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林野庁

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第1部 第3章 第3節 木材産業の動向(3)

(3)国産材活用に向けた製品・技術の開発・普及

(大径材の利用に向けた取組)

大径材からは、横架材に利用される平角や、ツーバイフォー工法用の構造材、内装材等に利用される板材など、多様な製品を供給することが可能である。人工林が本格的な利用期を迎える中、大径材の出材量の増加が見込まれるため、大径材の利用拡大が重要となっている(資料3-34)。

これまで、製材工場は、間伐材を念頭に、中丸太からの柱角生産を中心としてきており、大径材を効率的に製材する体制となっていない場合が多かった。近年では、国内の製材機械メーカーで、大径材に対応した機械の改良・開発が進められており、製材工場では効率的な木取りを自動でできる大径材用の製造ラインが導入され始めている(*94)。

また、大径材では芯を外して平角や板材などを木取りすることが合理的であるが、乾燥時に反りや曲がりが出やすいといった課題がある。そのため、林野庁では、大径材に対応した製材や加工、乾燥の技術の開発・普及等を支援している。例えば、スギの大径材から製造した平角について、挽(ひ)き割り時に発生する大きな反りを蒸煮(じょうしゃ)、乾燥処理によって矯正し、通直にする技術等が開発された(*95)。


(*94)例えば、「令和4年度森林及び林業の動向」第3章第3節(2)の事例3-4(146ページ)を参照。

(*95)中国木材株式会社・名古屋大学・岐阜県森林研究所・長良川木材事業協同組合「蒸煮・乾燥処理によるスギ心割り平角2丁取り小屋組み横架材の製品・技術開発」



(CLTの利用と普及に向けた動き)

非住宅・中高層建築物での木材利用拡大に向けて、新たな資材であるCLTが注目されている。CLTはコンクリート等と比べて、(ア)施工が早い、(イ)軽い、(ウ)断熱性が高いという利点がある。

CLTは、共同住宅、ホテル、オフィスビル、校舎等の様々な建築物に使われており、CLTを活用した建築物は、令和7(2025)年度末までに1,700件を超える見込みとなっている(*96)(資料3-35)。

資料3-35 CLTの活用例

CLTの普及に向けては、「CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議」において令和3 (2021) 年度から令和7(2025)年度までを期間とする「CLTの普及に向けた新ロードマップ~更なる利用拡大に向けて~」が作成され、関係省庁が連携して取り組んでいる。林野庁では、本ロードマップに基づき、CLTパネルの寸法の標準化や標準的な木造化モデルの作成・普及及び低コスト化に資する接合部の金物の開発、土木分野での活用等の取組を推進している(資料3-35)。令和8(2026)年3月には、同連絡会議において令和8(2026)年度以降を対象とした「CLTの普及に向けた第4次ロードマップ」が作成され、これまでの取組に加えて、建築物の環境性能等の見える化等の推進(建築物ライフサイクルカーボン評価(建築物LCCO2評価)や改正SHK制度(*97)を通じた炭素貯蔵効果の発信)、他構造へのCLTの部分利用の促進、国産CLTの輸出促進等の取組が盛り込まれた(資料3-36)。

資料3-36 CLTの普及に向けた第4次ロードマップ

(*96)内閣官房ホームページ「CLTを活用した建築物の竣工件数の推移」

(*97)SHK制度の見直しについては、特集第2節(2)18ページを参照。


3章挿絵

(低コスト化等に向けた新たな工法等の開発・普及)

非住宅・中高層建築物の木造化に向けて、新たな工法・木質部材の開発や低コスト化に向けた技術開発が進んでいる。

例えば、体育館、倉庫、店舗等の低層非住宅建築物等において柱のない大空間が求められる場合であっても、大断面集成材を使わず、製材品等の一般流通材で大スパン(*98)を実現できる工法が開発され、鉄骨造並みのコストで建設できるようになってきている(事例3-8)。

また、林野庁では、国土交通省と連携して、各地域での拡大が期待できる4階建ての事務所及び共同住宅について、コスト・施工性等の面で高い競争性を有し、広く展開が期待できる構法の解説集を取りまとめ、普及を行っている。

さらに、中高層建築物については、CLTや木質耐火部材の開発に加えて、木造建築物の合理化・低コスト化に資する新たな接合方法の検討・性能検証の取組が進められている(*99)。

事例3-8 カラマツ集成材を活用した23m超のスパンによる大空間の実現

株式会社マルオカ(⾧野県⾧野市)は、東信営業所・あさま工場(長野県東御(とうみ)市)において、地域で一般流通しているカラマツ集成材を活用して23m超のスパンによる大空間を実現した。

これまでは木造で大空間を実現するには、一般流通していない大断面や長尺の木材、特注の金物での構造設計となることが多く、コストや工期の関係から普及の障害となるケースがあった。また、地域の一般流通材を活用して大空間を実現した建築物について、参考となる事例も少ない状況であった。

そこで、同社はプレカット工場の建設に当たって、一般社団法人中大規模木造プレカット技術協会の有識者からアドバイスを受けつつ、意匠と構造の設計について打合せを行いながら進めることで、地域で一般流通している寸法のカラマツ集成材を活用して大空間を実現した。これにより既存の金物やプレカットラインを使うことができ、施工もスムーズに行うことが可能となった。

さらに、令和6(2024)年11月に、完成した工場の見学会を行うとともに、令和7(2025)年3月に安曇野(あづみの)市で行われた、ウッド・ビルディング・カンファレンス(建物を木造化・木質化するための展示会)において当該建築物のセミナーを行うなど、ノウハウの普及にも取り組んでいる。


(*98)建築物の構造材(主として横架材)を支える支点間の距離。

(*99)例えば、林野庁ホームページ「建築用木材の技術開発及び設計者等の育成の成果」の令和5年度当初予算事業(建築用木材供給・利用強化対策のうちCLT・LVL等の建築物への利用環境整備事業のうちCLT・LVL等を活用した建築物の低コスト化・検証等)を参照。



(内装・家具等における需要拡大)

今後、リフォーム等の市場の拡大が期待されることから、内装材についても、消費者ニーズに合わせた技術・製品の開発や販売が行われている。例えば、製造時に接着剤や釘を使用せず、木ダボのみで接合した積層材が開発されており、木の素材感を活かした内装材や家具に利用されている。また、購入者自らが敷くことのできる住宅用の無垢材の床板等、DIY需要に対応した製品も販売されている(*100)。

広葉樹材の輸入が減少する一方、国内広葉樹資源が増加している中で、これまであまり使用されてこなかった国内広葉樹の活用に向けた製品開発や供給体制の構築の取組が行われている。このような中、令和7(2025)年3月には、有識者で構成される「里山広葉樹利活用推進会議」により「里山広葉樹林の利活用を通じた再生に向けての提言」が取りまとめられた。林野庁ではこれを踏まえ、地域の里山広葉樹利活用に向けて需要側と供給側が集うプラットフォームの設立を図ることにより、広葉樹材の利活用に関する情報共有や、付加価値の高い里山広葉樹製品生産に向けたサプライチェーンの構築を推進していくこととしている。

このほか、針葉樹であるスギ材についても、軽さ、柔らかさ、断熱性、調湿作用、香り等の特性を活かして、建築物の内外装や家具類等に活用する取組もみられる(*101)。


(*100)例えば、「令和5年度森林及び林業の動向」特集第3節(3)の資料特-21(20ページ)を参照。

(*101)例えば、「令和5年度森林及び林業の動向」特集第3節(3)の資料特-20(20ページ)を参照。


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