第1部 第2章 第2節 特用林産物の動向(1)
(1)きのこ類等の動向
(特用林産物の生産額)
「特用林産物」とは、一般に用いられる木材を除いた森林原野を起源とする生産物の総称であり、林業産出額の約5割を占めるなど地域経済の活性化や雇用の確保に大きな役割を果たしている。
令和2(2020)年の特用林産物の生産額は前年比2%増の2,837億円であった(*61)。このうち、「きのこ類」は、全体の8割以上(2,493億円)を占めている。このほか、樹実類、たけのこ、山菜類等の「その他食用」が252億円、木炭、漆等の「非食用」が93億円となっている。
(*61)林業産出額における栽培きのこ類等の産出額(庭先販売価格ベース)については、第1節(1)92ページを参照。なお、以下では、東京都中央卸売市場等の卸売価格等をベースにした林野庁「令和2年特用林産基礎資料」に基づく生産額を取り扱う。)
(きのこ類の生産額等)
きのこ類の生産額の内訳をみると、生しいたけが671億円で最も多く、次いでぶなしめじが556億円、まいたけが472億円の順となっている。
きのこ類の生産量については、「食料・農業・農村基本計画」(令和2(2020)年3月閣議決定)において、令和12(2030)年度までに49万トンとする生産努力目標を設定しているが、近年46万トン前後で推移している。令和2(2020)年の生産量は前年比1%増の46.2万トンとなった(資料2-27)。一方、きのこ生産者戸数は、減少傾向で推移している。
きのこ類の輸入額は減少傾向にあり、令和2(2020)年は、前年比11%減の119億円(9,254トン)となっている。この輸入元のほとんどは中国である(*62)。一方、きのこ類の輸出額は、乾しいたけについて、これまで主要な輸出先であった香港以外の米国、シンガポール向けが増加した影響により、令和2(2020)年のきのこ類の輸出額は前年比50%増の8億円(1,083トン)となっている。
(*62)林野庁「令和2年特用林産基礎資料」
(きのこ類の消費拡大に向けた取組)
林野庁では、きのこ類の消費拡大に向け、おいしさや機能性(*63)を消費者に伝えるPR活動を関係団体と連携して実施している。
また、生しいたけの原産地表示については、これまで、収穫地を原産地として表示することとされていた。しかし、近年、海外で植菌・培養された輸入菌床に由来するしいたけの生産量が増加しており、消費者は国産菌床由来のしいたけと輸入菌床由来のそれとを区別することができない状況となっていたことから、消費者庁は、令和4(2022)年3月に、原産地表示のルールを変更し、原木又は菌床培地に種菌を植え付けた場所(植菌地)を原産地として表示することを義務化した。
さらに、生産者等において菌床やほだ木に国産材が使用されていることを表示するマーク等の取組も進められている。
(*63)低カロリーで食物繊維が多い、カルシウム等の代謝調節に役立つビタミンDが含まれているなど。
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