第1部 第1章 第2節 森林整備の動向(2)
(2)優良種苗の安定的な供給
(優良種苗の安定供給)

我が国の人工林は本格的な利用期を迎えており、主伐の増加が見込まれる中、再造林に必要な苗木の安定供給が一層重要となっている。令和4(2022)年度の苗木の生産量は、約6,700万本となり、このうち約5割をコンテナ苗(*13)が占めるようになっている(資料1-12)。また、苗木生産事業者数は、全国で855となっている(*14)。
(*13)コンテナ苗については、第2章第1節(4)102ページを参照。
(*14)林野庁整備課調べ。
(成⾧等に優れた苗木の供給に向けた取組)
国立研究開発法人森林研究・整備機構では、収量の増大と造林・保育の効率化に向けて、林木育種によりエリートツリーの選抜が行われており、更に改良を進めるため、エリートツリー同士を交配した次世代の精英樹の開発も進められている。
間伐等特措法に基づき、成⾧や雄花着生性等に関する基準(*15)を満たすものが特定母樹に指定されており、令和6(2024)年3月末現在、538種類(うちエリートツリー368種類)が指定されている(資料1-13)。林野庁では、特定母樹を増殖する事業者の認定や採種園・採穂園の整備を推進している。
また、特定苗木は、従来の苗木と比べ成⾧に優れることから、下刈り期間の短縮による育林費用の削減及び伐期の短縮による育林費用回収期間の短縮とともに、二酸化炭素吸収量の向上も期待される。
農林水産省は、「みどりの食料システム戦略」において、特定苗木の活用を、令和12(2030)年までに苗木生産量の3割(*16)、令和32(2050)年までに9割とする目標を設定している。
令和4(2022)年度(2022年秋から2023年夏まで)の特定苗木の生産本数は、スギが九州を中心とした13県で464万本、グイマツ(クリーンラーチ(*17))が北海道で57万本、合計が521万本となっており、苗木生産量の約8%となっている(資料1-14))。
(*15)成⾧量が同様の環境下の対照個体と比較しておおむね1.5倍以上、材の剛性や幹の通直性に著しい欠点がなく、雄花着生性が一般的なスギ・ヒノキのおおむね半分以下等。
(*16)林野庁では、3,000万本程度を想定。
(*17)強度があるグイマツ特定母樹「中標津5号」と成⾧の早いカラマツ精英樹の掛け合わせにより得られた、強度があり成⾧の早い特性を併せ持つグイマツF1世代の総称。
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