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林野庁

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第1部 特集 第2節 木材利用拡大に向けた取組(2)

(2)建築物への木材利用をめぐる新たな動きと対応

(建築物ライフサイクルカーボン評価の制度化に向けた検討)

2050年ネット・ゼロの実現に向けて温室効果ガスの排出量削減の取組が進められる中、建築物の建設から解体に至るまでのライフサイクル全体を通じた二酸化炭素排出量(ライフサイクルカーボン)は、世界のエネルギー起源の二酸化炭素排出量の約4割を占めているとされ(*28)、この削減が必要となっている。建築分野の二酸化炭素排出は、建築物の使用段階のエネルギー消費における排出(オペレーショナルカーボン)と、建築に必要となる資材製造段階、施工段階、使用段階(資材関係)、解体段階における排出(エンボディドカーボン)に分類され、オペレーショナルカーボンについては省エネルギー対策により削減のための取組が進められてきているが、併せてエンボディドカーボンの削減も重要になってきている(資料 特-16)。

ライフサイクルカーボンの削減については、例えば、EUにおいては、2024年4月に改正された「建築物のエネルギー性能指令(*29)」により、加盟国は、2028年から1,000m2超の新築建築物のライフサイクルカーボンの算定・公表を義務付けなければならないこととされており、一部の国においては、建築物のライフサイクルカーボンの上限値を設定した規制が既に導入されるなど、国際的にも取組が進んでいる。

我が国においても、令和6(2024)年11月に設置された「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」において、建築物ライフサイクルカーボン評価の制度化に向けた検討が開始された。令和7(2025)年4月には「建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取組の推進に係る基本構想」が決定され、令和10(2028)年度を目途に建築物ライフサイクルカーボン評価の実施を促す制度の開始を目指すこととされた(*30)。これを受けて、建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進するための制度の在り方についての検討が進められている。

木材は、他資材と比較して製造時の二酸化炭素排出量が少ないことなどから、建築物において木材を利用することで、建築時のエンボディドカーボンを削減することが可能である(*31)。今後、制度化を通して建築物ライフサイクルカーボン評価が一般化することで、建築資材としてこれまで以上に木材が選択され、木材利用が進むことが期待される。


資料 特-16 建築物のライフサイクルにおける二酸化炭素排出


(*28)UNEP (2024) Global Status Report for Buildings and Construction: 29.

(*29)Energy Performance of Buildings Directive (EU/2024/1275)

(*30)建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議「建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取組の推進に係る基本構想」(令和7(2025)年4月)

(*31)林野庁「令和4年度CLT・LVL等の建築物への利用環境整備(ア)木質建築資材の利用拡大の環境整備報告書」(令和5(2023)年3月)



(温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)の見直し)

企業等による温室効果ガスの排出量については、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)において、一定量以上排出する特定排出者(*32)に対して自らの排出量の算定と国への報告を義務付けて国が公表している。これまでは、SHK制度に基づく算定・報告において、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量に対してJ-クレジット(*33)等による調整を行うことができたが、これに加えて令和8(2026)年度からは、自らの森林経営活動や木材利用による炭素蓄積変化量を排出量の調整に用いることができるよう見直されることとなった(*34)(資料 特-17)。

これにより、企業等が自ら所有する建築物に木材を利用した場合等に、その炭素貯蔵効果を定量化して示し、対外的にPRすることが可能となり、例えば、オフィスや店舗などへの木材利用を推進しようとする企業の後押しとなることが期待される。なお、対象となる木材は、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」等に基づき合法性が確認された国産材等である。

資料 特-17 CLTの構成


(*32)エネルギー起源二酸化炭素(燃料の燃焼、他者から供給された電気、又は熱の使用に伴い排出される二酸化炭素)を排出する事業者にあっては、全ての事業所の原油換算エネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業者等、エネルギー起源二酸化炭素以外の温室効果ガスを排出する事業者にあっては、温室効果ガスの種類ごとに、排出量合計が二酸化炭素換算で3,000トン以上となる事業者等。

(*33)J-クレジット制度については、第1章第2節(6)71-73ページを参照。

(*34)「温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令の一部を改正する命令」が令和8(2026)年4月1日に施行され、令和9(2027)年度報告(令和8(2026)年度実績の報告)から適用される。



(木材利用の効果を評価するための環境整備)

建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン
建築物への木材利用に係る評価ガイダンス

近年、SDGsの認知度向上や、TNFD提言など企業による持続可能性(サステナビリティ)に関する情報開示を求める動きを受けて、建築物に木材を利用する機運の高まりがみられ、建築事業者、不動産事業者や建築主となる企業等においては、木材利用を対外的に発信して企業価値を高めようとする動きがみられる。

林野庁では、これらの企業等が木材利用による地球温暖化防止への貢献等の効果を対外的に発信できるよう、令和3(2021)年に「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」を公表した。また、令和6(2024)年には「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」を公表し、(ア)カーボンニュートラルへの貢献、(イ)持続可能な資源の利用、(ウ)快適空間の実現の3つの評価分野ごとに、建築物への木材利用の効果を訴求する際に参考となる評価項目・評価方法を提示している(資料 特-18、19)。

さらに、快適空間の実現に貢献する内装木質化による心理面、身体面、学習面、生産性等への効果については、これまでに様々な研究が行われてきていることから、これらのデータの収集や整理などを行い、分かりやすく情報発信する取組を進めている(*35)。


資料 特-18 建築物への木材利用に係る評価ガイダンスにおける評価分野・評価項目・評価方法

資料 特-19 建築物のライフサイクルにおける二酸化炭素排出


(*35)公益財団法人日本住宅・木材技術センター「内装木質化した建物事例とその効果-建物の内装木質化のすすめ-」(令和7(2025)年3月)


お問合せ先

林政部企画課

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代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219