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林野庁

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第1部 第4章 第2節 木材産業の動向(2)


(2)製材業

(製材品出荷量はほぼ横ばい)

我が国における近年の製材品出荷量の推移をみると、平成21(2009)年までは減少を続け、その後はほぼ横ばいとなっており、平成29(2017)年には前年比1.8%増の946万m3であった。平成29(2017)年の製材品出荷量の用途別内訳をみると、建築用材(板類、ひき割類、ひき角類)が777万m3(82%)、土木建設用材が37万m3(4%)、木箱仕組板・こん包用材が107万m3(11%)、家具・建具用材が6万m3(1%)、その他用材が19万m3(2%)となっており、建築用が主な用途となっている(資料4-24)。


製材工場における製材用素材入荷量は、平成29(2017)年には1,680万m3となっており、このうち国産材は前年比4%増の1,263万m3であった。製材用素材入荷量に占める国産材の割合は75%となっている。

また、輸入材は前年比5%減の417万m3であり、このうち米材(べいざい)が328万m3、ニュージーランド材が42万m3、北洋材が24万m3、南洋材8万m3、その他が15万m3となっている(資料4-25)。

これに対し、製材品の輸入量は、平成29(2017)年には632万m3であり(*76)、製材品の消費量(*77)に占める輸入製材品の割合は約4割となっている。製材品の主な輸入先国は、カナダ(191万m3)、フィンランド(100万m3)、ロシア(85万m3)、スウェーデン(82万m3)等となっている。


(*76)財務省「貿易統計」

(*77)製材品出荷量946万m3と製材品輸入量632万m3の合計。



(大規模製材工場に生産が集中)

我が国の製材工場数は、平成29(2017)年末現在で4,814工場であり、前年より120工場減少した。減少した工場の約9割は、出力規模(*78)が75.0 kW未満の小規模工場であった。平成28(2016)年末時点における製材工場の従業員総数は、前年比4%減の28,057人となっている。

出力階層別の素材消費量(*79)をみると、「出力規模300.0kW以上」の大規模工場の消費量の割合が増加し、平成29(2017)年には70%となっており、製材の生産は大規模工場に集中する傾向がみられる(資料4-26)。平成28(2016)年の販売金額規模別の製材工場数をみても、5年前の平成23(2011)年と比べて、1億円未満の工場が約6割減の1,770工場であるのに対して、1億円以上の工場はほぼ倍増して3,163工場となっており、大規模化の傾向がみられる(*80)。


(*78)各工場の製材用機械を動かす動力(モーター)が一定時間に出す有効エネルギーの大きさ。

(*79)製材工場出力数と年間素材消費量の関係の目安は次のとおり。75.0kW未満:2千m3未満、75.0kW以上300.0kW未満:2千m3以上1万m3未満、300.0kW以上:1万m3以上。

(*80)農林水産省「木材流通構造調査」



(品質・性能の確かな製品の供給が必要)

製材の分野では、住宅の品質・性能に対する消費者ニーズや非住宅分野への対応等により、寸法安定性に優れ、強度性能が明確な木材製品が求められている。

木材の品質については、「日本農林規格等に関する法律(JAS法)」に基づく「日本農林規格(JAS(ジャス))」として、製材、集成材、合板、フローリング、CLT(直交集成板)、接着重ね材、接着合せ材等の11品目(*81)の規格が定められている。JAS制度では、登録認証機関(*82)から製造施設や品質管理及び製品検査の体制等が十分であると認証された者(認証事業者)が、自らの製品にJASマークを付けることができるとされている(*83)。

製材の新たな需要先として期待される非住宅分野等の大規模な建築物においては、設計時に構造計算が求められることから、住宅の品質・性能に対する消費者ニーズの高まりに応えるとともに、このような非住宅分野等への木材利用の拡大を図るためにも、JAS製品の供給体制の整備を着実に進めていくことが必要となる。しかしながら、JAS制度に基づく認証を取得した事業者の割合は、合板工場では7割を超えているものの、製材工場では1割程度にすぎず、JAS製材品の供給体制は十分とはいえない(*84)。

また、近年、プレカット材の普及に伴い、その加工原料として、寸法安定性に優れた集成材のほか、乾燥材(*85)等への需要が高まっている。我が国の人工林資源の多くを占めるスギ材は含水率のばらつきが大きいため、これまでは品質の均一な乾燥材の生産が困難であったが、近年では、乾燥技術の向上や乾燥施設の整備が進んでいる。これを背景として、製材品出荷量に占める人工乾燥材の割合は増加傾向にあり、平成29(2017)年には41.5%となっている。製材品出荷量のうち、特に乾燥が求められる建築用材に占める人工乾燥材の割合は50.0%となっている(資料4-24)。


(*81)製材、枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材、集成材、直交集成板、単板積層材、構造用パネル、合板、フローリング、素材、接着重ね材及び接着合せ材。CLT(直交集成板)について詳しくは、185-188ページを参照。

(*82)ISO/IECが定めた製品の認証を行う機関に関する基準等に適合する法人として、農林水産大臣の登録を受けた法人(ISOは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」、IECは「国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)」)。

(*83)「日本農林規格等に関する法律」(昭和25年法律第175号)第14条第1項

(*84)合板工場については、公益財団法人日本合板検査会調べによるJAS認証工場数(平成29(2017)年9月末現在)を全合板工場数(平成29(2017)年12月末現在)で除した割合。製材工場については、農林水産省、一般社団法人全国木材検査・研究協会及び一般社団法人北海道林産物検査会調べによる製材等JAS認証工場数(平成29(2017)年3月現在)を全製材工場数(平成28(2016)年12月末現在)で除した割合。

(*85)建築用材等として使用する前に、あらかじめ乾燥させた木材。乾燥させることにより、寸法の狂いやひび割れ等を防止し、強度を向上させる効果がある。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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