今回の研修では「道内を取り巻く木質バイオマスの現状」、「今後における木質バイオマス政策」を中心に「バイオマス利用を踏まえた木材流通の仕組み」から「バイオマス利用を踏まえた森林整備の今後」までについて、研究者、バイオマスタウン推進自治体の担当者、民間企業の専門家などから話を聞き、また実際に木質バイオマス工場や利用施設等の見学を通じて、准フォレスターとしての活動のあり方をグループワーク方式で演習します。

1日目は、南幌町にある木質ペレット製造工場と、これを燃料として利用している温泉施設の見学を行いました。

南幌町では、町内におけるバイオマスの賦存量の状況やその利活用など地域の特性を踏まえ、地域内でのバイオマス資源を総合的に利活用するため、平成21年度に「南幌町バイオマスタウン構想」を策定し、稲わら等のバイオマスの利活用の実現に向けた取り組みが進められています。

（参考）南幌町「地域新エネルギーの推進に向けて」

 

 

南幌町の晩翠工業団地にある、広教資材（株）の木工場とそのペレット製造プラントを見学させていただきました。

この工場では、学校用の木工教材などを製造しており、その過程から出る「端材」から木質ペレット燃料を製造しています。

製造したペレットは、工場内の熱源としてペレットボイラーの燃料として活用するほか、町内の公共施設や一般家庭に販売しています。

 

工場内の製材過程から出る端材を「おがくず」化し、ダクトでペレット製造プラントに自動的に送り込み、どんどん木質ペレット燃料が製造されていきます。

 

工場では同社の押岡社長に案内していただきました。

研修生からは「フォレスター」としての視点で質問をさせていただき、ペレット製造のノウハウ、木質バイオマスの利活用に関する現状、課題、そして今後の展望などについて説明していただきました。

ペレット製造プラントの導入時には、ペレットの成形がうまくいかないなど苦労もあったそうですが、現在ではノウハウを蓄え、安定した製造ができるようになったそうです。また、これらの技術を活かし、広大な田園地帯である南幌町ならではの、「稲わら」を原料としたペレット燃料の製造にも取り組んでおり、数々の知見から研修生に沢山のアドバイスをいただきました。

 

続いて、晩翠工業団地の向かい側にある南幌町の公共入浴施設、なんぽろ温泉ハート＆ハートにお邪魔させていただき、入浴施設のシャワーなど（※）にお湯を供給しているペレットボイラー施設を見学させていただきました。

※南幌温泉の源泉は45度なので加温の必要がないそうです。

 

温泉の建物（右）のとなりにペレットボイラー棟が建ち、外には木質ペレット用と”稲わら"ペレット用の、2つの大きなタンクが設置されています。

 

ペレットボイラー施設では、南幌町役場まちづくり課企画情報グループの木内主査に案内していただきました。

ここでも、研修生からフォレスターとしての視点で数々の質問をさせていただき、南幌町バイオマスタウン構想の現状、課題、将来の展望などについてご説明いただきました。

ペレットボイラーの導入時は、重油価格をペレットの価格が上回っていたそうですが、近年は重油価格の大幅な上昇により、ペレットの経済的優位性が出てきているとのことでした。

また、バイオマスボイラーの運用には、重油ボイラーとは違ったノウハウが必要であり、導入にあたっては、しっかりとした調査と準備が必要とのことでした。

 

1日目の今日、研修生のみなさんは、2つの施設の見

学や現地の生の声を聞き、明日からの演習等に向け、地域内におけるバイオマス資源の循環利用などについての現状や課題などについて情報を集めました。

明日は、木質バイオマスの研究者、バイオマスタウン構想の推進自治体、民間企業の専門家等からの講義を受け、「フォレスターとしてどうバイオマスに向き合うか」演習を進めます。

公教資材（株）の押岡社長様、南幌町役場の木内主査様、お忙しい中ご案内、ご説明いただきありがとうございました。