第1部 特集 第3節 花粉発生源対策の加速化と課題(2)
(2)スギ人工林の伐採・植替え等の加速化
花粉発生源対策を進めるため、花粉の少ない苗木の植栽、広葉樹の導入等に引き続き取り組むとともに、「花粉症対策の全体像」を踏まえ、以下の取組により伐採・植替え等を加速化させていくこととしている。
(スギ人工林伐採重点区域の設定)
「花粉症対策 初期集中対応パッケージ」では、人口の多い都市部周辺など(*23)において重点的に伐採・植替え等を実施する区域(スギ人工林伐採重点区域)を令和5(2023)年度内に設定することとされた。スギ人工林伐採重点区域においては、森林の集約化を進めるとともに、伐採・植替えの一貫作業の実施やそのために必要な路網整備を推進することとしている(資料 特-16)。スギ人工林伐採重点区域には、令和5(2023)年度末時点で約98万haのスギ人工林が設定されている。

(*23)(ア)県庁所在地、政令指定都市、中核市、施行時特例市及び東京都区部から50km圏内にあるまとまったスギ人工林のある森林の区域。
(イ)上記のほか、スギ人工林の分布状況や気象条件等から、スギ花粉を大量に飛散させるおそれがあると都道府県が特に認める森林の区域。
(意欲ある経営体への森林の集約化)
伐採・植替え等の加速化を進めるためには、現状で林業経営体による集約化が進んでいない森林においても伐採・植替えの実施を促していく必要がある。
そのため、スギ人工林伐採重点区域内で、森林経営計画の未作成森林を対象に、森林経営計画の作成と⾧期施業受委託契約の締結を条件として、林業経営体による森林所有者への伐採・植替えの働き掛け等を支援し、森林の集約化を推進している。
(伐採・植替えの一貫作業と路網整備の推進)
花粉発生源となるスギ人工林を減少させていくに当たっては、水源涵(かん)養機能や山地災害防止機能・土壌保全機能といった公益的機能が持続的に発揮されるよう、伐採後の適切な更新が必要である。そのため、伐採後の再造林を確実に確保する観点からも、伐採・植替えの一貫作業を推進している。
また、路網は、間伐や再造林等の施業を効率的に行うとともに、木材を安定的に供給するために重要な生産基盤であり、これまでも傾斜や作業システムに応じて林道と森林作業道を適切に組み合わせた路網の整備を推進してきた。スギ人工林伐採重点区域においても、スギ人工林の伐採・植替えに寄与する路網の開設・改良を推進している。
また、国有林においても、国土保全や木材需給の動向等に配慮しつつ、伐採・植替えに率先して取り組んでいる。
(その他の伐採・植替えの加速化の取組)
スギ人工林の伐採・植替えの加速化に際し、森林環境譲与税等を活用することにより、林業生産に適さないスギ人工林の広葉樹林化等の地方公共団体による森林整備を促進することとしている。
お問合せ先
林政部企画課
担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219