民有林への貢献
国有林野の管理経営にあたっては、民有林と同一の流域(森林計画区)を基本的な単位として、森林の流域管理システムの下、林業の活性化等に向け、流域の課題やニーズの的確な把握、森林計画等策定のための意見調整等について民有林関係者などと連携して推進することとしています。
具体的には、国有林野において流域ごとに立てる「国有林の地域別の森林計画」等を作成・変更する場合には、流域内の市町村をはじめとする民有林関係者からも意見を聴取してその反映に努めるとともに、ブロック会議や検討会等を開催し、流域内の課題についての意見や情報の交換を行っています。
また、これら流域内の課題の解決に向け、国有林と民有林の連携による森林整備や木材の安定供給等の事業の実施や、国有林の組織・技術力・資源を活用し民有林の経営に対する支援を行うなど、林業の成長産業化に貢献する以下の取組を進めています。
1.森林共同施業団地
国有林野事業では、地域における施業集約化の取組を支援するため、国有林野と民有林野が近接している地域において、間伐等の森林施業を連携して行うことなどを目的とした「森林共同施業団地」の設定を推進しています。
令和5年度末現在、全国で167か所に団地を設定しており、国有林と民有林が連携した事業計画の策定に取り組むとともに、国有林野と民有林野を接続する効率的な路網の整備や、連携した木材の供給等、施業集約に向けた取組を広げています。
森林共同施業団地の現況
注:年度末の数値であり、事業が終了したものは含まない。
通知等:「民有林と協調した森林整備等を推進するために森林管理署等が地方公共団体等との間で締結する協定について」(平成15年4月22日14林国経第35号林野庁長官通知)(PDF : 126KB)
2.公益的機能維持増進協定制度
国有林野に隣接・介在する民有林野の中には、間伐等の施業が十分に行われず国土の保全などの国有林野が発揮している公益的機能に悪影響を及ぼすもの、病虫獣害や外来種の繁茂が国有林野で実施する駆除等の効果に支障をきたすものもあります。
このような場合において、「公益的機能維持増進協定制度」により、森林所有者等と森林管理局長が協定を締結し、国有林野と一体的に民有林野の整備及び保全を進め、区域全体の公益的機能の維持増進を図っています。
図 公益的機能維持増進協定のイメージ
通知等:「『公益的機能維持増進協定取扱要領』の制定について」(平成25年3月28日付け 24林国経第61号)(PDF : 173KB)
3.民有林と連携したシステム販売
国有林野事業では、システム販売によって需要者への安定供給等に取り組んできたこれまでの実績を活かし、国有林と民有林が協調して木材を出荷する、民有林と連携したシステム販売の取組を拡げています。
通知等:民有林と連携した林産物の安定供給システムについて(平成25年3月26日付け24林国業管第159号林野庁長官通知)(PDF : 113KB)
事例 民有林と連携したシステム販売の取組
各森林管理局では、従来、供給量が小さく、販路の確保が困難であった民有林材の供給先を確保し、需要者に対してまとまった量の木材を安定供給するため、⺠有林と国有林が連携したシステム販売による木材の安定供給に取り組んでいます。令和5年度は、民有林材約11千立方メートルと国有林材約110千立方メートル(ともに丸太換算)を出荷しました。
当該システム販売に際しては、森林共同施業団地における民有林と連携した施業集約化による木材生産コストの低減、間伐材等の搬出時期の調整や貯木場の共同利用等による木材供給ロットの拡大など、様々な取組を進めています。
[写真]
民有林と共同利用する貯木場に素材(丸太)が集められている様子(長野県木曽郡木祖村)
4.市町村の森林・林業行政に対する技術支援
国有林野事業では、森林管理署等と都道府県の森林総合監理士等の連携による「技術的援助等チーム」の設置等を通じ、民有林の人材育成支援に取り組むとともに、地域の林業関係者の連携促進や「市町村森林整備計画」の策定とその達成、森林経営管理制度の運用に向けた支援等を行っています。
このうち、国有林として全国で実施していく市町村の森林行政への支援の取組等について、事例集を作成しています。
掲載されている事例は一例となりますが、国有林職員向けの基礎研修への参加や、計画策定に向けた調査の手法、林業技術に関する現地検討会、ドローンやICTの活用など、地域のニーズに応じて様々な形での支援が可能です。
森林行政について、特に技術的な面で課題を抱えている場合は、ぜひこの事例集を参考にしていただき、最寄りの森林管理局・署等にご相談ください。
国有林(森林管理局・署等)による市町村森林行政支援事例集(2024年11月版)
林野庁関連リンク:森林総合監理士(フォレスター)
森林経営管理制度(森林経営管理法)について
5.樹木採取権制度
令和元年6月5日に「国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律」が可決、成立しました。
本法律は令和2年4月1日に施行され、「樹木採取権制度」がスタートしました。
平成31年4月1日、森林経営管理法が施行され、経営管理が不十分な民有林を都道府県が公表する民間事業者に集積・集約する森林経営管理制度がスタートしました。
この制度を円滑に機能させるためには、国有林が、民有林を補完する形で、長期・安定的にこうした民間事業者に木材を供給するとともに、国産材の需要拡大に向けて川上と川中・川下の需要者との連携強化を図ることが有効です。
このため、引き続き、国有林で実施している立木販売事業等の入札による現行の方式を基本としつつ、新たに「樹木採取権制度」として国有林の一定の区域(樹木採取区)において立木を一定期間、安定的に採取する権利を民間事業者に設定できる仕組みを追加して実施することとしました。
林野庁関係リンク:樹木採取権制度について
各森林管理局における取組
森林管理局 | 管轄地域 |
北海道森林管理局 | 北海道 |
東北森林管理局 | 青森県|岩手県|宮城県|秋田県|山形県 |
関東森林管理局 | 福島県|茨城県|栃木県|群馬県|埼玉県|千葉県|東京都|神奈川県|新潟県|山梨県|静岡県 |
中部森林管理局 | 長野県|富山県|岐阜県|愛知県 |
近畿中国森林管理局 | 石川県|福井県|滋賀県|三重県|奈良県|和歌山県|京都府|大阪府|兵庫県|鳥取県|岡山県|島根県|広島県|山口県 |
四国森林管理局 | 香川県|徳島県|愛媛県|高知県 |
九州森林管理局 | 福岡県|大分県|佐賀県|長崎県|宮崎県|熊本県|鹿児島県|沖縄県 |
お問合せ先
国有林野部経営企画課
担当:経営計画班
代表:03-3502-8111(内線6282)
ダイヤルイン:03-3502-8347