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林野庁

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第1部 特集 第4節 人と森林のより調和した関係を目指して(1)

(1)森林・林業基本計画の指向する森林の状態

(森林の有する多面的機能の発揮に関する目標)

森林は、国土の保全や水源の涵(かん)養、地球温暖化の防止、保健・レクリエーションの場の提供、生物多様性の保全に加えて木材の供給といった多様な恩恵を国民生活にもたらす「緑の社会資本」であり、これらの森林の多面的機能を高度かつ持続的に発揮させるため、多様な森林がバランス良く形成されるよう取組を進めることが必要となる。

そのため、森林・林業基本法に基づき政府が策定する森林・林業基本計画では、森林の有する多面的機能を発揮する上での望ましい姿と、その姿への誘導の考え方を、育成のための人為の程度や森林の階層構造に着目し、育成単層林(*37)・育成複層林(*38)・天然生林(*39)という区分ごとに明示している。さらに、将来的に指向する森林の状態も参考として示し、これに到達する過程の森林状態を同計画における5年後、10年後、20年後の目標としている。

このような区分の下、森林資源の充実と公益的機能の発揮を図りながら循環的に利用していくため、様々な生育段階や樹種から構成される森林が、重視すべき機能に応じてバランス良く配置された状態へと誘導することとしている。

特に、林地生産力が高く、傾斜が緩やかで、車道からの距離が近いなど自然的・社会的条件が良く林業に適した育成単層林では、主伐を行った後には植栽を行い、確実な更新によりこれを維持し、資源の循環利用を推進する。この中で、水源涵(かん)養機能又は山地災害防止機能・土壌保全機能の発揮を期待する森林では、伐採に伴う裸地化による影響を軽減するため、自然条件に応じて皆伐面積の縮小・分散や⾧伐期化を図るとしている。

また、林地生産力が低く、急傾斜で、車道からの距離が遠いなど林業にとって条件が不利な育成単層林は、自然条件に応じて択伐や帯状又は群状の伐採と広葉樹の導入等により針広混交林等の育成複層林に誘導する。

これらの取組を通じて、将来的に指向する森林の状態に向けて、育成単層林を現状の1,010万haから660万haにするとともに、育成複層林を現状の110万haから680万haにすることとしている(資料 特-25)。

このような考え方に即して、全国森林計画では広域流域ごとに森林の整備及び保全の目標を定めているとともに、都道府県知事が策定する地域森林計画及び森林管理局⾧が策定する国有林の地域別の森林計画が全国森林計画に即して立てられており、森林・林業基本計画で定められた諸施策が各地域で講じられるようになっている。


(*37)単一の樹冠層を構成する森林として人為により成立させ維持される森林のことで、植栽によるスギ・ヒノキ等からなる人工林等のことを指す。

(*38)森林を構成する林木を帯状若しくは群状又は単木で伐採し、一定の範囲等において、林齢や樹種の違いから複数の樹冠層を構成する森林として人為により成立させ維持される森林のことで、針葉樹を上木とし広葉樹を下木とする森林や、針葉樹と広葉樹など異なる林相の林分がモザイク状に混ざり合った森林等のことを指す。

(*39)主として自然に散布された種子等により成立し維持される森林のことを指す。



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