森林境界の明確化・施業集約化
我が国の森林の所有構造は、保有面積10ha未満の林家が約9割を占めるなど、小規模・分散しています。このため、森林整備の実施に当たっては、隣接する複数の森林所有者が所有する森林を取りまとめて、一体的に施業を実施する「施業の集約化」を進める必要があります。しかしながら、森林所有者の不在村化や世代交代により、所有者や境界が不明となり、所有者から施業実施の同意を取得することが、困難になりつつあります。
このため、林野庁では、「森林整備地域活動支援対策」により、森林境界の明確化をはじめとする森林整備の事前準備に必要となる活動を支援しています。
1.森林整備地域活動支援対策
「森林整備地域活動支援対策」では、森林の集約化や一体的な森林整備に必要な森林経営計画の作成、森林境界の明確化、森林所有者の探索、森林経営計画の作成・森林境界の明確化を進める上で必要となる既存路網の簡易な改良などに必要な活動の支援を行っています。
同支援対策では、令和2年度からリモートセンシングデータを活用した測量への加算、令和4年度から性能の高い測量機器を用いた測量への加算を追加しました。
更に、令和5年度から、「森林境界案の作成」、「森林所有者の探索」のメニューを追加しています。
(1)森林経営計画の作成
計画的な森林整備に向けて、森林経営計画の作成や森林経営計画期間内での間伐実施に向けた地域活動として、情報の収集、森林の調査、施業計画の作成、森林所有者等への合意形成活動等を支援します。
【支援のポイント】
対象森林には、森林経営計画が作成されていない森林のほか、現在森林経営計画が作成されており、再度森林経営計画を作成する森林も対象となります。
(2)森林境界の明確化
境界が不明遼な森林において、将来的な森林整備に向けて、森林境界(所有者界)を明確にする活動として、森林所有者の立会のもとでの杭の設置・現地測量、リモートセンシングデータを活用した測量、森林所有者の合意形成活動等を支援します。
【支援のポイント】
森林経営計画の作成は、要件ではありません。(ただし、将来的な森林整備に繋げることが前提となります。)
リモートセンシングデータを活用して測量を実施する場合、現地立会の省略や机上での同意取得が可能です。また、測量成果に対して、最終的に森林所有者の同意が得られなかった場合も、支援の対象となります。(ただし、所有者へ事前の周知をしないで実施した測量は除きます。)
(3)森林所有者の探索
森林経営計画作成や森利境界の明確化の合意形成活動に必要な森林所有者を探索・確認する活動を支援します。
【支援のポイント】
林地台帳、森林簿、登記簿を確認しても所有者が確定できなかった森林について、戸籍、住民票、課税台帳などの公的書類を活用して、所有者を探索・確認する活動が対象となります。(市町村と連携した探索が効率的です)
基本的な探索範囲は、登記名義人の「配偶者又は子」まで、配偶者がいない場合は、「直系尊属(父母)や兄弟姉妹」となります。
実施要領等
- 森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策補助金等交付等要綱(PDF : 1,577KB)
- 林業・木材産業循環成長対策交付金実施要領(PDF : 1,776KB)
- 森林整備地域活動支援対策制度の解説【一問一答】(PDF : 825KB)
森林整備地域活動支援対策事業概要
森林境界の明確化等の取組事例集
森林境界の明確化(リモートセンシングデータの活用、森林境界明確化の成果を活用した地籍調査、森林組合による地籍調査など)や森林経営計画作成に取り組む、市町村、森林組合、林業事業体の取組事例集を作成しました。森林境界の明確化や施業集約化を進めるにあたって、参考にご活用ください。
2.森林境界明確化と地籍調査の連携
森林境界明確化は、国土交通省による地籍調査が完了していない森林において、森林整備を行うために実施するもので、土地の境界確認を行うという点は地籍調査と共通しています。このため、市町村の林務担当部局と地籍調査担当部局の間で、互いの実施時期・区域の調整を図るとともに、森林境界明確化の成果(リモートセンシングデータによる成果や境界杭など)を、地籍調査に活用していくことが重要となっています。
林野庁と国土交通省は、森林境界明確化と地籍調査の連携強化のため、林務担当部局と地籍調査担当部局による情報共有や、リモートセンシングデータを活用した森林調査等と地籍調査との連携について連名で通知を発出しております。
また、国土交通省では、地籍調査を進めるにあたり、関連する規程・通知等が作成されています。特に、リモートセンシングデータ(航測法)の活用や、森林境界明確化成果を地籍調査へと活用する際のマニュアル等は以下のとおりです。
- 航測法を用いた地籍調査の手引(PDF : 29.3MB_国土交通省地籍調査Webサイト)
- 航測法を用いた地籍調査のポイント(PDF : 16.6MB_国土交通省地籍調査Webサイト)
- 森林境界明確化成果を用いた地籍調査マニュアル(PDF : 236KB_国土交通省地籍調査Webサイト)
その他関連する規程・通知等は以下をご覧下さい。
国土交通省地籍調査Webサイトには、地籍調査の実施状況についても掲載されています。
3.森林境界の明確化・施業集約化に関する事例報告会
施業集約化・境界明確化に関する優良取組事例等の情報を共有し施業の集約化を推進するため、平成26年度から「施業集約化・境界明確化に関するセミナー」を毎年度開催してきました。
令和4年度からは「森林シューセキ!事例報告会」の「境界明確化・施業集約化部門」において事例報告を行っております。
令和5年度
- 山形県白鷹町における森林境界明確化の取組と今後について (山形県白鷹町)(PDF : 8,977KB)
- 東近江市100年の森づくりビジョンの推進 ~森林経営管理制度の活用・森林境界の明確化への取組~ (滋賀県東近江市)(PDF : 10,271KB)
令和4年度
- GNSS-RTKを活用した境界明確化 (白神森林組合)(PDF : 2,038KB)
- リモートセンシングデータを活用した境界案の作成手法 (北信州森林組合)(PDF : 6,687KB)
- 境界明確化と地籍調査の連携 (徳島県神山町)(PDF : 1,719KB)
「森林シューセキ!事例報告会」全体(境界明確化部門、森林経営管理制度部門、森林環境譲与税・地域林政アドバイザー部門)の報告内容については、こちらをご覧下さい。
令和3年度以前の報告内容
令和3年度
令和2年度
- 航空レーザ解析成果を活用した「森林現地調査支援システム」の導入について(愛媛県ほか)(PDF : 1,609KB)
- リモートセンシング活用の山村部における地籍調査について(アジア航測株式会社)(PDF : 1,578KB)
令和元年度
平成30年度
- 静岡県小山町における森林・林業に関する取組(静岡県小山町)(PDF : 1,318KB)
- 「循環型林業確立」に向けた取組(当麻町森林組合)(PDF : 1,487KB)
- 林業成長産業化地域創出モデル事業の取組(山口県長門市)(PDF : 1,034KB)
平成29年度
平成28年度
- 素材生産量の拡大に向けた施業集約化の取組(八頭中央森林組合)(PDF : 1,297KB)
- 森林境界確認事業と施業集約化(大子町森林組合)(PDF : 1,867KB)
- UAV(ドローン)による森林計測のご紹介(アジア航測株式会社)(PDF : 2,000KB)
平成27年度
- GIS・GPSを活用した境界確認とデータ管理(北信州森林組合)(PDF : 1,058KB)
- 森林明確化の取組(かが森林組合)(PDF : 1,954KB)
- 実施主体としての地域調査への取組(南那珂森林組合)(PDF : 772KB)
- 施業集約化におけるプランナーとの連携(福井県)(PDF : 1,461KB)
- 平成27年度施業集約化促進のための森林情報整備実証事業(一般財団法人日本森林技術協会)(PDF : 884KB)
- 航空レーザの活用について(株式会社パスコ)(PDF : 1,245KB)
平成26年度
- 森林の集約化に向けた協議会の取組(男鹿市森林集約化推進協議会)(PDF : 415KB)
- 施業集約化事例(大田市森林組合)(PDF : 406KB)
- 森林境界明確化支援システムの紹介(富山県森林研究所・新川森林組合)(PDF : 1,727KB)
- 群馬県森林境界明確化基金事業成果について(神流川森林組合)(PDF : 1,262KB)
- 熊本市西部地域民有林の森林境界明確化と森林保全の取組(熊本県森林組合連合会)(PDF : 1,003KB)
- 過去写真の立体視を活用した境界明確化支援~東京都での取組事例~(一般財団法人日本森林技術協会)(PDF : 1,408KB)
- 3次元空間情報を活用した森林境界明確化の加速化について(アジア航測株式会社)(PDF : 1,922KB)
お問合せ先
森林整備部森林利用課
担当者:森林利用指導班
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