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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(4)

(4)違法伐採対策

(世界の違法伐採木材の貿易の状況)

2016年12月に国際森林研究機関連合(IUFRO(*32))が公表した報告書(*33)によると、2014年の丸太と製材に係る違法伐採木材の貿易額は世界で63億ドル、最大の輸入国は中国で33億ドル(全体の52%)であるとされている。また、違法伐採木材は、主に東南アジア(35億ドル)、ロシア(13億ドル)、オセアニア(7億ドル)、アフリカ(5億ドル)及び南米(4億ドル)から輸出されていると報告されている。違法伐採や違法伐採木材の流通は、森林の有する多面的機能(*34)に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあることから、米国やEUを始め諸外国は、違法伐採木材の取引や輸入を法律や規則で禁止している。


(*32)「International Union of Forest Research Organizations」の略。

(*33)平成28(2016)年12月3日付けIUFRO World Series「Illegal Logging and Related Timber Trade」Volume 35.

(*34)森林の有する多面的機能については、第1章第1節(1)55-56ページを参照。



(政府調達において合法性・持続可能性が確保された木材等の利用を促進)

我が国では、まずは政府調達において合法性・持続可能性が確保された木材等の利用を促進するため、平成18(2006)年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(*35)」(以下「グリーン購入法」という。)に基づく基本方針において、合法性や持続可能性が証明された木材・木材製品を政府調達の対象とするよう明記した。同基本方針に併せて林野庁が作成した「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」の証明方法を活用し木材を供給する事業者として、令和4(2022)年3月末現在で、149の業界団体により12,069の事業者が認定されている。


(*35)「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(平成12年法律第100号)



(「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」による合法伐採木材等の更なる活用)

合法伐採木材等に関する情報提供ホームページ「クリーンウッド・ナビ」

民間需要においても、平成29(2017)年に施行された「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(*36)」(以下「クリーンウッド法」という。)により、全ての事業者は合法伐採木材等(*37)を利用するよう努めることが求められ(*38)、特に「木材関連事業者(*39)」は、扱う木材等について「合法性の確認」等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなった。この措置を適切かつ確実に行う木材関連事業者は、国に登録された第三者機関である登録実施機関に申請して登録を受けることができる。登録木材関連事業者は、令和4(2022)年3月末時点で、581件登録されている。第一種登録木材関連事業者(*40)により合法性が確認された木材は、令和7(2025)年度の目標値4,350万m3に対し、令和2(2020)年度は約3,000万m3(令和2(2020)年の木材需要量の約4割)である。

林野庁では、情報提供サイト「クリーンウッド・ナビ」を公開し、本サイトを通じて合法伐採木材等に関する情報提供や、木材関連事業者の登録促進等の取組を行っている。

なお、政府調達については、グリーン購入法に基づく基本方針の下、木材関連事業者は、クリーンウッド法に則し、合法性の確認や分別管理等をすることとなっている。


(*36)「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(平成28年法律第48号)

(*37)我が国又は原産国の法令に適合して伐採された樹木を材料とする木材等。クリーンウッド法第2条第2項。

(*38)クリーンウッド法第5条

(*39)木材等の製造、加工、販売等を行う者。

(*40)樹木の所有者から丸太を受け取り、加工、輸出等の事業を行う木材関連事業者のうち、登録を行った者。



(国際的な取組)

国際的な取組としては、木材生産国における合法性・持続可能性が確保された木材等の流通及び利用に向けた支援に取り組んでいる。具体的に、令和3(2021)年には、国際熱帯木材機関(ITTO(*41))を通じて、マレーシアにおける持続可能な森林管理体制の構築及びコスタリカにおける違法伐採リスク回避のための人工林経営強化プロジェクトへの支援を開始した(*42)。

また、アジア太平洋経済協力(APEC(*43))の「違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT(*44))」では、違法伐採対策の取組状況についての情報交換が行われた。我が国からはITTOにおける取組等について報告を行った(*45)。


(*41)「The International Tropical Timber Organization」の略。ITTOについては、第1章第4節(4)90ページを参照。

(*42)支援プロジェクトについては、林野庁ホームページ「第57回国際熱帯木材理事会(2021年11~12月、オンライン)の結果について」を参照。

(*43)「Asia Pacific Economic Cooperation」の略。

(*44)「Experts Group on Illegal Logging and Associated Trade」の略。

(*45)林野庁ホームページ「第20回APEC違法伐採及び関連する貿易専門家グループ会合(EGILAT20)の結果について」、「APEC違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT)のワークショップの結果について」、「違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT)による「木材合法性の確認に有用な情報源を収集した資料集(コンペンディウム)」の公表について」


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