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林野庁

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第1部 特集 第3節 気候変動による山地災害の激甚化・形態変化(1)

(1)気候変動による大雨等の増加

(降水形態の変化)

近年の気候変動により、短時間強雨の年間発生回数が増加するなど降水形態が変化し、山地災害を誘発するような極端な降水が発生している。

気象庁によれば、昭和51(1976)年から昭和60(1985)年までの10年間と平成24(2012)年から令和3(2021)年までの10年間とを比較すると、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の平均年間発生回数は約1.4倍に増えており、1時間程度の短いスケールで局地的に発生する短時間強雨の発生頻度は増加している。実際に激甚な山地災害と洪水被害をもたらした「令和2年7月豪雨」を含む令和2(2020)年7月上旬においては、1時間降水量50mm以上の発生回数が82回と旬ごとの値としては過去最多となった(資料 特-15)。


また、気象庁が取りまとめている旬ごとの降水量の総和をみると、令和3(2021)年8月の大雨などを含む同年8月中旬が直近40年間で最も多く、これに次いで、「平成30年7月豪雨」を含む平成30(2018)年7月上旬、「令和2年7月豪雨」を含む令和2(2020)年7月上旬となり、それらにおいて線状降水帯(*11)が発生するなど、近年、高強度の降雨の増加とともに期間中の総降水量が増加する傾向もみられる(資料 特-16)。


(*11)発達した雨雲が次々と列をなしてほぼ同じ場所を通過し、又は同じ場所に停滞することで作られる線状に伸びる雨域。



(気候変動による影響の将来予測)

気象庁は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書の世界の平均気温の上昇についての2℃上昇シナリオ及び4℃上昇シナリオのいずれにおいても、1日の降水量が200mm以上となるような大雨の年間発生回数は、20世紀末と比べ、21世紀末には全国平均で増加すると予測しており、1時間降水量が50mm以上となるような短時間強雨の年間発生回数も同様に全国平均で増加すると予測している(資料 特-17)。

2021年にIPCCが公表した第6次評価報告書においても、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」とされ、地球規模で大雨等の極端現象の頻度と強度が増加すると予想されている。

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