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林野庁

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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(4)

(4)違法伐採対策

(世界の違法伐採木材の貿易の状況)

2016年12月に国際森林研究機関連合(IUFRO)が公表した報告書(*29)によると、2014年の丸太と製材に係る違法伐採木材の貿易額は世界で63億ドル、最大の輸入国は中国で33億ドル(全体の52%)であるとされている。また、違法伐採木材は、主に東南アジア(35億ドル)、ロシア(13億ドル)、オセアニア(7億ドル)、アフリカ(5億ドル)及び南米(4億ドル)から輸出されていると報告されている。違法伐採や違法伐採木材の流通は、森林の有する多面的機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがある。EU、豪州などの諸外国では、木材の取引に当たり、市場における最初の出荷者等に対し、木材等の違法伐採のリスクの確認やそのための体制整備等について義務を課している。


(*29)IUFRO World Series「Illegal Logging and Related Timber Trade」Volume 35.(平成28(2016)年12月3日)



(政府調達において合法性・持続可能性が確保された木材等の利用を促進)

我が国では、まずは政府調達において合法性・持続可能性が確保された木材等の利用を促進するため、平成18(2006)年に、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(以下「グリーン購入法」という。)に基づく基本方針において、合法性や持続可能性が証明された木材・木材製品を政府調達の対象とするよう明記した。同基本方針に併せて林野庁が作成した「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」の証明方法を活用し木材を供給する事業者として、令和5(2023)年3月末現在で、149の業界団体により12,034の事業者が認定されている。


(「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」による合法伐採木材等の更なる活用)

合法伐採木材等に関する情報提供ホームページ「クリーンウッド・ナビ」

民間需要においても、平成29(2017)年に施行された合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(以下「クリーンウッド法」という。)により、全ての事業者は合法伐採木材等(*30)を利用するよう努めることが求められ、特に木材関連事業者(*31)は、扱う木材等について「合法性の確認」等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなった。この措置を適切かつ確実に行う木材関連事業者は、国に登録された第三者機関である登録実施機関に申請して登録を受けることができる。登録木材関連事業者は、令和5(2023)年3月末時点で、609件登録されている。第一種登録木材関連事業者(*32)により合法性が確認された木材は、令和3(2021)年度は約3,600万m3と令和3(2021)年の木材需要量の約4割となっている。

林野庁では、情報提供サイト「クリーンウッド・ナビ」を公開し、本サイトを通じて合法伐採木材等に関する情報提供や、木材関連事業者の登録促進等の取組を行っている。

なお、政府調達については、グリーン購入法に基づく基本方針の下、木材関連事業者は、クリーンウッド法に則し、合法性の確認や分別管理等をすることとなっている。

クリーンウッド法施行から5年を経ることから、合法伐採木材等の流通及び利用について現状や課題等を把握するため、令和3(2021)年9月に学識経験者、業界団体等からなる「合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」を設置した。関係する業界団体やNGO等に対するヒアリング等を実施しつつ議論を重ね、令和4(2022)年4月に検討会としての「中間とりまとめ」を公表した。さらに、関係省庁において本中間とりまとめを踏まえて検討を進め、川上・水際の木材関連事業者(*33)が合法性確認等に確実に取り組むよう義務付けること等を内容とするクリーンウッド法の改正案を令和5(2023)年2月に国会に提出した。


(*30)我が国又は原産国の法令に適合して伐採された樹木を材料とする木材等。

(*31)木材等の製造、加工、輸入、販売等を行う者。

(*32)樹木の所有者から丸太を受け取り、加工、輸出等の事業を行う木材関連事業者又は木材等の輸入を行う木材関連事業者のうち、登録を受けた者。

(*33)樹木の所有者から丸太を受け取り、加工、輸出等の事業を行う木材関連事業者又は木材等の輸入を行う木材関連事業者。



(国際的な取組)

我が国は、木材生産国における合法性・持続可能性が確保された木材等の流通及び利用に向けた支援に取り組んでいる。令和4(2022)年には、アフリカのコンゴ盆地諸国における合法性・持続可能性のある木材利用促進のための能力開発プロジェクトへの支援を、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じて実施し、完了した(事例3-1)。

また、「アジア太平洋経済協力(APEC(エイペック))」の「違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT)」では、令和4(2022)年2月及び8月に違法伐採対策の取組状況についての情報交換が行われた。我が国からはITTOにおける取組等について報告を行った。

事例3-1 国際熱帯木材機関(ITTO)への拠出によるコンゴ盆地諸国における合法性・持続可能性のある木材利用促進のための能力開発活動

アフリカのコンゴ盆地は、近年森林減少・劣化が進んでいる。コンゴ盆地諸国(注)では、特に、合法性・持続可能性のあるサプライチェーン(LSSC)分野における人材や知識の不足が課題となっている。

この課題に対処するため、ITTOは、中央アフリカ森林環境研修機関ネットワーク(RIFFEAC)や中央アフリカ森林委員会(COMIFAC)と連携して、ドイツの拠出により開発されたLSSC研修プログラムを活用し、コンゴ盆地諸国の政府関係者や木材事業者等に対する合法木材の利用に関する認識向上や合法性確認に関する能力向上のための研修を実施した。林野庁は、令和2(2020)年から令和4(2022)年にかけて、ITTOへの資金拠出を通じて、この取組への支援を行った。

この取組を通じ、同地域においてLSSCに対する理解が深まるとともに、欧米諸国等の木材消費国における法制度や、GPS、バーコード等トレーサビリティに使用される様々な技術等に関する知識の習得により、LSSC実施のための能力と専門性の強化が図られた。現在、RIFFEACにより、中央アフリカ諸国(11か国)へのLSSC研修プログラムの普及が行われるなど、より広範囲でLSSCの理解促進に向けた取組が進められている。

注:カメルーン、中央アフリカ共和国、ガボン、コンゴ共和国及びコンゴ民主共和国


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ダイヤルイン:03-6744-2219