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林野庁

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第1部 特集2 第1節 新型コロナウイルス感染症の影響(3)

(3)林業の状況

(素材生産の動向)

素材生産活動においては、丸太輸出量の減少や国内の製材・合板工場等の減産に伴う原木の入荷制限により、令和2(2020)年前半は特に生産を調整せざるを得ない状況となった。

令和2(2020)年2月頃から、中国向けの丸太輸出が滞り、輸出が盛んな九州地方を中心に、丸太が港や山土場等で滞留する事態が生じ、素材価格が低下するなど素材生産にも影響を及ぼした。4月以降は、中国の経済活動再開に伴う輸出丸太の需要回復があった一方で、国内の木材需要の減少に伴う製材・合板工場等の減産、原木の入荷制限等の動きが生じた。これを受け、川上において素材生産を見合わせる動きが広がった。林業経営体においては、一時的に素材生産から森林整備に労働の軸足を移すなどの動きがみられた。道府県の森林組合連合会の中には、県・市町及び関係機関と連携し、川中の製材工場等の木材需要情報を森林組合等に共有し、造材指導を通じて原木の販売事業の推進を図るなど、川上への影響を緩和する調整役を担う連合会もみられた(*9)。

夏以降は、製材・合板工場による原木の入荷制限の緩和等に伴い、徐々に素材生産活動も回復がみられているが、他の事業にシフトしていた林業経営体は素材生産の再開に時間がかかるため、原木不足の地域もみられるようになった。


(*9)例えば、愛媛県森林組合連合会は、川上からの原木の受入れをできる限り行うとともに、森林組合等に対して、時々の製材所等の製品ニーズにマッチングするよう造材指導等を行った。



(特用林産物の動向)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、令和2(2020)年3月から全国の小中学校等において臨時休校が実施され、首都圏等の人口密集地域においては3か月近くに及ぶ休校が実施された。さらに、同年4月の緊急事態宣言の発出により、約2か月にわたり飲食店の休業も実施され、この間、これまで学校給食や飲食店で提供されていたきのこ類等の需要が減少することとなった。

一方、令和2(2020)年3月以降、きのこ類の国内卸売価格は前年並みで推移しており、主要品目である生しいたけの同年の東京都中央卸売市場の年間平均卸売価格は対前年比101%の955円/kgとなるなど、需要全体としては堅調であった。

また、わさびは、飲食店向けの需要が減少し、令和2(2020)年4月の東京都中央卸売市場の平均卸売価格は3,130円/kg(対前年同月比46%)まで下落した。その後、需要の回復等により卸売価格は徐々に回復したものの、同市場の年間平均卸売価格は5,710円/kg(対前年比79%)にとどまるなど大きな影響を受けた。

このほか、飲食店の営業時間の短縮や休業の影響により、業務用木炭の需要が減少した。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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