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林野庁

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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(3)

(3)木材価格の動向

(国産材の製材品価格等)

令和3(2021)年は、国内の住宅需要が回復する中で、米国における住宅着工の増加による木材需要の高まりや海上輸送の混乱等により、我が国において輸入木材の不足・価格高騰(*11)が発生した。また、輸入木材の代替として国産材の需要が高まり、国産材の製材品等の価格は春から大幅に上昇した。

令和6(2024)年は、国産材の製材品等の価格は令和3(2021)年のピークからは下落傾向にある。一方、国内企業物価指数が上昇している中ではあるものの、価格上昇前の令和2(2020)年と比較すると高い状況にある。国産材の製材品の年平均価格は、スギ正角(しょうかく)(乾燥材)は84,800円/m3(前年比9,800円/m3安)、ヒノキ正角(乾燥材)は103,400円/m3(前年比7,300円/m3安)となった(資料3-8)。

一方、令和6(2024)年の国産針葉樹チップの年平均価格は17,700円/トン(前年比1,000円/トン高)、国産広葉樹チップの年平均価格は21,900円/トン(前年比1,000円/トン高)となった(*12)。


(*11)令和3(2021)年における輸入木材の不足・価格高騰については、「令和3年度森林及び林業の動向」特集1第1節10-14ページを参照。

(*12)農林水産省「令和6年木材需給報告書」


コラム 令和3(2021)年の木材不足・価格高騰(いわゆるウッドショック)後の国産材利用の拡大

令和3(2021)年は、新型コロナウイルス感染症により新設住宅着工戸数が減少した令和2(2020)年から国内の住宅需要が回復する中で、米国における住宅着工の増加や、海上輸送の混乱に伴うコンテナの海上輸送運賃の高騰等により、輸入木材の不足・価格高騰が発生した。また、これに伴い、輸入木材の代替として国産材の需要が高まったことで、国産材の製材品等の価格が大幅に上昇した。

輸入木材については、それまで量・価格共に安定的とみられていたが、供給リスクが顕在化した。また、国産材については、国内の製材工場等は稼働率を上げて対応したものの、乾燥施設等の処理能力や労働力等がボトルネックとなり短期的な需要の増加に対応することができなかった。

こうした、いわゆるウッドショックの発生を受け、林野庁では、緊急の対応として、令和3(2021)年度に、川上から川下までの関係者による需給情報連絡協議会を中央及び全国7地区において3巡にわたって開催し、国産材製品への転換事例の周知などを行った。また、戦略的対応として、乾燥施設整備による国産材製品の供給力強化や、原木の安定的な供給に向けた間伐・路網整備の更なる推進等に必要な対策を実施した。各森林管理局では原木需要増に対し、立木販売の前倒し等、国有林材の供給量を調整し対応した。

また、川中・川下の関係者においては、輸入木材の供給リスクが顕在化したことで、国産材に対する意識が従前から変化してきている。

例えば川下においては、一般社団法人全国木材組合連合会及び全国建設労働組合総連合が令和4(2022)年に実施したアンケートによると、「ウッドショック」を経て「外材製品から国産材製品へ転換した」と回答した工務店の割合は、柱材では45.1%、横架材等では44.5%であった。また、同年に設立されたツーバイフォー建築における国産木材活用協議会の需給調査報告によると、コンポーネント会社における国産枠組壁工法構造用製材の国産材率は、令和3(2021)年度の8.9%に対し令和6(2024)年度は20.1%まで上昇する見込みとなっている。

川中においては、工務店やハウスメーカー等が部材を輸入木材から国産材に転換する動きを受けて、製材工場等でも国産材供給に向けた施設整備が進展している。例えば栃木県の二宮木材株式会社では、国産材を活用した横架材の生産を一層強化するため、加工機械の大規模化・高効率化や半製品保管庫の拡大を進めているほか、鹿児島県のMEC Industry株式会社では、令和4(2022)年に、国産材からCLTやツーバイフォー工法部材等を生産し、住宅等の製造・販売まで一貫して行う大規模工場が本格稼働するなど、各地で国産材の供給力を増強する動きがみられる。

国産枠組壁工法構造用製材の国産材割合

(国内の素材価格)

素材(*13)価格は、令和3(2021)年に国産材の需要の高まりなどを受けて上昇し、令和6(2024)年にかけては下落傾向にあるものの、価格上昇前の令和2(2020)年よりも高い状況にある。令和6(2024)年の年平均価格は、スギは15,900円/m3(前年比100円/m3高)、ヒノキは22,300円/m3(前年比300円/m3高)、カラマツは15,300円/m3(前年比700円/m3安)となった(資料3-8)。


(*13)製材・合板等の原材料に供される丸太等(原木)。



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