森林整備事業の申請・検査におけるデジタル技術の活用について
森林整備事業では、申請・検査の際、図面や写真を添付することとし、施行地の一部は現地検査を行うこととしていますが、申請・検査をドローンやGIS等のデジタル技術を活用することにより、現地測量における作業時間の短縮、作業人員数の低減が期待できるなどから、2020(R2)年4月から、デジタル技術を活用した申請・検査を可能としました。
しかし、申請・検査のデジタル化は、活用事例が少ないことや、具体的な申請・検査の方法や制度、機器性能等の基準が明確になっていないことなどにより、活用が進まないといった課題がありました。
この課題を解決し、申請・検査のデジタル化をより一層推進するために各地で現地調査を実施し、取組事例集やガイドライン(技術的指針)を作成しました。
従来の手法 | 新しい手法 |
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申請者はコンパス等により施行地を測量します。 次に、測量成果を用いて面積計算を行い、施⾏地(人工造林や間伐などの施業が⾏われた現場)の位置を⽰した図⾯(位置図)、施⾏地の形状・⾯積を⽰した図⾯(施業図)を作成し、これらを添付した交付申請書を作成します。 申請書の提出を受けた都道府県は、申請書類を検査した後、⼀定の割合(少なくとも10%以上)で抽出した施⾏地において現地検査を⾏います。 (1)申請施行地での測量(コンパス測量)![]() 図面の作成(位置図、施業図) ![]() 事業の実施前・完了後の写真 ![]() (2)検査書類検査の後、抽出により現地で検査![]() 植栽本数等の確認状況 ![]() 下刈りの実施状況の確認 ![]() |
申請者はドローンで施⾏地を撮影し、撮影した写真からオルソ画像を⽣成します。 次に、GIS上でオルソ画像を⽤いて施⾏地の境界を測定(ポリゴンの作成)をします。申請者は、これらのオルソ画像・GISデータ(シェープファイル等)を用いて作成した交付申請書を作成します。 申請書の提出を受けた都道府県は、オルソ画像・シェープファイルをGISに読み込み、施⾏地の位置や形状・⾯積を確認します。また、オルソ画像から施業の実施状況(植栽本数、下刈の状況など)を確認します(現地検査の省略)。 (1)申請ドローンによる撮影・オルソ化![]() 位置・区域確認、面積・除地測定(シェープファイル等作成) ![]() 施行地の作業状況や位置等が確認できるオルソ画像等を提出することで、作業前・作業後の写真や位置図等の書類の提出を省略することができる。 (2)検査画像・シェープファイル等から施行地の位置・区域・面積・除地等を確認![]() ![]() 画像から施業実施状況等を確認 UAV写真から植栽木を確認 ![]() オルソ画像から下刈り実施状況を確認 ![]() |
補助金のデジタル申請・検査ガイドライン
全国各地で実施した現地調査やヒアリング調査の結果を踏まえ、申請・検査の方法や基準等を整理したガイドラインを作成しました。
本ガイドラインは、必要となる機器やソフトを解説する「準備編」、現地での計測方法や実施状況の確認方法などを施業種ごとに解説する「実践編」、申請に必要なデータ内容や形式などを解説する「データ編」の各章に分け、図表や具体例とともに解説しています。
森林整備事業における補助金のデジタル申請・検査ガイドライン(PDF:4,575KB)
普及へ向けた取組
ガイドラインの策定のほか、森林整備事業の申請・検査のデジタル化を推進するため、次の取組を行っています。
〇取組事例集
全国各地のオルソ画像やGNSS等のデジタル技術を活用した取組事例を施業別に取りまとめ、事例集を作成しました。
実際に申請・検査した際の手順やメリットなどが紹介されています。
森林整備事業における補助金の申請・検査のデジタル化取組事例集(PDF : 8,818KB)
〇研修会の開催
ガイドラインを活用し、申請・検査のデジタル化の一層の普及を図るため全国5地域において研修会を開催する予定です。
本研修会では、ガイドラインの内容の説明やオルソ画像を活用した申請・検査の実演、申請・検査に関する意見交換会を実施する予定です。
開催にあたっては、省力・低コスト造林技術に関する現地研修会等との合同開催とする場合もございますので、これらの研修と併せてご参加いただくことも可能です。
・委託事業名:令和7年度 省力化・低コスト化造林及び森林整備事業のデジタル申請・検査等の普及調査委託事業
・委託者:一般社団法人 日本森林技術協会
・開催予定(外部リンク、日本森林技術協会)(開催地や日程が変更となる場合もございます)
開催等については、日本森林技術協会ホームぺージ(外部リンク)をご確認ください。
関連通知の整備
林野庁では、デジタル技術を活用した申請・検査ができるよう通知類を見直しています(2020(R2)年度の事業から適用)。
〇森林環境保全整備事業実施要領
「書類検査」と「現地検査」の区分をなくし、「検査」に統一しました。
〇森林環境保全整備事業実施要領の運用
GISデータ(シェープファイル)等の提出があれば位置図・施業図の作成、提出の省略を可能としました。また、オルソ画像・ドローン単写真・点群データ等の提出があれば、作業前・作業後の写真を省略できるようにしました。
〇造林補助事業竣工検査内規例について
オルソ画像等で施業の実施状況が確認できる場合には、現地での確認を省略できることとしました。この場合、申請書類(ドローン画像等のファイルを含む)のみで検査が完結できることになります。
GIS 等により検査実施地の情報管理を行い、次回以降の申請検査にこの情報を利用できるようにしました。
また、デジタル技術を用いた申請を行う場合は、デジタル申請・検査ガイドラインを参考にするよう明記しました。
森林環境保全整備事業実施要領等の通知はこちら
関連情報
これまで、造林現場へのドローンやリモートセンシング技術の導入・普及に向けて、カリキュラムやテキストを作成し林業事業体向けの研修を開催しました。
令和元年度森林づくりへの異分野技術導入・実証事業(リモートセンシング研修)報告書(PDF : 13,827KB)
令和2年度先進的造林技術推進事業(リモートセンシング研修)(PDF : 14,691KB)
・林業事業体向けリモートセンシング研修(外部リンク)
令和元年度に林業従事者等がドローンの操縦や画像撮影・解析等の技術を効率的に取得するための研修を実施しました。
開催時の研修内容やテキストなどに興味がある⽅は、以下お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
ブルーイノベーション株式会社
お問い合わせフォーム(外部リンク)
お問合せ先
森林整備部整備課造林間伐対策室
ダイヤルイン:03-3591-5893