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林野庁

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第1部 第1章 第6節 森林の経営管理を担う林業経営体や人材の育成のために


(林業経営体等のイノベーション)

林業の成長産業化と森林の適切な経営管理を実現するためには、これから拡大が見込まれる伐採、造林、育林の事業量に林業経営体が対応していくことが不可欠である。今後、人口減少社会が到来する中、労働者人口の減少も見込まれており、林業従事者の確保のみによって対応していくことは難しく、様々な取組により生産性の向上を図っていくことが必要である。

林業経営体の総数は減少しており、生産性の低い者も多いなど、様々な課題がある一方で、効率的な経営を実現している者も存在している。

本章では、このような林業経営体に関し、ICTを活用したスマート林業の実現による生産現場の効率化や、川上・川中・川下の連携の強化による流通全体の効率化や付加価値の向上といったイノベーションとも言える事例について示してきた。今後、こうした取組を一事例にとどめるのではなく、全国に展開・普及し、生産性の向上を図っていくことが必要である。


(林業従事者の育成)

こうした取組によって、林業を魅力ある職場にできれば、林業従事者の確保へつなげていくことも可能である。

アンケート調査によると、林業就業者の就業には「やりがい」が大きく影響している。今回示した事例の中でも、(株)明神林業の相原氏は「自らの会社を設立したい」、(株)はまさきの由良氏は「海外の森林再生に寄与したい」といった多様な将来の目標を示している。また、就業に際して自分に不足していると思う知識・技術については、「航空レーザーやドローンを活用した測量、ICTを活用した林業機械等の新たな技術に関すること」や「高性能林業機械の操作、安全対策など現場作業に関すること」といった回答が多かった。

こうした様々な希望に応えるためには、人材育成の方向性を複数用意する必要がある。

まず一つ目は、林業の現場スキルの向上である。伐倒技術や機械のオペレーター、路網の作設等、個々のスキルの向上や複数のスキルを取得するといった方向である。

二つ目は、マネジメント能力の向上である。各種の作業やそれを担う作業員を俯瞰的に眺めることにより、作業班における作業の最大効率化を図るといった方向である。さらには、複数の作業班や林業経営体の経営そのものも同時にマネジメントすることにより、経営者としての能力を向上させることにもつながっていく。

三つ目は、施業の集約化や川下までの流通に関する知識・能力を高めていく方向である。このような能力の向上は、地域の森林・林業・木材産業全体を俯瞰する能力にもつながっていくものである。

現在、実施している各種の研修ではFW、FL、FMといった形で、現場に関する能力からマネジメント能力を有する現場のリーダーを目指すものや、森林施業プランナー研修のように、施業の集積・集約化に関する能力を向上させていくもの等、様々な内容のものが用意されている。

これらの研修等を経て育成される人材は、FLや森林施業プランナー、技術士等の様々な資格や名称として評価されるところである。このような人材の能力アップに関する様々なニーズに対応できるような、研修の体系や資格取得の道筋を示していくことも必要である。


(森林・林業・木材産業のイノベーションの実現に向けて)

森林・林業・木材産業に既に関わっている者の育成に加えて、外部の視点や人材を活用することも重要である。これまで挙げてきた事例では、外部コンサルタントの活用や、川下側の視点を有した者、UIターン等により林業経営に関わることになった者が大きな役割を果たしている。

こうした者の視点を取り入れることによって、まずは、日給制を月給制に改めるなど、他産業並みの就業条件の整備が必要である。さらに、その先には、AI、ICT、ロボットの利用による省力化・軽労化や、ビッグデータの活用による消費者ニーズに対応した木材の需給など、他産業にも取り入れられつつある技術・情報のイノベーションを林業の分野に取り込むことにより、他産業に引けを取らない産業成長化を見込むことができると考えられる。こうしたイノベーションの成果により、森林資源の価値の向上や、新たな価値の創造を図り、林業の成長産業化と森林の適切な経営管理を実現していかなければならない。

挿絵4

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-3502-8036

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