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林野庁

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第1部 第3章 第2節 木材利用の動向(1)

(1)木材利用の意義

木材利用は、1)炭素の貯蔵、2)エネルギー集約的資材の代替、3)化石燃料の代替の3つの面で、地球温暖化の防止に貢献する。

樹木には、二酸化炭素を吸収・貯蔵する働きがあり、森林から搬出された木材を建築物等に利用することにより、炭素を⾧期的に貯蔵することができる。また、木材は再加工しやすいため、建築物等として利用した木材をパーティクルボード等に再利用すれば、再利用後の期間も炭素が貯蔵される。建築物等に利用される国産材の炭素貯蔵量の変化量については、パリ協定(*18)に基づく森林の二酸化炭素排出・吸収量の算定・報告に、伐採木材製品(HWP)(*19)として計上できることとされている。

また、木材は、製造・加工時のエネルギー消費が鉄やコンクリート等の建築資材よりも比較的少ないことから、建築物等への木材利用は、建築物等のライフサイクルを通じた二酸化炭素の排出削減に寄与する。

さらに、建築物等に利用された後の木材は、化石燃料の代わりに利用することができ、二酸化炭素の排出削減に寄与する。

あわせて、木材利用は、地球温暖化防止以外にも、循環型社会の形成、森林の有する多面的機能の発揮、地域経済の活性化に貢献する。

これらの木材利用の意義は、令和3(2021)年10月に施行された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(以下「都市まちの木造化推進法」という。)に規定されるとともに、循環型社会形成推進基本計画(令和6(2024)年8月閣議決定)や、地球温暖化対策計画(令和7(2025)年2月閣議決定)にも反映されている。

このほか、木材は、調湿作用や高い断熱性等に加え、生理・心理面に好影響があることから、快適で健康的な室内環境等の形成にも貢献する。

このような特徴を持つ木材を持続的に利用しながら、2050年ネット・ゼロの実現に貢献していくためには、森林資源の循環利用を確立することが重要である(資料3-10)。

また、我が国は、国際社会において、持続可能な木材利用の重要性・必要性について積極的に発信・共有している。令和5(2023)年に開催された「G7広島サミット」や、令和6(2024)年6月にイタリアで開催された「G7プーリアサミット」では、「持続可能な森林経営と木材利用の促進へのコミット」等が盛り込まれた成果文書が採択され、「持続可能な木材利用の促進」の重要性が認識されている(*20)。

資料3-10 循環利用のイメージ

(*18)パリ協定については、第1章第4節(2)93-94ページを参照。

(*19)HWPについては、第1章第4節(2)94-95ページを参照。

(*20)「G7 Hiroshima Leaders’ Communiqué(G7 広島首脳コミュニケ)」第24 パラグラフ、「Apulia G7 Leaders’ Communiqué(G7プーリア首脳コミュニケ)」



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