシェルターはポリプロピレンでできたチューブ状のもので、成長促進や食害を防止する効果が期待され、苗木を覆うように設置します。

これらの効果は如何ほどかと思い平成25年度の植栽列を見に行くと・・・驚きました。

植栽から1年経過しているのに下草は生えておらず、下刈りをしたのかと勘違いするほどでした。

植栽後1年経過しても下刈り不要

植栽から1年を経ても下刈り作業は不要でグイマツはすくすく成長中(平成26年6月19日)

 

植栽の時に苗木1本1本の周囲に防草シートを設置するのは手間がかかりますが、その後の下刈りの負担はかなり軽減できるのではないかと思いました。

ちなみに、防草シートは50cm四方、1m四方、2m四方の3種類の大きさのものを設置したのですが、小さいと草が苗木に被りがちになるので、大きいサイズの方が効果も大きいように感じました。

今後、防草シートの効果がどれほど持続するのか、防草シートは自然分解されないので撤去する際にどれほどコストがかかるのかも気になるところです。

さらに、平成25年度に植栽した苗木の活着率は90%以上と高く、ハイトシェルターの効果もあるのか伸びもよく、すでに70cmのハイトシェルターより高くなっているものも見られました。

今後も、機会があればこの植栽箇所の成長を観察していきたいなと思います。 


Posted by 西紋別支署 総務グループ 事務管理官 今廣|2014.7.18|

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 着果調査参加レポート(7月17日掲載)

ここからは見やすい調査

みなさん、こんにちは。

技術普及課 緑の普及係から特命森林調査隊に参加している大塚です。

私は6月26日に実施した、石狩森林管理署の銀山採種園(仁木町)及び後志森林管理署の発足採種園(共和町)での着果調査に参加した際に、森林総合研究所 林木育種センター 北海道育種場の研究者の方から説明していただいた内容等をとりまとめてみました。 

着果のメカニズム

  • 前年5 ~6月の日照時間が、翌年の開花数に影響する。5~6月(特に午前中)に霧が発生することが多く、日照時間が少ない地域では着果数が少ない傾向にある。
  • 列状間伐を行うと、残し幅の端の列の日当たりの良くなった木で、翌年の雌花数が増加する。日当たりの悪い木では、花の数が少ない。
  • 着果数には、日照以外に気温の影響もある。
  • 木はストレスを感じると危機を感じて着果量が増えるという調査結果がある(日照時間の増加や気温の上昇は木にとってストレスなのか? それとも単純に着果に関する条件がよくなったと考えるべきか?)
  • 2年連続して大豊作ということはない。大豊作の翌年は並作程度。多くの花を付けるのに、木が多大なエネルギーを投資しているためか?

 

見づらくて大変だった調査

双眼鏡で着果状況を確認中。見えづらくて大変でした。

この体勢が続くと、結構キツイ・・・ orz

 

調査における留意事項

  • 今回調査を行ったトドマツでは、個体によって雌花の色が白~黄緑色のもの、赤紫色のもの、茶色がかったものなどがあった。これは1本の木の中で時期によって変化するのではなく、元々の個体の差(クローン)。(ただ、白っぼいものが時間の経過とともに黒っぼくなることはあるそう)。光の当たり方で影になり黒っぼく見える場合もある ので、雄花や昨年の球果との見分けに注意が必要。
  • トドマツの雌花は上向きに、しかも樹冠上部に多く着くので、木から離れて樹冠全体が見渡せる場所に立って調査することが必要。木の下から見上げると確認が難しい。

 

調査を終えた感想

  • 銀山採種園においては、隣接している広葉樹(ニセアカシア等)の葉が調査木の樹冠に重なっているおり、見づらかった。また、林床が笹のためスムーズに移動ができなかった。隣接する畑地に入ることができれば、樹冠全体がよく見えて調査がしやすいと思われる。
  • 発足採種園は、道路がよく整備されており、調査環境、採種環境ともに良好。道路が入っていることで日当たりが良くなり、着果量にも良い影響があるかもしれない。
  • 同じ樹齢、樹種、隣どうしで生育する木でも、着果量に差があった。 同一の状況にならないところに生物の戦略があるのだろうか?。  
  • 昨年不作だった発足採種園では、今年は昨年よりは多いとのこと。雌花がついているのが分かると、調査が楽しく感じられる。  

 

暑い中、丸一日、木の枝先を見上げる作業でしたが、研究者の方からいろいろなことを教えていただきながら調査を行えたことは大変有意義な経験になりました。

今後の業務にも活かしていきたいと思います。


Posted by 技術普及課 緑の普及係長 大塚|2014.7.17|

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お問い合わせ先

森林整備部技術普及課
担当者:技術開発主任官
ダイヤルイン:050-3160-6285
FAX:011-614-2654

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