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関東森林管理局

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    木戸川林道

    1.木戸川林道の概要

    名称:木戸川林道(きどがわりんどう)
    運用者:富岡営林署(昭和17~27年度は木戸営林署)
    延長:約2,100m
    幅員:1.8m
    国有林の森林鉄道としての存続期間:昭和8年度~昭和36年度
    所在市町村:木戸村(現在の楢葉町)、上小川村(現在のいわき市)



    2.木戸川林道の歴史

    国有林の軌道としては昭和8年度から富岡営林署により整備が始まりましたが、一部民間事業者により既に開設されていた軌道を利用したものでした。

    「平成10年度企画展写真に残されたならは」(平成11年3月4日楢葉町歴史資料館編集・発行)によると、大正3年2月に丸三製材所が女平から木戸駅まで木戸川軌道を敷設。下川内から女平の丸三製材所までは木材を川流し式で輸送、水車動力(50馬力)を用いた丸ノコで製板を始め、また枕木の製材を行い、女平から木戸駅まで製材品を運送していたが、大正11年2月の木戸川氾濫と山崩れにより全滅。その後、双葉軌道会社が利用しさらなる軌道の整備が加えられていた。さらに、昭和8年には軌道そのものの管理が富岡営林署木戸担当区に移管されると、総工費120,299円をかけて大幅に整備される。このころから、木戸川森林軌道と呼ばれるようになった。また、昭和23年度までには木戸川に沿って現在のいわき市方面まで軌道の延長がなされた、と記されています。

    昭和8年度から10年度にかけての台帳の記録によると、昭和8年度、木戸駅から木戸村大沢上小塙字芝坂国有林に至る7,857m(うち隧道252.3m)の軌道が富岡営林署により整備されましたが、用地12.501反(1.24ha)及び軌条(レール)5,660mが「買上」されており、この軌条5,660mは既設の木戸川軌道の軌条と考えられます。これとは別途、軌条8.19kmが調達されています。また、同年、木戸駅に隣接する木戸貯木場が整備されます。
    昭和9年度には、軌道は5,013m延長されます。待避線2ヶ所145mも整備されており、軌条布設は5,158mです。また、修繕として、桟橋修繕、土砂除去、軌条敷替などが行われました。昭和8~9年度の2カ年の整備費の合計は、120,299.58円でした。同年、群馬県の下仁田林道で一部撤去された9kg軌条5,008mが木戸川林道に移管され、6kg軌条の余剰が生じ、昭和9年度には6kg軌条1,150mを久慈川林道に、昭和10年度には6kg軌条3,296mを沼田営林署発知林道に、また1,214mを他用途にそれぞれ流用しています。また、下仁田林道から移管された9kg軌条のうち470mが昭和10年度に木戸川林道三十郎沢線に流用されています。
    また、昭和10年度には、東京営林局直轄実行により特修(特殊修繕)が施され、昭和10年度及び12年度に浪江営林署から富岡営林署にガソリン機関車が「保管転換」されており、昭和10年度にはガソリン機関車が運用されていたものと推測されます。
    その後は台帳の記録が確認できず詳細は未詳ですが、昭和13年、16年、17年には富岡営林署の大野林道大野線及び小塚線の撤去軌条が木戸川林道に転用された記録があり、昭和28年応急修正の国土地理院の5万分の1地形図には、木戸川林道が上小川村に延長されていることが記されています。そして、昭和36年度には、木戸川林道は廃止となります。


    年 度
    森林鉄道としての整備状況
    国有林の森林鉄道としての延長(m)
    大正2年
    大正3年2月、丸三製材所による木戸川軌道開設(木戸駅~女平(丸三製材所))
     
    大正10年
    大正11年2月、丸三製材所被災
     
      双葉軌道による軌道整備
     
    昭和8年
    富岡営林署により木戸川貯木場~木戸村大字上小塙字芝坂国有林間の7,857m軌道開設(うちトンネル252.3m)。軌条5,158m買上げ。別途軌条8.19km調達。
    7,857
    昭和9年
    軌道を5,013m延長(内数で待避線2ヶ所145m)(平均勾配:5.7‰、最急勾配:45.5‰、最緩勾配:水平、最小半径15m)。
    下仁田林道より9kg軌条5,008m移管。
    余剰の6kg軌条1,150mを久慈川林道に流用。
    12,870
    昭和10年
    東京営林局直轄実行による特修(特殊修繕)
    浪江営林署より富岡営林署にガソリン機関車(1)を保管転換
    余剰の6kg軌条3,296mを沼田営林署発知林道に、1,214mを他用途に流用
    9kg軌条を木戸川林道三十郎沢線に流用
    12,870
    昭和12年 浪江営林署より富岡営林署にガソリン機関車(1)を保管転換  
     ~昭和23年 その後、軌道を延長(詳細未詳)
    昭和13年度に大野林道大野線より6kg軌条1,852mを木戸川林道に転用
    昭和16年度に大野林道小塚線より軌条324mを木戸川林道に転用
    昭和17年度に大野林道大野線より6kg軌条2,328mを木戸川林道に転用
    といった記録があり、最終的には、木戸川林道の延長は約21kmになったとみられます。

    約21,000
    昭和36年
    全線廃止
    0



    6
    木戸川林道(下段位置図の78林班、位置図現在の738林班付近)




    0
    同上










    2
    木戸川林道の起点の木戸貯木場(昭和30年頃)


    2
    木戸川林道(昭和30年)


    7
    73林班(現在の733林班)と推定





    3.木戸川林道位置図

    1
    昭和11年頃の木戸川林道位置図

     

    お問合せ先

    福島森林管理署

    ダイヤルイン:024-535-0121
    FAX番号:024-535-6514