烏川林道

昭和16年5月
1.烏川林道の概要
名称:烏川林道(からすがわりんどう)運用者:福島営林署
延長:6,717.3m
幅員:1.8m
平均勾配:33‰
最急勾配:100‰
最小半径:8m
森林鉄道としての存続期間:昭和16~24年度
所在市町村:茂庭村(現在の福島市)
起点:梨平貯木場
終点:50林班
2.烏川林道の歴史
(1)烏川林道の整備の背景・概況製炭資材として利用されるのみの茂庭事業区奥部の木材の活用を図るため、昭和11年度より、官行斫伐事業が開始されます。
昭和10年には、梨平貯木場が整備されます。(梨平貯木場は、面積0.6926haで、昭和11年度に製品倉庫165m2、貯炭庫330m2を新設されます。)
また、梨平貯木場に、昭和11年に、国営の茂庭製材所が新設されます。(茂庭製材所の設備は、原動機(70馬力)、ボイラ(横置多管式)、自動帯鋸1、テーブル帯鋸1、丸鋸1、横切丸鋸2、人工乾燥室2、製品倉庫2、事務所1、労務者住宅4。年間2,500石の製材品を生産。)
そして、梨平貯木場を起点とし、昭和10年に、茂庭林道(軌道)が着工。
更に昭和15年には、同じく梨平貯木場を起点として、烏川林道(軌道)が着工。昭和15年度には土工、昭和16年度には軌条が布設されます。布設された軌条は、富岡営林署大野林道小塚線から転用したものでした。
烏川林道は、梨平貯木場から烏川を遡り、手沢との合流点から手沢の左岸を50林班まで遡るルートでした。
製材品・木材・木炭は、梨平貯木場からトラックで国鉄瀬ノ上駅(現在の東福島駅)に隣接する瀬ノ上貯木場まで運搬されました。瀬ノ上貯木場は製品倉庫、貯炭庫、国鉄の専用側線(117.50m)を擁し、昭和11年度に整備されました。
最急勾配100‰と急勾配箇所がある烏川林道では、ガソリンカーが運用されていたようですが、詳細は今のところ不明です。
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茂庭製材所(烏川林道の起点付近)(昭和16年9月) |
(2)烏川林道の整備にかかる年表
年度 | 森林鉄道としの整備状況 | 森林鉄道としての延長(m) |
昭和15年 | 土工6,464m、橋梁251.5m、桟道89.5m | |
昭和16年 | 6,777.3m軌条布設、うち60mが複線分であり、路線延長は6,717.3m。なお、軌条布設にあたり、富岡営林署よりの軌条6,853m(うち、4,364mは大野林道大野線、2,489mは大野林道小塚線)を転用。 | 6,717.3 |
昭和24年 | 全線軌条撤去。昭和24年6月27日付けで牛馬道に格下げ。 | 0 |
65,396.59円
内訳
土工:43,841.75円
橋梁(251.5m):8,766.19円
桟道(89.5m):1,448.10円
軌道布設:11,340.55円
軌条代は、転用品につき含まず
3.烏川林道位置図

4.烏川林道の遺構
烏川林道は、烏川に沿って遡り、手沢との合流点から手沢に沿って整備されました。現在の車道の烏川林道は、手沢沿いではなく、烏川本流に沿って整備されており、手沢沿いには、橋台や擁壁の石積といった遺構が残っています。

烏川林道遺構写真位置図
位置図中の番号 | 写真 | 備考 |
(ア) | ![]() |
リョウケン沢を渡る橋台 |
(イ) | ![]() |
擁壁の石積の排水箇所 |
(ウ) | ![]() |
橋台 |
(エ) | ![]() |
擁壁の石積の排水箇所 |
(オ) | ![]() |
橋台 |
(カ) | ![]() |
橋台 |
(キ) | ![]() |
橋台 |
(ク) | ![]() |
橋台 |
お問合せ先
福島森林管理署
ダイヤルイン:024-535-0121