日本の森林・林業の今
実は私たちの生活にもつながっている森林と林業の役割、基礎知識を
平成30(2018)年度版から、ピックアップして紹介します。


2017年の林業産出額は4859億円で、木材と特用林産物がそれぞれ約5割ずつを占める。「特用林産物」とは、一般に用いられる木材を除き、森林原野を起源とする生産物の総称のこと。食用のきのこ類、樹実類や山菜類など、漆や木ろうなどの伝統工芸品の原材料、竹材、桐材、木炭などがこれに含まれ、きのこ類がその生産額の8割を占めている。


将来にわたって森林が有する様々な機能を発揮していくためには、「伐(き)って、使って、植える」という形での循環利用をしていかなくてはならない。そのためには、林業の成長産業化の実現や森林の適切な整備・保全が極めて重要である。


我が国の森林は、地球温暖化防止や生物多様性の保全など、様々な働きを通じて国民生活の安定や経済の発展に寄与している。例えば、樹木の根は土砂や岩石などをおさえ、崩れるのを防いでおり、森林によって育まれた土壌は水質の浄化などに役立っている。これは「森林の有する多面的機能」といわれており、学者たちによって一部の機能については貨幣での価値が示されている。


日本には2505万haの森林があるが、その約4割に相当する1020万haは「人工林」だ。これらの人工林は、戦中に荒廃した森林の復旧造林、戦後復興や高度経済成長期を支える木材を供給するための拡大造林、その後の下刈り、間伐などの保育…と先人達による膨大な人手と時間をかけて造成されてきた。現在、その半数が一般的な主伐期である50年生を超える。すなわち本格的な利用期を迎え、森林資源はかつてないほどに充実しているといえる(※齢級は、林齢を5年の幅でくくった単位。苗木を植栽した年を1年生として、1~5年生を「1齢級」と数える)。


森林・林業・木材産業に関わる様々な資格制度が存在している。例えば、森林・林業・木材産業を支える技術者の国家資格には技術士(森林部門)がある。また、民間資格としては林業技士・森林情報士といった資格をはじめ、木材産業に関わる資格や森林レクリエーションに関わる資格などがある。


国が管理する「国有林野」は、全国で758万haあり、これは日本の国土面積(3780万ha)の約2割、森林面積(2505万ha)の約3割に当たる。これらの国有林野の中で、原生的な森林生態系を有する森林や希少な野生生物の生育・生息の場となる森林である「保護林」と、野生生物の移動経路となる「緑の回廊」において、モニタリング調査などを通じた適切な保全・管理を推進している。
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