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第1部 第1章 第3節 森林保全の動向(1)

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(1)保安林等の管理及び保全

(保安林)

森林は、山地災害の防止、水源の涵(かん)養等の公益的機能を有しており、公益的機能の発揮が特に要請される森林については、農林水産大臣又は都道府県知事が森林法に基づき保安林に指定し、立木の伐採、土地の形質の変更等を規制している。保安林には、水源かん養保安林を始めとする17種類がある。令和3(2021)年度には、新たに約1.5万haが保安林に指定され、同年度末で、全国の森林面積の48.9%、国土面積の32.4%に当たる1,226万haの森林が保安林に指定されている(資料1-22)。


(林地開発許可)

保安林に指定されていない民有林において、工場・事業用地や農用地の造成、土石の採掘等の一定規模を超える開発を行う場合は、森林法に基づき、都道府県知事の許可が必要とされている。令和3(2021)年度には、1,981haについて林地開発の許可が行われた。このうち、工場・事業用地及び農用地の造成が962ha、土石の採掘が721haとなっている(*46)。

再生可能エネルギー推進の手段として期待される太陽光発電設備の設置について、近年、森林内での設置事例が多数みられ、災害発生等の懸念があることから、森林の公益的機能の発揮と調和した太陽光発電設備の適正な導入を図ることが重要な課題となっている。このため、林野庁では、太陽光発電設備の特殊性を踏まえ、令和元(2019)年に開発行為の許可基準の整備等を行った。さらに、令和4(2022)年には、この許可基準の運用状況や小規模な林地開発の検証・分析等を行い、その結果を踏まえ、太陽光発電設備の設置に係る林地開発については、令和5(2023)年4月から規制対象となる開発面積の規模を0.5ha超に引き下げる(現行は1ha超)ほか、開発行為全般に関しても、開発行為の一体性を判断するための目安や、より強い雨量強度に対応できる防災施設の基準を示すなど、森林の公益的機能の確保に向けた見直しを行った(資料1-23)。

資料1-23 林地開発許可制度の見直しの概要

(*46)林野庁治山課調べ。



(盛土等の安全対策)

令和3(2021)年7月に静岡県熱海(あたみ)市において発生した土石流災害を契機として、盛土等による災害から国民の生命・身体を守るため、令和4(2022)年5月に宅地造成及び特定盛土等規制法(以下「盛土規制法」という。)が第208回国会において成立した(*47)。

盛土規制法においては、盛土等を行う土地の用途(宅地、森林、農地等)やその目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制することとされた。都道府県知事等が盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定できることとし、規制区域内で行われる盛土等を都道府県知事等による許可等の対象とするとともに、災害防止のために必要な許可基準に沿った安全対策の実施を確認するなどの措置を講ずることとされている。

また、盛土規制法においては、既存の盛土等も含め、土地所有者等や盛土等の行為者の責任を明確化し、災害防止のために必要なときは都道府県知事等が是正措置等を命ずることができることとされている。

林野庁では、国土交通省等と連携し、規制区域の指定要領、盛土等の工事に係る許可基準、盛土等の安全対策の進め方等をまとめたガイドライン等の整備を行うとともに、盛土規制法による規制が速やかに実効性をもって行われるよう、規制区域指定等のための基礎調査や危険が認められた盛土等の安全対策の実施等について都道府県等を支援するなど、盛土等に伴う災害の防止に向けた取組を進めている。


(*47)令和5(2023)年5月26日に施行。



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