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林野庁

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第1部 第1章 第2節 森林整備の動向(5)

(5)社会全体で支える森林(もり)づくり

(全国植樹祭と全国育樹祭)

国土緑化運動の中心的な行事である全国植樹祭が、天皇皇后両陛下の御臨席を仰いで毎年春に開催されている。令和4(2022)年6月には、「第72回全国植樹祭」が滋賀県で開催された。天皇皇后両陛下はオンラインで御臨席になり、皇居・御所において、スギ、トチノキ等をお手植えになり、クロマツ、コウヤマキ等をお手播(ま)きになった。令和5(2023)年には、「第73回全国植樹祭」が岩手県で開催される予定である。また、全国育樹祭は、皇族殿下の御臨席を仰いで毎年秋に開催されている。令和4(2022)年11月には、「第45回全国育樹祭」が秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御臨席の下、大分県で開催された。令和5(2023)年には、「第46回全国育樹祭」が茨城県で開催される予定である。


(多様な主体による森林(もり)づくり活動が拡大)

NPOや企業等の多様な主体により、森林(もり)づくり活動が行われている。例えば、ボランティア団体等の森林(もり)づくり活動を実施している団体数は、令和3(2021)年度現在3,671団体となっている(資料1-18)。


SDGsの機運の高まりや、ESG投資(*32)の流れが拡大する中、企業の社会的責任(CSR)活動として、森林(もり)づくりに関わろうとする企業が増加しており、顧客、地域住民、NPO等との協働、基金等を通じた支援、企業の所有森林を活用した地域貢献など多様な取組が行われている。企業による森林(もり)づくり活動の実施箇所数は増加しており、令和3(2021)年度は1,768か所であった(資料1-19)。


このほか、平成20(2008)年に開始された「フォレスト・サポーターズ」登録制度は、個人や企業などが日常の生活や業務の中で自発的に森林整備や木材利用に取り組む仕組みとなっており、その登録数は令和5(2023)年3月末時点で、約7万件となっている。

さらに、SDGsや2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する森林(もり)づくりを推進することを目的として、令和4(2022)年10月に「森林(もり)づくり全国推進会議」が発足した。経済、地方公共団体、教育、消費者、観光等各界の企業・団体が会員となり、森林(もり)づくりに向けた国民運動を推進することとしている。今後は、毎年夏頃に会議を開催し、先駆的な森林(もり)づくりに取り組んでいる会員の事例発表等を行い、企業等による森林(もり)づくり活動の普及啓発に取り組む予定である。


(*32)従来の財務情報に加え、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を判断材料とする投資手法。



(森林吸収量等森林のカーボンニュートラル貢献価値の見える化)

企業等が実施する森林整備の取組について、その成果を二酸化炭素吸収量として認証する取組が33都府県で実施されている(*33)。

林野庁では、このような企業等の取組の意義や効果を消費者やステークホルダーに訴求することの一助となるよう、森林による二酸化炭素吸収量等を自ら算定・公表しようとする場合における標準的な計算方法の周知を行った(*34)。

さらに、企業等が実施した森林整備の認知度を高めるとともに、更なる取組の拡大を図るため、この算定方法等を活用した新たな顕彰制度「森林×脱炭素チャレンジ」を創設し、令和4(2022)年は10件(グランプリ1件、優秀賞9件)を表彰した(*35)。

また、「農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法」において林業分野も投資対象となっているほか、令和4(2022)年10月に設立された官民ファンドである株式会社脱炭素化支援機構からの資金供給の対象に、森林保全、木材利用等による吸収源対策や木質バイオマスのエネルギー利用に関する事業活動も含まれるなど、森林の整備や利用をテーマとした投資の可能性が広がっている。林野庁では、「森林・林業・木材産業への投資のあり方に関する検討会」を開催し、投資機関が森林・林業・木材産業への投資を行うに当たって森林・林業基本計画の推進上望ましい形で行われるよう、投資案件を判断する助けとなる仕組みについて検討を進め、令和4(2022)年6月に、「カーボンニュートラルの実現等に資する森林等への投資に係るガイドライン中間とりまとめ」を公表し、投資プロジェクトのカーボンニュートラルへの貢献度を二酸化炭素吸収・貯蔵効果等により定量的に評価するとともに、生物多様性の確保等への貢献度について定性的に評価するための具体的な仕組みを示した。


(*33)林野庁森林利用課調べ。

(*34)「森林による二酸化炭素吸収量の算定方法について」(令和3(2021)年12月27日付け3林政企第60号林野庁長官通知)

(*35)「森林×脱炭素チャレンジ」受賞者の紹介は36ページを参照。



(森林関連分野のクレジット化等の取組)

農林水産省、経済産業省及び環境省は、平成25(2013)年から省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの活用等による温室効果ガスの排出削減量や森林管理による温室効果ガス吸収量をクレジットとして国が認証する仕組み(J-クレジット制度)を運営している。森林整備を実施するプロジェクト実施者が森林吸収量の認証を受けてクレジットを発行し、それを企業や団体等が購入することにより、更なる森林整備等の推進のための資金が還流するため、地球温暖化対策と地域振興を一体的に後押しすることができる。企業等のクレジット購入者は、入手したクレジットを「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく報告やカーボン・オフセット等に利用することができるとともに、我が国の森林整備や生態系保全に貢献したことを、非財務情報として対外的に示すこともできる。これらの取組により、経済と環境の好循環が図られることが期待される。

現在、森林分野については、森林管理プロジェクトとして森林経営活動、植林活動及び再造林活動の3つの方法論(*36)が承認されており、令和5(2023)年3月現在で78件が登録されているほか、旧制度(*37)から48件が移行されている。令和4(2022)年度の新規登録件数は27件と過去最大の増加幅となっており、近年急速に関心が高まっている(資料1-20)。令和4(2022)年8月には、主伐後の再造林実施による吸収源の確保に取り組むプロジェクト実施者等を後押しできるよう、森林管理プロジェクトに係る制度が見直されたところであり(*38)、今後更なる登録件数の増加が期待される。また、令和5(2023)年3月現在、再生可能エネルギーの分野では木質バイオマス固形燃料の方法論が承認されており、88件のプロジェクトが登録されているほか、旧制度から84件が移行されている。


(*36)排出削減・吸収に資する技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法及びモニタリング方法を規定したもの。

(*37)国内クレジット制度とJ-VER制度であり、この2つを統合してJ-クレジット制度が開始された。

(*38)J-クレジット制度の見直しについては、トピックス4(32-33ページ)を参照。



(森林環境教育の推進)

現在、森林内での様々な体験活動等を通じて、森林と人々の生活や環境との関係についての理解と関心を深める森林環境教育の取組が進められている。

その取組の一例として、学校林(*39)を活用し、植栽、下刈り、枝打ち等の体験や、植物観察、森林の機能の学習等が総合的な学習の時間等で行われている。学校林を保有する小中高等学校は、全国で約2,200校あり、その保有面積は約1.6万haである(*40)。

また、子供たちが心豊かな人間に育つことを目的として、「緑の少年団」による森林(もり)づくり体験・学習活動、緑の募金等の奉仕活動等が行われている(*41)(令和5(2023)年1月現在、全国で3,095団体、約32万名が加入。)。

さらに、高校生が造林手や木工職人等の名人を訪ね、一対一で聞き書き(*42)し技術や生き方を学び、その成果を発信する「聞き書き甲子園(*43)」については、令和4(2022)年度、96名の高校生が14市町村を訪れ聞き書きをするとともに、その成果発表の場となるフォーラムを令和5(2023)年3月に開催した。

このほか、林野庁においては、林野図書資料館が、森林の魅力や役割、林業の大切さについて分かりやすく表現した漫画やイラストを作成・配布しており(資料1-21)、地方公共団体の図書館等と連携した企画展示等や地域の小中学校等の森林環境教育に活用されている。

資料1-21 漫画を活用した森林・林業の発信

(*39)学校が保有する森林(契約等によるものを含む。)であり、児童及び生徒の教育や学校の基本財産造成等を目的に設置されたもの。

(*40)公益社団法人国土緑化推進機構「学校林現況調査報告書(令和3年調査)」(令和4(2022)年8月)

(*41)公益社団法人国土緑化推進機構ホームページ「緑の少年団」

(*42)話し手の言葉を録音し、一字一句全てを書き起こした後、一つの文章にまとめる手法。

(*43)農林水産省、文部科学省、環境省、関係団体及びNPOで構成される実行委員会の主催により実施されている取組。平成14(2002)年度から「森の聞き書き甲子園」として始められ、平成23(2011)年度からは「海・川の聞き書き甲子園」と統合し、「聞き書き甲子園」として実施。



(「緑の募金」による森林(もり)づくり活動の支援)

「緑の募金(*44)」には、令和3(2021)年に総額約20億円の寄附金が寄せられた。寄附金は、(ア)水源林の整備や里山林の手入れ等、市民生活にとって重要な森林の整備及び保全、(イ)苗木の配布や植樹祭の開催、森林ボランティア指導者の育成等の緑化推進活動、(ウ)熱帯林の再生や砂漠化の防止等の国際協力に活用されているほか、東日本大震災等の地震や、台風、豪雨等の被災地における緑化活動や木製品提供等に対する支援にも活用されている(*45)。


(*44)森林整備等の推進に用いることを目的に行う寄附金の募集。昭和25(1950)年に、戦後の荒廃した国土を緑化することを目的に「緑の羽根募金」として始まり、現在では、公益社団法人国土緑化推進機構と各都道府県の緑化推進委員会が実施主体として実施。

(*45)緑の募金ホームページ「災害復旧支援」


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