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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(1)

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(1)世界の木材需給の動向

(ア)世界の木材需給の概況

(世界の木材消費量及び生産量)

国際連合食糧農業機関(FAO)によると、世界の産業用丸太の消費量は、近年おおよそ20億m3で推移しており、2021年は前年比2%増の約20億1,786万m3であった。産業用丸太以外の燃料用丸太については、2021年の世界の消費量は前年比1%増の約19億4,615万m3であり、99%以上が生産国内で消費されている。

一方、世界の産業用丸太の2021年の生産量は、前年比2%増の約20億1,850万m3であった。また、製材の生産量は、前年比2%増の約4億9,447万m3、合板等の生産量は、前年比4%増の約3億9,634万m3であった(*1)。


(*1)FAO「FAOSTAT」(2023年1月19日現在有効なもの)。消費量は生産量に輸入量を加え、輸出量を除いたもの。



(世界の木材輸入量の動向)

2021年における世界全体の木材輸入量は、産業用丸太については、前年比3%増の約1億4,251万m3であった。中国が世界最大の輸入国で、2011年と比べると、輸入量は約4,230万m3から約6,314万m3に49%増加した。世界の輸入量に占める中国の割合も35%から44%に上昇した。一方、我が国の輸入量は約464万m3から約261万m3に43.7%減少した。

製材については、前年比4%増の約1億4,956万m3であった。中国が世界最大の輸入国で、2011年と比べると、輸入量は約2,155万m3から約3,266万m3に52%増加した。一方、我が国の輸入量は約684万m3から約483万m3に29.4%減少した。

合板等については、前年比11%増の約1億154万m3であった。米国が世界最大の輸入国で、2011年と比べると、輸入量は約801万m3から約1,862万m3に2.3倍増加した。一方、我が国の輸入量は約477万m3から約358万m3に25.0%減少した(資料3-1)。


(世界の木材輸出量の動向)

2021年における世界全体の木材輸出量は、産業用丸太については、前年比3%増の約1億4,315万m3であった(*2)。ニュージーランドが世界最大の輸出国で、2011年と比べると、中国の需要増加により、輸出量が約1,263万m3から約2,271万m3に80%増加した。

製材については、前年比3%増の約1億5,958万m3であった。ロシアが世界最大の輸出国で、2011年と比べると、丸太から製品輸出へシフトしたことから、約1,970万m3から約3,138万m3に59%増加した。

合板等については、前年比13%増の約9,944万m3であった。中国が世界最大の輸出国で、2011年と比べると、約1,291万m3から約1,395万m3に8%増加した(資料3-2)。


(*2)輸入量と輸出量の差は、輸出入時の検量方法の違い等によるものと考えられる。



(イ)2021年の各地域における木材需給の動向

(米国の動向(*3))

米国では、2020年5月以降、新型コロナウイルス感染症の影響の下、在宅勤務の増加や住宅ローン金利の低下により、住宅着工戸数が急増し、2021年も高水準で推移した。このことから、木材需要が引き続き拡大するとともに、北米の製材品価格も2020年夏頃から急激に上昇し、2021年5月には過去最高を記録するなど、製材品価格が歴史的な水準まで高騰した。


(*3)令和4(2022)年4月4日付け木材建材ウイクリー: 3.



(欧州の動向(*4))

欧州では、米国や中国向けの供給が2020年以上に活発であった。2021年は世界的に木材需要が伸び、欧州材の販売は好調であったが、コンテナ不足が解消されず、スケジュール管理や輸送コストの増大への対応に追われた。また、キクイムシ被害木の処理として行われていた中国への丸太輸出はピークアウトしつつある。


(*4)令和3(2021)年4月10日付け日刊木材新聞8面「欧州材 かつてない値上げと供給縮小 輸入集成材は100ユーロ高記録」、令和4(2022)年4月11日付け木材建材ウイクリー: 3-6、令和3(2021)年12月22日付け日刊木材新聞8面「欧州虫害木輸出が減少 中国製材需要が日本にも影響か」



(東南アジアの動向(*5))

マレーシアやインドネシアでは、新型コロナウイルス感染症の影響による人手不足の深刻化、原木(*6)不足等により、合板等の生産が停滞し、品薄状態となったため、2020年から引き続き産地価格が上昇した。


(*5)令和4(2022)年3月21日付け木材建材ウイクリー: 6-7.

(*6)製材・合板等の原材料に供される丸太等。



(ニュージーランドの動向(*7))

ニュージーランドでは、中国への丸太輸出が盛んに行われた。中国が、2020年11月に豪州産木材の輸入を停止したことから、その代替需要が高まった。


(*7)令和4(2022)年4月11日付け木材建材ウイクリー: 14.



(中国の動向(*8))

中国では、2020年に引き続き2021年も木材需要が活発であった。製材輸入については、米国での木材需要が急増した影響により、北米や欧州からの輸入量が減少した。一方、丸太輸入については、ニュージーランドやドイツからの輸入量が増加した。


(*8)令和4(2022)年2月4日付けRANDOM LENGTHS「Chinese softwood imports fell at faster rate in 2021」、令和3(2021)年12月22日付け日刊木材新聞8面「欧州虫害木輸出が減少 中国製材需要が日本にも影響か」



(ウ)国際貿易交渉の動向

我が国は、多くの国や地域との間で経済連携協定等の締結に取り組んできた。平成30(2018)年に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」、平成31(2019)年に「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)」、令和2(2020)年に「日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(日米貿易協定)」、令和3(2021)年に「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定(日英EPA)」、令和4(2022)年1月には、「地域的な包括的経済連携(RCEP(アールセップ))協定」が発効した。これらの協定の締結においては、林産物の関税率の引下げが我が国及び相手国の持続可能な森林経営に悪影響を及ぼすことがないよう配慮して交渉を行い、合意に至ったものである。


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