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林野庁

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第1部 第1章 第3節 林業従事者の動向(4)


(4)女性の就業の動向

我が国の経済は、産業のサービス化の進展や雇用慣行の変化等に直面している。こうした変化の中で、女性ならではの経験や価値観を事業に反映することが期待されており、経済成長の担い手としての女性の可能性が注目されている。また、将来的に労働力人口の減少が見込まれている中、林業現場においても多様な働き方を実現し、女性の林業への就業を進めていくことが重要である。

平成28(2016)年4月から、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」が施行され、事業主には、自社の女性の活躍に関する情報把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定等が義務付けられている(*42)。

女性の林業従事者については、かつて、植付け等の育林作業に多くの者が従事し、昭和60(1985)年には19,151人であったが、平成27(2015)年には2,750人と、男性より大きく減少している。一方で、機械化の進展(*43)など直接的な力を必要としない現場が増えてきたこと等を背景に、伐木・造材・集材従事者においては直近の5年間では増加に転じている(資料1-18)。


「緑の雇用」アンケートによると、林業に就業した後の不安について、女性では健康面・体力面を挙げている者が回答者のうち6割を占めるなど最も多かった。さらに学生アンケートにおいても、就職先に求める条件として、女性の回答者では「女性が働きやすい職場」の項目を119人中67人が答えていた。このように女性の就業促進のためには、労働条件の整備がより必要とされている状況もうかがえる。

女性の参画促進に向け、働き手の立場に立った職場環境整備が重要であり、特に職場環境の厳しい林業分野においても、ライフスタイルに配慮した就業環境の整備、高性能林業機械の導入の促進等、労働環境の改善に向けた様々な取組を進めていくことが重要となっている。

高知県四万十町(しまんとちょう)の(株)はまさきの濱崎康子氏は、配偶者がUターンにより実家の土木建設業を継承するに当たり、他事業への展開を検討し、林業に参入することとした。濱崎氏は提案型施業に積極的に取り組むとともに、女性の従業員も積極的に雇用している。女性従業員の視点や、女性同士のチームワークが現場作業の効率化をもたらすとの考えから、将来は女性のみの作業班をつくることを目指している(事例1-7)。

また、山梨県山梨市の(株)神子沢(みこざわ)林業では、機械操作に男女の違いはないとし、性別にこだわらずに適材適所の人材を採用している。また、これと同時に、産休・育休の制度を創設するなど、女性が継続して就業できるよう職場環境の整備も行っている。現在、社員29名中5名が女性であり、現場作業にも3名が従事している。同社社長の神子沢春男氏は、女性採用の利点として、細やかな機械操作や丁寧なメンテナンス作業を挙げており、女性の就業が進んだことで、職場環境の改善が進み、男性の就業も促進されたとしている。

また、学生や様々な職業の女性たちから成る「林業女子会」は、平成30(2018)年11月現在、全国で24グループが形成され、林業に関する活動や情報発信を行っている。


(*42)労働者が300人以下の民間事業主については努力義務。

(*43)機械化の進展については、第3章(126-127ページ)参照。


挿絵3

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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