森林資源情報のデジタル化/スマート林業の推進
近年、ICTなどの新技術の開発が著しく進展していますが、森林・林業分野においても、新技術を積極的に活用し、森林管理や林業の効率化等を図ることが期待されています。 林野庁では、森林管理の基礎となる資源情報の高度化、データや最新技術を活用した「スマート林業」を推進しています。 |
森林資源情報のデジタル化
森林クラウドの導入
森林を適切に管理するには、森林計画制度の運用、森林整備の促進、保安林の管理など様々な業務を行っていく必要があります。このため、各都道府県では、その基礎となる森林簿や森林基本図等の情報をデジタル化して、一元的に管理しています。
これらのデータ整備に当たっては、バラバラな形式ではなく、標準化とクラウド化を進め、自治体間の連携、林業経営体へのデータ提供を効率的に出来るようにしておくことが有効です。林野庁では、ベースとなる「標準仕様書」を作成して、標準仕様書に基づく「森林クラウド」の導入を促進しています。
関係資料
- 森林クラウドシステムに係る標準仕様書ver.6.1(令和4年3月)(外部リンク:日本森林技術協会HP)(PDF:6,958KB)
- 森林クラウドシステムに関わる情報セキュリティガイドラインVer6.0(令和3年3月)(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:2,241KB)
レーザ計測の活用
森林の資源量は林木の成長に伴い、常に変化しています。また、伐採や造林、林地転用等が行われれば、属地的に大きな変化が生じます。このため、林野庁では、森林の動向変化を全国統一的な標本調査の手法で把握しています。あわせて、都道府県では、日々の業務を通じて把握した情報を森林簿や森林基本図等に反映しています。
他方、広大な森林を調査するには、多大な人員や時間がかかるため、「レーザ計測」に注目が集まっています。これは、レーザ光を照射して高さなどを測るもので、データ解析により地形を詳細に把握することができます。さらには、樹高や森林蓄積を正確に推計することが可能であり、森林管理や林業経営のために有効に活用できます。
このため、林野庁では、レーザ計測の実施を支援するほか、「森林資源データ解析・管理標準仕様書」を作成しています。これにより、計測時点や計測者が異なるデータの統合や比較ができるようになり、森林・林業関連アプリの開発などの進展も期待されます。これにあわせ、森林クラウドへのレーザ計測データの搭載、森林簿等への反映が可能となるよう、森林クラウドの標準仕様書も見直しています。
関係資料
- 航空レーザ測量について(外部リンク:国土地理院)
- 森林資源データ解析・管理標準仕様書案 Ver2.0(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:4,093KB)
- 高精度な森林情報の整備・活用のためのリモートセンシング技術やその利用方法等に関する手引き(平成30年3月)(PDF : 8,417KB)
- 航空機LiDARデータを使った地位指数分布図の作成の手引き(令和4年3月)(PDF : 5,055KB)
- 収益性と災害リスクを考慮した森林ゾーニングの手引き(森林ゾーニング支援ツール「もりぞん」操作マニュアル)(令和4年3月)(PDF:13,520KB)
- 令和2年度レーザ計測による森林資源データの解析・管理の標準化事業報告書(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:48,930KB)
- 令和3年度レーザ計測による森林資源データの解析・管理の標準化事業報告書(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:12,127KB)
- 令和3年度リモートセンシング技術等を用いた森林の機能別調査の手法に関する調査事業報告書(令和4年3月)(PDF : 3,696KB)
- 令和4年度森林情報オープン化推進対策事業報告書(令和5年3月)(PDF : 9,246KB)
- 令和5年度森林情報オープン化推進対策委託事業報告書(令和6年3月)(PDF : 11,924KB)
スマート林業の推進
林業は、造林から収穫まで長期間を要し、厳しい自然条件下での人力作業が多いといった特性があり、このことが低い生産性や安全性の一因となっています。
これを抜本的に改善するため、森林・林業基本計画では、新技術を活用し、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」を展開することとし、各般の施策を推進しています。ここでは、特に、地理空間情報やICT等を駆使する「スマート林業」の取組を紹介します。
スマート林業の実践
ICT等の先端技術を現場レベルで活用して、林業の効率化や省力化等を図る「スマート林業」を全国12地域で実践しています。
各地域においては、森林情報の高度化・共有化、原木の生産流通の効率化などのテーマを設定して技術実証を行い、その成果を全国に普及する「横展開」を図っています。また、モデル事業の実施だけでなく、最新技術を取り入れた「スマート機器」の導入に対しても支援を行っています。
関係資料
- スマート林業実践マニュアル(総集編)(PDF : 7,383KB)
- 平成30年度スマート林業構築普及展開事業事例集(PDF : 2,832KB)
- 令和元年度スマート林業構築普及展開事業事例集(PDF : 4,201KB)
スマート林業構築普及展開事業報告書
平成30年度報告書(PDF : 9,020KB)
令和元年度報告書(PDF : 15,601KB)
令和 2年度報告書(PDF : 17,338KB)
令和 3年度報告書(本体)(PDF : 26,829KB)
令和 3年度報告書(地域協議会資料)(PDF : 27,218KB)
令和 4年度報告書(一式)(PDF : 22,885KB)
分割版その1(PDF : 5,290KB), その2(PDF : 9,056KB), その3(PDF : 8,947KB)
ICTによる生産管理に向けて
我が国の林業は、路網整備や機械化等により生産性が徐々に向上していますが、その取組は途上にあります。また、原木の供給は小規模・多段階の構造を脱しておらず、生産流通コストが高く、川中に対する価格交渉力も弱い状況にあります。これを解決するには、施業集約化等を通じて、原木供給ロットの拡大と価格交渉力の向上を図るとともに、商物分離やトラック輸送の合理化等により、生産流通コストを削減することが重要です。
このため、レーザ計測により取得した森林資源データを活用し、供給能力の裏付けとなるストック(資源量)を把握した上で、生産見込み材積、山土場ごとの丸太材積をデータで管理し、直送トラックの配送計画を組むといった「生産管理」を視野に入れた条件整備を進めています。
具体的には、都道府県が取得し、標準形式で森林クラウド上に管理されたレーザ計測データを二次利用することを想定し、このデータ形式に合わせた「ICT林業生産管理システム標準仕様書」を作成しています。これにより、データ形式をそろえた生産管理に関する様々なアプリやシステム開発が進展することが期待されるところであり、標準仕様に即したシステム導入等も支援することとしています。
関係資料
- ICT林業生産管理システム標準仕様書案 Ver1.0(アプリ編)(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:1,225KB)
- ICT林業生産管理システム標準仕様書案 Ver1.0(機械管理編)(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:1,493KB)
- ICT生産管理システムの標準化事業報告書(令和3年度)(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:6,349KB)
- ICT生産管理システムの標準化事業報告書(令和2年度)(外部リンク:日本森林技術協会)(PDF:8,244KB)
お問合せ先
森林整備部計画課
担当者:全国森林計画班
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