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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(2)

(2)我が国の木材需給の動向

(木材需要は回復傾向)

我が国の木材需要量(*9)は、昭和48(1973)年に過去最高の約1億2,102万m3となったが、オイルショックやバブル景気崩壊後の景気後退等により減少傾向となり、平成21(2009)年にはリーマンショックの影響により、前年比18.5%減の約6,480万m3と大幅に減少した。近年は、木質バイオマス発電施設等での燃料材の利用増加等により、平成20(2008)年の水準を上回るまでに回復していたが、令和2(2020)年には新型コロナウイルス感染症の影響により、大きく落ち込んだ。令和3(2021)年の木材需要量は、経済活動の回復により、前年比10.3%増の約8,213万m3と新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の水準に回復した。

令和3(2021)年の我が国の人口一人当たり木材需要量は0.65m3/人となった。

用材の需要量は前年に比べて約575万m3増加し、前年比9.4%増の約6,714万m3、燃料材は木質バイオマス発電施設等での利用により、前年に比べて約194万m3増加し、前年比15.1%増の約1,474万m3となった。また、製材用材の木材需要全体に占める割合は31.9%(約2,618万m3)、合板用材は12.5%(約1,029万m3)、パルプ・チップ用材は35.0%(約2,874万m3)、その他用材は2.3%(約193万m3)、燃料材は17.9%(約1,474万m3)を占めている(資料3-3)。


(*9)製材品や合板、パルプ・チップ等の用材に加え、しいたけ原木及び燃料材を含む総数。このうち、燃料材とは、木炭、薪、燃料用チップ、木質ペレットである。いずれの品目についても丸太換算値。



(国産材供給量は増加傾向)

我が国における国産材供給量(*10)は、森林資源の充実や合板原料としてのスギ等の国産材利用の増加、木質バイオマス発電施設での燃料材利用の増加等を背景に、平成14(2002)年の約1,692万m3を底として増加傾向にある。令和3(2021)年の国産材供給量は、前年比8.3%増の約3,372万m3となった(資料3-4)。


(*10)製材品や合板、パルプ・チップ等の用材に加え、しいたけ原木及び燃料材を含む総数。いずれの品目についても丸太換算値。



(木材輸入)

我が国の木材輸入量(*11)は、平成8(1996)年の約9,045万m3をピークに減少傾向にあるが、令和3(2021)年の木材輸入量は、前年比11.8%増の約4,841万m3となった。そのうち、木材製品の輸入量は、木材チップ等(前年比15.2%増)や合板等(前年比21.2%増)の増加により、前年から8.4%増加して約3,914万m3となった。また、燃料材の輸入量は前年から39.1%増加して約539万m3となった(資料3-4)。

品目別に令和3(2021)年の輸入量(製品ベース)をみると、丸太は、前年比14.7%増の約264万m3となった。特にカナダからの輸入は、同国最大手の丸太輸出業者が経営戦略の観点から停止していた自社有林の伐採を、前年6月から再開したことにより、年間輸入量が回復し、前年比2.7倍の約75万m3となった(*12)。一方、米国からの輸入は前年比4.3%減の約151万m3となった。

製材は、前年比2.1%減の約483万m3となった。特にEUからの輸入は、海上輸送の混乱と産地価格の上昇によって供給に制約が生じたこと等により、前年比8.2%減の約215万m3となった(*13)。他方、カナダからの輸入は、我が国におけるツーバイフォー(*14)住宅の着工戸数の増加や、米国の大手製材輸出業者の日本向け供給撤退による代替需要が発生したことなどにより、前年比3.9%増の約123万m3となった。

合板は、前年比12.3%増の約186万m3となった。近年、産地価格の上昇等により、輸入量は減少傾向であったが、令和3(2021)年は国内の在庫不足により輸入量が増加した(*15)。特にマレーシアからの輸入は前年比12.9%増の約79万m3、ベトナムからの輸入は前年比54.5%増の約21万m3となった。

集成材は、前年比5.4%減の約97万m3となった。特にEUからの輸入は、米国や欧州域内における需要の高まりや産地価格の急激な上昇、海上輸送の混乱などによって供給に制約が生じたことにより、前年比12.2%減の約73万m3であった(*16)。

木材チップは、前年比15.9%増の約1,100万トンとなった。前年は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンライン化が進んだことで紙の需要が減少していたが、令和3(2021)年はネット通販の拡大によるパッケージング用紙の需要が増加するなど、国内需要に一定の回復がみられた(*17)。特にベトナムからの輸入は前年比25.0%増の約413万トン、オーストラリアからの輸入は前年比31.9%増の約195万トンとなった。

木質ペレットは、前年比53.7%増の約312万トンとなった。特にベトナムからの輸入は、火力発電所における石炭混焼用の需要が増加し、前年比40.9%増の約165万トンとなった(*18)。また、カナダからの輸入量は、ペレット生産工場の稼働効率向上等により、供給量が急増し、前年比78.5%増の約106万トンとなった(*19)(資料3-5)。


(*11)製材品や合板、パルプ・チップ等の用材に加え、燃料材を含む総数。いずれの品目についても丸太換算値。

(*12)令和3(2021)年12月13日付け木材建材ウイクリー: 9、令和4(2022)年4月4日付け木材建材ウイクリー: 3、令和2(2020)年7月2日付け日刊木材新聞1面「モザイクフォレストマネージメント7カ月ぶり伐採再開」

(*13)令和3(2021)年12月13日付け木材建材ウイクリー: 10、令和3(2021)年12月20日付け木材建材ウイクリー: 12、令和4(2022)年4月11日付け木材建材ウイクリー: 3.

(*14)木造の枠組材に構造用合板等の面材を緊結して壁と床を作る建築工法。

(*15)令和4(2022)年3月21日付け木材建材ウイクリー: 6-7.

(*16)令和3(2021)年12月13日付け木材建材ウイクリー: 10、令和3(2021)年12月20日付け木材建材ウイクリー: 12、令和4(2022)年4月11日付け木材建材ウイクリー: 3.

(*17)日本製紙連合会「2022年 紙・板紙内需見通し報告」(令和4(2022)年1月)

(*18)令和3(2021)年2月4日付け日刊木材新聞8面「木質ペレット、PKSともに増加基調」

(*19)USDA Foreign Agricultural Service「Wood Pellets for Heat and Power」(令和3(2021)年7月8日)



(ロシア・ウクライナ情勢の影響)

ロシアは、令和4(2022)年3月に、我が国を含む非友好国(*20)に対して、チップ、丸太及び単板の輸出を禁止することを発表した(*21)。また、我が国は、対ロシア制裁の一環として、木材以外の品目と合わせて、同年4月にチップ、丸太及び単板についてロシアからの輸入禁止措置を実施した。ロシアは同年8月に単板、令和5(2023)年3月に木材チップの輸出禁止措置を一部解除したが、我が国の輸入禁止措置は同年3月末時点で継続している。


(*20)日本、米国、英国、EU27か国、韓国等を含む48の国と地域。

(*21)2022年3月9日 ロシア政令第313号



(木材自給率は4割を維持)

我が国の木材自給率(*22)は、国産材供給の減少と木材輸入の増加により低下を続け、平成14(2002)年には18.8%まで低下した。その後は、人工林資源の充実や技術革新等による国産材利用の増加等を背景に上昇傾向で推移していたが、令和3(2021)年は、製材用材等の国内生産量が増加した一方で、パルプ・チップ用材及び燃料材の輸入量が大きく増加した結果、木材自給率は前年より0.7ポイント低下して41.1%(建築用材等(*23)は0.8ポイント増の48.0%)となった(資料3-4)。自給率を用途別にみると、製材用材は49.1%(前年比1.9ポイント増)、合板用材は45.3%(前年比1.7ポイント減)、パルプ・チップ用材は16.5%(前年比0.5ポイント減)、燃料材は63.4%(前年比6.3ポイント減)となっている(資料3-6)。


(*22)林野庁「令和3(2021)年木材需給表」。木材自給率の算出は次式による。
     自給率=(国内生産量÷総需要量)×100

(*23)「建築用材等」は、木材需給表における「製材用材」と「合板用材」の合計。



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