猛禽類モニタリング
猛禽類モニタリングワーキンググループ 大型の猛禽類と舞う空と森
森林生態系の頂点に位置する大型の猛禽類(イヌワシ・クマタカ)。全国的にみて、年々その数が減少してきていると言われています。赤谷の森では、このイヌワシ・クマタカが安心して暮らし、子育てが出来るような環境の維持・形成を図っています。
ニホンイヌワシ 両翼を広げると2m程度。 クマタカ 大きさは1.8m程度。
全国で約200つがいが確認されています。 全国で約900つがいが確認されています。
(写真提供:高野丈) (写真提供:高野丈)
人間の活動の影響を最小限として、さらに、より望ましい生息環境を創造していくため、イヌワシ・クマタカがどのような森林でヒナを育て、どのような森林で狩りをしているのか、その生活を地道なフィールド調査により解明しています。
定期的に調査を継続して実施しています。
猛禽類は広範囲に動き回るため、複数の調査地点に分かれて調査を実施します。そのため連絡には無線機を使用します。
また、必要に応じ猛禽類の専門家を招いた調査も実施しています。
「クマタカを指標とした森林管理に関する提言」をまとめました。
クマタカは、森林生態系の食物連鎖の上位に位置し、森林に生息する様々な中小動物を獲物としている大型の猛禽類です。クマタカの生息環境を保全することは、その地域に生息・生育する野生動植物の多様性と豊かさを保全することにつながります。さらに、クマタカは北海道から九州まで様々な植生の森林地帯に連続して広く分布しているので、クマタカが安定して生息している環境が存在していることは、森林を構成する植生の種類にかかわらず、中小動物が豊富に生息し、かつ、クマタカが狩りをすることができる林内空間を有する森林環境が保全されていることの指標になると考えられます。
赤谷プロジェクトでは、生物多様性の豊かさを指標する野生動物であるクマタカの繁殖状況や狩りをする場所などについて継続的に調査を行ってきました。これらの調査結果に基づき、今回、赤谷プロジェクト・猛禽類ワーキンググループは、「クマタカを指標とした生物多様性の保全に資する森林管理-赤谷プロジェクトからの提言-」を以下のとおり取りまとめました。
この提言書は、クマタカが安定的に生息して繁殖を継続することができる生物多様性に富む豊かな森林環境を維持・向上させること、かつ、森林資源の持続的な利用を実現することに役立つ、具体的な森林管理の考え方と方法を提案しています。この提言書で示している森林管理の具体例は、他の地域の森林にも応用できるものと考えられますので、今回の提案を参考として全国各地でクマタカを指標とした森林管理が実践されていくことを期待しています。
提言本文のダウンロードは以下からできます。 |
クマタカとクマタカの育雛 |
イヌワシは2haの皆伐地を狩りが出来る環境として認識~イヌワシが狩りをする環境の創出試験2年間の結果~
赤谷プロジェクトでは、イヌワシの生息環境を向上させるため、2014年9月からイヌワシが狩りを行うことができない人工林を伐採し、狩りができる環境を創出するとともに、ブナ・ミズナラを主体とする本来の自然の森を復元する取り組みを進めています。 平成28年10月18日、2年間行ってきた「イヌワシが狩りをする環境の創出試験」の結果についてプレスリリースしました。
また、平成28年には赤谷の森に1つがいだけ生息するイヌワシペアが7年ぶりに子育てに成功しました。子育ての成功は狩場の創出の直接的な効果ではないものの、赤谷の森にイヌワシが子育てできる豊かさがあることが示されたと考えています。今後もイヌワシが安定的に子育てができる森林づくりを進めていきます。
プレスリリース本文のダウンロードは以下からできます。平成28年10月18日付けプレスリリース「イヌワシは2ha の皆伐地を、狩りができる環境として認識~イヌワシが狩りをする環境の創出試験2年間の結果~ 」 |
イヌワシ赤谷ペアとイヌワシ幼鳥 |
お問合せ先
赤谷森林ふれあい推進センター
ダイヤルイン:0278-60-1272