第1部 第1章 第2節 森林整備の動向(1)
(1)森林整備の推進状況
(森林整備による健全な森林づくり)
森林の有する多面的機能の適切な発揮に向けては、間伐や主伐後の再造林等の森林整備を確実に行いつつ、森林資源の適正な管理・利用を進めることが必要である。また、自然条件等に応じて、複層林化(*10)、⾧伐期化(*11)、針広混交林化や広葉樹林化(*12)を推進するなど、多様で健全な森林へ誘導することも必要となっている。
特に、水源涵(かん)養機能や山地災害防止機能・土壌保全機能等を発揮させるためには、樹冠や下草が発達し、樹木の根が深く広く発達した森林とする必要がある。このため、植栽、保育、間伐等の森林整備を適切に行う必要がある。
(*10)針葉樹一斉人工林を帯状、群状等に択伐し、その跡地に人工更新するなどにより、複数の樹冠層を有する森林を造成すること。
(*11)従来の単層林施業が40~50年程度以上で主伐(皆伐等)することを目的としていることが多いのに対し、これのおおむね2倍に相当する林齢以上まで森林を育成し主伐を行うこと。
(*12)針葉樹一斉人工林を帯状、群状等に択伐し、その跡地に広葉樹を天然更新等により生育させることにより、針葉樹と広葉樹が混在する針広混交林や広葉樹林にすること。
(森林整備の実施状況)
林野庁では、森林整備事業により、森林所有者等による間伐や再造林、路網整備等を支援するとともに、国有林野事業においては、間伐や再造林、針広混交林化等の多様な森林整備を実施している(*13)。また、国立研究開発法人森林研究・整備機構では、水源林造成事業により奥地水源地域の保安林を対象として、森林の造成等を実施している。
このような取組の結果、令和5(2023)年度の主な森林整備の実施状況は、人工造林面積が3.5万haであったほか、保育、間伐等の森林施業を行った面積が44万haであった(資料1-11)。
(*13)国有林野事業の具体的取組については、第4章第2節(1)-(2)196-204ページを参照。
(適正な森林施業の確保等のための措置)
森林の立木の伐採行為の実態や伐採後の森林の更新状況を把握することは、適正な森林施業の確保を図る上で重要となる。このため、市町村森林整備計画において標準的な森林施業等の方法を示すとともに、森林所有者等が立木の伐採を行おうとするときは、あらかじめ、市町村⾧に対して伐採及び伐採後の造林の届出を行う伐採造林届出制度を運用している。林野庁では、適正な伐採と更新の確保を一層図るため、権利関係や境界関係等を確認できる添付書類を規定する同制度の見直しを行い、令和5(2023)年度から運用を開始している。
また、無断伐採の未然防止を図るため、衛星画像を活用して伐採状況をインターネット上で把握するシステムを令和4(2022)年度から全都道府県・市町村に提供するなど、関係機関と連携した対策に取り組んでいる。
お問合せ先
林政部企画課
担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219