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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(1)

目標15
目標12

(1)世界の木材需給の動向

(ア)世界の木材需給の概況

(世界の木材消費量及び生産量)

国際連合食糧農業機関(FAO(*1))によると、世界の産業用丸太の消費量は、近年おおよそ20億m3で推移しており、2020年は前年比2%減の19億8,602万m3であった。産業用丸太以外の燃料用丸太については、2020年の世界の消費量は前年比1%減の19億2,599万m3であり、99%以上が生産国内で消費されている。

また、世界の産業用丸太の2020年の生産量は、前年比2%減の19億8,369万m3であった。また、製材の生産量は、前年比3%減の4億7,273万m3、合板等の生産量は、前年比1%減の3億6,825万m3であった(*2)。


(*1)「Food and Agriculture Organization of the United Nations」の略。

(*2)FAO「FAOSTAT」(2021年12月16日現在有効なもの)。消費量は生産量に輸入量を加え、輸出量を除いたもの。



(世界の木材輸入量の動向)

2020年における世界全体の木材輸入量は、産業用丸太については、前年比3%減の1億3,615万m3であった。中国が世界最大の輸入国で、2010年と比べると、輸入量は3,434万m3から5,954万m3に73%増加した。世界の輸入量に占める中国の割合も31%から44%に上昇した。一方、我が国の輸入量は476万m3から219万m3に54%減少し、全世界の輸入量に占める割合は4%から2%に低下した。

製材については、前年比5%減の1億4,468万m3であった。2010年と比べると、中国の輸入量が1,476万m3から3,384万m3に2.3倍増加し、世界最大の製材輸入国となった。米国では、その間に輸入量が1,658万m3から2,626万m3に1.6倍増加したが、2020年の輸入量は中国を下回った。一方、我が国の輸入量は641万m3から504万m3に21%減少した。

合板等については、2020年の世界全体の輸入量は前年比4%減の8,660万m3であった。2010年と比べると、米国の輸入量が790万m3から1,446万m3に83%増加した。一方、我が国の輸入量は400万m3から266万m3に33%減少した(資料3-1)。


(世界の木材輸出量の動向)

2020年の世界全体の木材輸出量は、産業用丸太については、前年比1%減の1億3,381万m3であった(*3)。2010年と比べると、中国の需要増加により、ニュージーランドの輸出量が1,075万m3から2,186万m3に倍増して、世界最大の輸出国となった。

製材については、前年比3%減の1億5,283万m3であった。2010年と比べると、ロシアが丸太から製品輸出へシフトしたことから、1,769万m3から3,138万m3に1.8倍増加し、カナダを抜いて世界最大の輸出国となった。

合板等については、前年比2%減の8,792万m3であった。2010年と比べると、中国が994万m3から1,250万m3に26%増加し、引き続き世界最大の輸出国であった(資料3-2)。


(*3)輸入量と輸出量の差は、輸出入時の検量方法の違い等によるものと考えられる。



(イ)2020年の各地域における木材需給の動向

(米国の動向(*4))

米国では、新型コロナウイルス感染症の影響の下、自宅待機要請に伴う自宅の改築・改修の増加と記録的な低金利の住宅ローンにより、住宅着工数が増加し、2020年第2四半期以降、木材需要が回復した。同年7月以降は、木材価格が急激に上昇して、年末には歴史的な水準まで高騰した。


(*4)令和2(2020)年12月17日付け日刊木材新聞2面



(欧州の動向(*5))

欧州では、2020年6月に経済活動が再開されると、堅調な建築市場とDIY需要の増加により、域内の需要が回復した。米国での木材需要の高まりに伴い、米国への輸出も増加した。キクイムシ被害木の処理により、原木(*6)供給は増加した。


(*5)令和3(2021)年1月7日付け日刊木材新聞5面、経済産業省プレスリリース「海外現地法人四半期調査にみる主要地域(米・中・欧・ASEAN10)における現地法人の状況」(令和2(2020)年12月25日付け)、令和3(2021)年1月27日付けRandom Lengths「Outlook 2021 ― Part Two Recovery from pandemic will set the 2021 tone in Europe」

(*6)製材・合板等の原材料となる丸太。



(東南アジアの動向(*7))

マレーシアやインドネシアで、合板等の生産が停滞した。マレーシアでは、インドネシアとの国境間移動について、新型コロナウイルス感染症の水際措置として制限がなされたことにより、合板工場等における労働力が不足するとともに、悪天候も重なって原木供給が不足した。


(*7)令和2(2020)年12月21日付け木材建材ウイクリー: 23-24.



(ニュージーランドの動向(*8))

ニュージーランドでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、2020年4月に木材の伐採・輸出を一時的に停止したが、再開後は、中国への輸出が大幅に回復した。


(*8)令和2(2020)年12月9日付けRandom Lengths「New Zealand exports to China recover from pandemic」



(中国の動向(*9))

中国では、新型コロナウイルス感染症の影響下においても、近年の経済拡大に伴う木材需要増が伸展しており、丸太輸入量は横ばいで推移した。特にドイツ、チェコなどの安価なキクイムシ被害木の輸入量が増加した。一方、中国の税関は、豪州産の輸入木材から害虫が発見されたことを理由として、2020年12月から豪州産の全ての丸太輸入を禁止した。


(*9)令和3(2021)年2月11日付け日刊木材新聞1面、令和3(2021)年1月8日付けWealth「豪州木材、とうとう残る2州も禁輸=中国」Vol.484 :5.



(ウ)国際貿易交渉の動向

我が国は、幅広い国や地域とのEPA(*10)・FTA(*11)等の締結に取り組んできた。平成30(2018)年に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)(*12)」、平成31(2019)年に「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)」、令和2(2020)年に「日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(日米貿易協定)」、令和3(2021)年に「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定(日英EPA)」が発効した。

令和4(2022)年1月には、「地域的な包括的経済連携(RCEP(アールセップ)(*13))協定」が発効(韓国に対しては令和4(2022)年2月に発効)した。輸出関心品目として、中国においては、合板(針葉樹)、加工木材(針葉樹)等、韓国においては、建築用木工品(窓、戸、杭、梁(はり))等が関税撤廃となった。


(*10)「Economic Partnership Agreement」の略。

(*11)「Free Trade Agreement」の略。

(*12)TPP11協定:「Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership(CPTPP)」。TPP協定は2016年に12か国が署名したもので、TPP11協定は、米国の離脱宣言後の2017年に大筋合意したもの。

(*13)「Regional Comprehensive Economic Partnership」の略。



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