林業種苗生産
森林整備における優良種苗の確保の必要性
森林の整備には数十年の長期間を要し、この間、林木は厳しい自然環境の下で生育するとともに、容易には植え替えができないことから、森林の整備の成否は苗木そのものの素質に委ねられる部分が大きくなっています。このため、その基礎資材である林業用種苗については、成長、通直性等の優良性はもとより、特に、外観からは判断できない産地、系統、耐寒性等の遺伝的優良性の確保が重要です。
多面的機能を有する森林を整備するためには、需要に見合う優良種苗の確保を図ることが重要であり、優良種苗の生産の安定を図るとともに、適正な流通を維持することが、ひいては森林の適正な整備の推進につながります。
林業種苗法
この法律は、以下のとおり、種苗に関する措置を定めることにより、優良な種苗の供給を確保し、もって適正かつ円滑な造林を推進して林業総生産の増大及び林業の安定的発展に資することを目的としています。
- 優良な採取源の指定
- 生産の事業を行なう者の登録
- 配布の際の表示の適正化
- 種苗の配布区域の制限 etc.
指定採取源の整備状況
優良な種苗の確保のための指定採取源については、林業種苗法に基づき農林⽔産⼤⾂が指定する特別⺟樹(林)と都道府県知事が指定する普通⺟樹(林)及び育種⺟樹(林)があり、令和4(2022)年度末現在、全国で、5,934箇所、16,025ヘクタールとなっています。
指定採取源指定箇所数及び⾯積(令和4(2022)年度末現在)【単位:箇所、ha】特別母樹林 | 普通母樹林 | 育種母樹林 | 計 | ||||
箇所数 | 面積 | 箇所数 | 面積 | 箇所数 | 面積 | 箇所数 | 面積 |
114 | 1,113 | 5,120 | 13,874 | 700 | 1,038 | 5,934 | 16,025 |
特別⺟樹(林)︓育種素材としての特に優良な種穂の供給源
育種⺟樹(林)︓優良な実⽤種穂の供給源のうち育種により育成されたもの
普通⺟樹(林)︓育種⺟樹(林)以外の優良な実⽤種穂の供給源
林業種苗法の条文等
- 林業種苗法(PDF : 197KB)
(昭和45年法律第89号) - 林業種苗法施行令(PDF : 84KB)
(昭和45年政令第194号、最終改正:平成11年政令第416号) - 林業種苗法施行規則(PDF : 538KB)
(昭和45年農林省令第40号、最終改正:令和3年農林水産省令第23号) - 林業種苗法の施行について(PDF : 311KB)
(昭和45年8月31日45林野造884号農林事務次官依命通達、最終改正:令和3年6月30日3林整整第319号) - 林業種苗法の運用について(PDF : 291KB)
(昭和45年10月9日45林野造1246号林野庁長官通達、最終改正:令和3年6月30日3林整整第318号) - 林業用種苗の配布区域外への配布申請の手続きについて(PDF : 165KB)
(昭和46年7月24日46林野造第738号林野庁長官通達、最終改正:令和2年12月25日2林政政第487号) - 林業用優良種苗生産流通推進要綱(PDF : 440KB)
(昭和36年9月9日36林野造第2817号林野庁長官通達、最終改正:令和3年6月30日3林整整第343号) - 山林用主要苗木の標準規格設定について(PDF : 247KB)
(昭和33年12月24日33林野造第16622号林野庁長官通達、最終改正:令和5年5月1日5林整整第10号)
苗木生産の状況
苗⽊の⽣産量は減少傾向で推移し、平成25(2013)年度には約56百万本まで減少しましたが、平成26(2014)年度から増加し、令和4(2022)年度の生産量は約67百万本となっています。
苗木生産の工程(PDF : 386KB)
国営・民営別山行苗⽊⽣産量の推移(PDF : 101KB)
主要樹種の苗木需給見通し(令和6年度第1四半期)(PDF : 91KB)
主要樹種の苗木需給見通し(令和6年度第2四半期)(PDF : 92KB)
苗⽊⽣産事業者の現状
近年、生産事業者の高齢化、減少等が進行しており、令和4(2022)年度の生産事業者数は約850事業者となっています。
一方、コンテナ苗生産事業者数は増加傾向にあり、コンテナ苗生産事業者数調査を始めた平成26(2014)年度には約250でしたが、令和4(2022)年度には約540となっています。
経営形態別苗⽊⽣産事業者数及び育苗面積の推移(PDF : 106KB)
コンテナ苗
コンテナ苗とは
コンテナ苗は、容器内⾯にリブ(縦筋状の突起)を設け、容器の底⾯を開けるなどによって根巻きを防⽌できる容器(林野庁が開発したマルチキャビティーコンテナ、宮崎県林業技術センターが開発したMスターコンテナなど)で育成した苗⽊で、根が培地に張り巡らされ、根鉢が容易に崩れない状態(成形性)が保たれ、根が垂直⽅向に発達して根巻きしないのが特徴です。
また、機械化による生産の効率化や育苗施設の利用による生産期間の短縮、これまで植栽に適さなかった時期においても高い活着率等が期待できることから、今後、再造林を低コストで実施する上で必要不可⽋であり、コンテナ苗の⽣産拡⼤を進めていくこととしています。
コンテナ苗の特徴について、詳しくは以下のPDFファイルをご覧下さい。
コンテナ苗の⽣産量は、平成21(2009)年度の89千本から、令和4(2022)年度には30,839千本と拡⼤しています。
コンテナ苗の⽣産状況【単位:千本、都道府県数】年度 | H21 (2009) |
H22 (2010) |
H23 (2011) |
H24 (2012) |
H25 (2013) |
H26 (2014) |
H27 (2015) |
H28 (2016) |
H29 (2017) |
H30 (2018) |
R元 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
生産量 | 89 | 265 | 404 | 758 | 1,142 | 2,568 | 4,695 | 7,147 | 10,021 | 13,719 | 18,974 | 22,888 | 26,244 | 30,839 |
コンテナ苗に関する情報(基礎知識、標準化に向けた調査事業報告書等)
低コスト造林に資するコンテナ苗は、林野庁として普及を積極的に推進してきた結果、生産量が徐々に増加していますが、コンテナ苗に関する多くの情報の中には、誤ったものも見受けられています。
コンテナ苗の育苗方法や特徴等の最新の知見、生産技術の標準化に向けた調査事業の結果等について以下のページにまとめました。
コンテナ苗に関する情報(「森林づくりの新たな技術」ページ内)
山林用主要苗木標準規格(コンテナ苗)の解説(PDF : 3,037KB)
令和6年度コンテナ苗の技術習得研修会
我が国の人工林資源が利用期を迎える中、公益的機能の持続的な発揮と森林資源の持続的な利用を図るためには、伐採後の再造林を確実に実施する必要があります。再造林にあたっては、低コスト造林に不可欠なコンテナ苗を安定供給していくことが重要です。
このため、コンテナ苗の供給拡大等に向けて、全国各地で苗木生産者や造林者等を対象としたコンテナ苗生産の技術研修及び巡回指導を実施します。令和5年度の研修会等の開催予定は以下のファイルをご覧下さい。
令和6年度コンテナ苗の技術習得研修会等(PDF : 112KB)
種苗生産に関する支援
確実な再造林を行うに当たって、成長に優れた品種やコンテナ苗等の優良な苗木を低コストで安定的に供給する体制の整備が必要であることから、以下のような支援を行っています。
関連ページへのリンク
- 林野庁における花粉発生源対策
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/ - 特定母樹
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/kanbatu/boju.html - 森林整備について
https://www.rinya.maff.go.jp/j/seibi/sinrin_seibi/index.html - 森林づくりの新たな技術(林業種苗生産に関する技術に関する報告書等を掲載しています。)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kanbatu/houkokusho/houkoku.html
お問合せ先
森林整備部整備課造林間伐対策室
担当者:造林資材班
ダイヤルイン:03-3502-8065