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第1部 第5章 第2節 国有林野事業の具体的取組(1)


(1)公益重視の管理経営の一層の推進

森林に対する国民の期待は、国土の保全や水源の涵(かん)養に加え、地球温暖化の防止、生物多様性の保全等、公益的機能の発揮を中心として多岐にわたっている(資料5-2)。

このため、国有林野事業では、公益重視の管理経営を一層推進するとの方針の下、重視される機能に応じた管理経営を推進するとともに、民有林との一体的な整備・保全を実施し、民有林を含めた面的な機能発揮に積極的に取り組んでいる。


(ア)重視すべき機能に応じた管理経営の推進

(重視すべき機能に応じた森林の区分と整備・保全)

国有林野の管理経営に当たっては、個々の国有林野を重視すべき機能に応じて「山地災害防止タイプ」、「自然維持タイプ」、「森林空間利用タイプ」、「快適環境形成タイプ」及び「水源涵(かん)養タイプ」の5つに区分した上で、それぞれの流域の自然的特性等を勘案しつつ、これらの区分に応じて森林の整備・保全を推進することとしている(資料5-3)。また、木材等生産機能については、これらの区分に応じた適切な施業の結果として得られる木材を、木材安定供給体制の整備等の施策の推進に寄与するよう計画的に供給することにより、その機能を発揮するものと位置付けている。


国有林野においては、森林資源の成熟に伴い、森林資源の循環利用の観点から主伐後の確実な更新を図るとともに、森林生態系全般に着目し、公益的機能の向上に配慮した施業を行っていくなど、機能に応じた多様で健全な森林づくりが必要となっている。このため、同一空間内、あるいは、一定の範囲内における小面積・モザイク的配置からなる複層林や針広混交林へと誘導していく施業、伐採年齢の長期化等に取り組んでいる。


(治山事業の推進)

国有林野には、公益的機能を発揮する上で重要な森林が多く存在し、平成29(2017)年度末現在で国有林野面積の90%に当たる685万haが水源かん養保安林や土砂流出防備保安林等の保安林に指定されている。国有林野事業では、国民の安全・安心を確保するため、自然環境保全への配慮やコストの縮減を図りながら、治山事業による荒廃地の整備や災害からの復旧、保安林の整備等を計画的に進めている。

国有林内では、集中豪雨や台風等により被災した山地の復旧整備、機能の低下した森林の整備等を推進する「国有林直轄治山事業」を行っている。

民有林内でも、大規模な山腹崩壊や地すべり等の復旧に高度な技術が必要となる箇所等では、地方公共団体からの要請を受けて、「民有林直轄治山事業」と「直轄地すべり防止事業」を行っており、平成30(2018)年度においては、16県22地区の民有林でこれらの事業を実施した。

また、国有林と民有林との間での事業の調整や情報の共有を図るため、各都道府県を単位とした「治山事業連絡調整会議」を定期的に開催するとともに、国有林と民有林の治山事業実施箇所が近接している地域においては、流域保全の観点から一体的な全体計画を作成し、国有林と民有林が連携して荒廃地の復旧整備を行っている。

さらに、大規模な山地災害が発生した際には、国有林野内の被害状況を速やかに調査する一方で、被災した地方公共団体に対する調査職員の派遣や、ヘリコプターによる広域的な被害状況の調査等、早期復旧に向けた迅速な対応に加え、地域住民の安全・安心の確保のための取組を通して、地域への協力・支援に取り組んでいる。


(路網整備の推進)

国有林野事業では、機能類型に応じた適切な森林の整備・保全や林産物の供給等を効率的に行うため、林道及び森林作業道を、それぞれの役割や自然条件、作業システム等に応じて組み合わせた路網整備を進めている。このうち、基幹的な役割を果たす林道については、平成29(2017)年度末における路線数は13,297路線、総延長は45,698kmとなっている。

路網の整備に当たっては、地形に沿った路線線形にすることで切土・盛土等の土工量や構造物の設置数を必要最小限に抑えるとともに、現地で発生する木材や土石を土木資材として活用することにより、コスト縮減に努めている。また、橋梁(りょう)等の施設について、長寿命化を図るため、点検、補修等に関する計画の策定を進めている。

さらに、国有林と民有林が近接する地域においては、民有林と連携して計画的かつ効率的な路網整備を行っている(事例5-1)。

事例5-1 民有林と連携した路網の整備

北海道森林管理局石狩森林管理署(北海道札幌市)では、積丹町(しゃこたんちょう)及び国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センター札幌水源林整備事務所との3者により「積丹地域森林整備推進協定」(区域面積1,937ha)を平成20(2008)年11月に締結し、効率的な路網整備と間伐等の森林整備を連携して推進している。

この協定に基づき、平成29(2017)年度までに約36kmの路網(林業専用道・森林作業道)を3者で整備してきたところであり、更に連携した森林整備を促進するため、平成30(2018)年度には石狩森林管理署が、国有林だけでなく民有林で生産された原木のトラック運搬にも活用できる森林作業道を2.3km開設するべく調査設計と工事に着手した。

このような取組により、効率的な路網整備及び森林施業が進むことで、当該地域における林業がより一層活性化されることが期待される。

民有林に接続する国有林の林業専用道を整備予定

(イ)地球温暖化対策の推進

(森林吸収源対策と木材利用の推進)

国有林野事業では、森林吸収源対策を推進する観点から、引き続き間伐の実施に取り組むとともに、保安林等に指定されている天然生林の適切な保全・管理に取り組んでいる。平成29(2017)年度には、全国の国有林野で約11万haの間伐を実施した(資料5-4)。


また、今後、資源の充実に伴う伐採面積の増加が見込まれる中、将来にわたる二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化を図る必要があることから、効率的かつ効果的な再造林手法の導入・普及等に努めながら、主伐後の確実な再造林に率先して取り組むこととしている。平成29(2017)年度の人工造林面積は、全国の国有林野で約0.8万haとなっている。

さらに、間伐材等の木材利用の促進は、間伐等の森林整備の推進に加え、木材による炭素の貯蔵にも貢献することから、林道施設や治山施設の森林土木工事等において、間伐材等を資材として積極的に利用している(事例5-2)。平成29(2017)年度には、林道施設で約0.6万m3、治山施設で約4.9万m3の木材・木製品を使用した。また、森林管理署等の庁舎についても、原則として木造建築物としての建て替えを進めており、平成29(2017)年度には、CLT(直交集成板)を活用した庁舎整備(四国森林管理局嶺北(れいほく)森林管理署、九州森林管理局西都児湯(さいとこゆ)森林管理署)を行った(事例5-3)。

事例5-2 林道事業における木材利用の推進

近畿中国森林管理局滋賀森林管理署(滋賀県大津市)では、土木工事における木材利用を進めており、滋賀県甲賀(こうか)市信楽町(しがらきちょう)(三郷山(さんごう山)国有林)の三郷山林業専用道第一支線の新設工事において、切土法面(のりめん)の侵食防止等を目的とする丸太伏工(ふせこう)を施工した。

この工法は法面下部に丸太を並べて施工することにより、降雨等による法面侵食を防止する効果があるほか、法面が草で覆われることがないため、草刈等の維持管理コストの軽減も期待される。

工事に伴う支障木として本来廃棄処分されるヒノキ材(31.3m3)を利用することにより、資源の有効利用を図るとともに、工事コストの軽減にもつながった。

事例5-3 CLTを本格活用した庁舎整備

林野庁と国土交通省は、公共建築物でのCLT活用促進に向けて、四国森林管理局嶺北(れいほく)森林管理署(高知県本山町(もとやまちょう))の建替事業において、国の庁舎整備で初めて本格的にCLTパネル工法を採用した。

完成した新庁舎には、主要構造部の壁、2階床、屋根などにCLTパネル約190m3が使用されており、建物正面の外壁をガラス張りにすることで、施設利用者以外からもCLT構造がわかるデザインが採用されている。


(ウ)生物多様性の保全

(国有林野における生物多様性の保全に向けた取組)

国有林野事業では、森林における生物多様性の保全を図るため、「保護林」や「緑の回廊」におけるモニタリング調査等を通じた適切な保全・管理を推進するとともに、多様な森林づくりの推進、森林の適切な保全・管理、施業現場における生物多様性への配慮等に取り組んでいる。これらの取組は、平成24(2012)年に閣議決定された「生物多様性国家戦略2012-2020」にも生物多様性の保全と持続的な利用を実現するための具体的施策として位置付けられている。

各森林管理局の森林生態系保全センターや森林ふれあい推進センター等では、地域の関係者等との協働・連携による森林生態系の保全・管理や自然再生、希少な野生生物の保護等の取組を進めている(事例5-4)。また、世界自然遺産(*3)や日本百名山のように、来訪者の集中により植生の荒廃等が懸念される国有林野においては、「グリーン・サポート・スタッフ(森林保護員)」による巡視やマナーの啓発活動を行い、貴重な森林生態系の保全・管理に取り組んでいる。

事例5-4 南三陸地域におけるイヌワシ生息環境の再生に向けた取組

イヌワシは、狩り場の減少等により日本で絶滅が危惧されている大型猛禽(もうきん)類である。イヌワシの行動範囲は、一つがい当たりおよそ6,000haにも及ぶため、その生息環境を再生するには、これら広範囲の森林に関わる多様な主体が連携して取り組むことが重要である。このため東北森林管理局では、古くからイヌワシの生息地として知られている宮城県南三陸地域において、平成30(2018)年度に株式会社佐久(宮城県南三陸町(みなみさんりくちょう))と連携し、イヌワシの生息環境の再生と林業振興の両立を目指す今後5年間の森林計画を策定し、かつてのイヌワシの行動範囲内に一定面積の伐採地が継続的に作られるように森林管理を実施している。

この取組は平成27(2015)年に東北森林管理局、宮城県南三陸町、地元林業経営者、自然保護団体等が連携して発足させた「南三陸地域イヌワシ生息環境再生プロジェクト」の推進に資するものであり、引き続き官民が連携して、森林資源の循環利用を進めながら、イヌワシの狩り場にもなる伐採地・造林地を継続的に創出することで、計画的に伐採された木材の活用による地域の林業の成長産業化とイヌワシの生息環境の再生を目指すこととしている。


(*3)現在、我が国の世界自然遺産は、「知床」(北海道)、「白神山地」(青森県及び秋田県)、「小笠原諸島」(東京都)及び「屋久島」(鹿児島県)の4地域となっている。



(保護林の設定)

国有林野事業では、我が国の気候又は森林帯を代表する原生的な天然林や地域固有の生物群集を有する森林、希少な野生生物の生育・生息に必要な森林を「保護林」に設定している(資料5-5)。平成30(2018)年4月現在の保護林の設定箇所数は666か所、設定面積は97.7万haとなっており、国有林野面積の13%を占めている。


これら保護林では、森林の厳格な保護・管理を行うとともに、森林や野生生物等の状況変化に関する定期的なモニタリング調査を実施して、森林生態系等の保護・管理や区域の見直し等に役立てている(事例5-5)。

事例5-5 「猪八重(いのはえ)照葉樹林生物群集保護林」を設定

九州森林管理局は、宮崎県日南(にちなん)市猪八重地区にある地域固有の生物群集を有する国有林を保護・管理するため、平成30(2018)年9月に「猪八重照葉樹林生物群集保護林」(481ha)を新たに設定した。

当該地域は、標高250~700m付近まで連続する原生的な天然林で、ルリミノキ-イチイガシ群集等の多様な植物群落が標高や地形に応じて成立しており、同様な森林は日本でもほとんど残されていない。特に低標高域には胸高直径1m・樹高30m前後のイチイガシの巨木が優占する照葉樹林があり、林内には希少な植物が多いほか、渓流沿いは日本でも有数の蘚苔(せんたい)類の宝庫となっている。また、哺乳類、鳥類、昆虫類など様々な動物が生息しており、地域を代表する生物多様性の豊かな照葉樹林となっている。

同森林管理局では、同保護林内のモニタリング調査を行うとともに、生育・生息する希少野生動植物の盗採・密猟等への監視活動の強化等を行うこととしている。


(緑の回廊の設定)

国有林野事業では、野生生物の生育・生息地を結ぶ移動経路を確保することにより、個体群の交流を促進し、種の保全や遺伝子多様性を確保することを目的として、民有林関係者とも連携しつつ、保護林を中心にネットワークを形成する「緑の回廊」を設定している。平成30(2018)年4月現在、国有林野内における緑の回廊の設定箇所数は24か所、設定面積は58.4万haであり、国有林野面積の8%を占めている(資料5-5)。

これら緑の回廊では、野生生物の保護等のための巡視、モニタリング調査、生育・生息環境の保全・整備等を研究機関、自然保護団体等の参加・協力を得て実施している。


(世界遺産等における森林の保護・管理)

世界遺産一覧表に記載された我が国の世界自然遺産は、その陸域のほぼ全域(95%)が国有林野である(資料5-6)。国有林野事業では、遺産区域内の国有林野のほとんどを世界自然遺産の保護担保措置となっている「森林生態系保護地域」(保護林の一種)に設定し、厳格な保護・管理に努めるとともに、世界自然遺産登録地域を、関係する機関とともに管理計画等に基づき適切に保護・管理しており、外来植物の駆除や植生の回復事業、希少種保護のための巡視等を行っている。例えば、「白神(しらかみ)山地」(青森県及び秋田県)の国有林野では、世界自然遺産地域への生息範囲拡大が懸念されるシカについて、環境省と連携し、センサーカメラによるモニタリングを実施するとともに、「小笠原(おがさわら)諸島」(東京都)の国有林野では、アカギやモクマオウなど外来植物の駆除を実施し、小笠原諸島固有の森林生態系の修復に取り組んでいる。また、平成31(2019)年2月に自然遺産として世界遺産一覧表へ記載するための推薦書をユネスコに再提出した「奄美大島(あまみおおしま)、徳之島(とくのしま)、沖縄島(おきなわじま)北部及び西表島(いりおもてじま)」についても、その推薦区域の約7割が国有林野である。国有林野事業では、推薦区域の生物多様性の保全を図るため、国有林野のほとんどを森林生態系保護地域に設定し、関係する機関と連携して、イリオモテヤマネコ等の希少種保護のための巡視や、ギンネム等の外来植物の分布状況調査及び駆除などに取り組んでいる。


このほか、世界文化遺産についても、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」(山梨県及び静岡県)など、その構成資産等に国有林野が含まれるものが少なくない。国有林野事業では、これらの国有林野についても厳格な保護・管理や森林景観等に配慮した管理経営を行っている。

さらに、「世界文化遺産貢献の森林(もり)」として、京都市内や奈良盆地、紀伊(きい)山地及び広島の宮島(みやじま)における約4,600haの国有林野を設定し、文化財修復資材の供給、景観の保全、檜皮(ひわだ)採取技術者養成フィールドの提供、森林と木造文化財の関わりに関する学習の場の提供等に取り組んでいる。

また、「ユネスコエコパーク(*4)」に所在する国有林野については、「森林生態系保護地域」を始めとした保護林や緑の回廊に設定するなどしており、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目指す地方公共団体等の取組に貢献している。


(*4)ユネスコの「生物圏保存地域」の国内呼称で、1976年に、ユネスコの自然科学セクターの「ユネスコ人間と生物圏計画」における一事業として開始された。生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的としている。詳しくは第2章(88-89ページ)を参照。



(希少な野生生物の保護と鳥獣被害対策)

国有林野事業では、国有林野内を生育・生息の場とする希少な野生生物の保護を図るため、野生生物の生育・生息状況の把握、生育・生息環境の維持及び改善等に取り組んでいる。一方、近年、シカによる森林植生への食害やクマによる樹木の剥皮等の、野生鳥獣による森林被害は依然として深刻であり、希少な高山植物など、他の生物や生態系への脅威ともなっている。

このため、国有林野事業では、野生鳥獣による森林被害対策として、防護柵の設置、被害箇所の回復措置を実施するとともに、GPSや自動撮影カメラ等によるシカの生息・分布調査や被害調査、職員によるくくりわな等による捕獲、効果的な捕獲技術の実用化や普及活動の推進、猟友会等と連携した捕獲推進体制の構築等に取り組んでいる。

また、地域における農林業被害の軽減・防止へ貢献するため、捕獲鳥獣のジビエ利用、わなの貸与等の捕獲への協力も行っている(事例5-6)。

事例5-6 地域と連携したシカ被害対策の取組

猟友会へ小型囲いわな組立・使用方法の実演をしている様子

平成30(2018)年10月、東北森林管理局岩手南部森林管理署遠野(とおの)支署(岩手県遠野市)は、地域と連携してシカによる農林業被害及び生態系被害の防止対策を推進するため、遠野市及び遠野猟友会との3者で「ニホンジカ等被害対策協定」を締結した。

同協定では、遠野市内の国有林及びその周辺民有林を対象区域として、同支署がシカ捕獲のための「わな」を協定相手方に貸与し、その「わな」を使用してシカの捕獲を行ってもらうこととしている。

同協定に基づき貸与した小型囲いわな(注)は柵の上部が空いているのが特徴であり、保護・管理の対象であるツキノワグマを誤って捕獲することを防止しつつ、シカを捕獲できるものである。また、同支署は、小型囲いわなの組立方法や使用方法を実演して説明するなど、関係者間での協力体制を構築し、地域のシカ被害対策に努めている。


注:小型囲いわなは四国森林管理局で開発されたものであり、詳細は「平成27年度 国有林野の管理経営に関する基本計画の実施状況」P60を参照。


(自然再生の取組)

国有林野事業では、シカやクマ等の野生鳥獣や、松くい虫等の病害虫、強風や雷等の自然現象によって被害を受けた森林について、その再生及び復元に努めている。

また、地域の特性を活かした効果的な森林管理が可能となる地区においては、地域、ボランティア、NPO等と連携し、生物多様性についての現地調査や荒廃した植生回復等の森林生態系の保全等の取組を実施している(事例5-7)。

さらに、国有林野内の優れた自然環境を保全し、希少な野生生物の保護を行うため、環境省や都道府県の環境行政関係者との連絡調整や意見交換を行うなど、関係機関と連携しながら「自然再生事業(*5)」の実施や「生態系維持回復事業計画(*6)」の策定等の自然再生に向けた取組を進めている。

事例5-7 千歳山(ちとせやま)の再生に向けた松くい虫被害対策の取組

東北森林管理局山形森林管理署管内に所在する千歳山は、昔から市民の憩いの場として親しまれており、その大部分を国有林が占めている。一方で、昭和57(1982)年に初めて松くい虫被害が確認されて以降は、同森林管理署が薬剤散布や伐倒駆除など被害対策を実施してきた。

平成30(2018)年9月、山形市と共催で「千歳山の再生に向けた植樹体験」が開催され、抵抗性アカマツの植樹体験のほか、同森林管理署が千歳山で実施してきた「松くい虫・ナラ枯れ被害対策」や「落石防止のための治山工事」の取組、千歳山の植生について説明を行った。

開催に当たって参加者を募集した際には、早々に定員に達するなど地域の方々の「千歳山の再生」に対する関心の高さと熱意がうかがわれ、同森林管理署としても今後も市民から親しまれる千歳山を目指して地域と一体となり「千歳山の再生」に取り組むこととしている。


(*5)「自然再生推進法」(平成14年法律第148号)に基づき、過去に失われた自然を積極的に取り戻すことを通じて、生態系の健全性を回復することを直接の目的として行う事業。

(*6)「自然公園法」(昭和32年法律第161号)に基づき、国立公園又は国定公園における生態系の維持又は回復を図るため、国又は都道府県が策定する計画。



(エ)民有林との一体的な整備・保全

(公益的機能維持増進協定の推進)

国有林野に隣接・介在する民有林の中には、森林所有者等による間伐等の施業が十分に行われず、国土の保全等の国有林野の公益的機能の発揮に悪影響を及ぼす場合や、民有林における外来樹種の繁茂が国有林野で実施する駆除の効果の確保に支障となる場合もみられる。このような民有林の整備・保全については、森林管理局長が森林所有者等と協定を締結して、国有林野事業により一体的に整備及び保全を行う「公益的機能維持増進協定制度」が、平成25(2013)年度に開始された。

国有林野事業では、同制度の活用により、隣接・介在する民有林と一体となった間伐等の施業の実施や、世界自然遺産地域における生物多様性保全に向けた外来樹種の駆除等に向け、民有林所有者等との合意形成を進めており、平成30(2018)年3月末現在までに15か所(452ha)の協定が締結された(資料5-7)。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-3502-8036

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