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林野庁

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第1部 第5章 第1節 復興に向けた森林・林業・木材産業の取組(3)

(3)復興への木材の活用と森林・林業・木材産業の貢献

(ア)林業・木材産業の被害と復旧状況

東日本大震災により、林地や林道施設等へ被害が生じた。また、木材加工流通施設や特用林産施設等も被災し(資料5-1)、大規模な合板工場や製紙工場も被災したことから、これらの工場に供給されていた合板用材や木材チップの流通が停滞するなど、林業への間接の被害もあった。さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の影響により、東日本地域ではしいたけ原木の調達が困難になり、しいたけの生産体制に大きな被害を受けた(*6)。

平成23(2011)年中に、被災工場が順次操業を再開したことに伴い、用材等の流通が回復した。現在、素材(*7)生産については震災前の水準以上になっており、木材製品の生産については、おおむね震災前の水準にまで回復している。


(*6)特用林産物については、第2節(2)188-191ページを参照。

(*7)製材・合板等の原材料に供される丸太等(原木)。



(イ)まちの復旧・復興に向けた木材の活用

(応急仮設住宅における木材の活用)

東日本大震災以前、応急仮設住宅のほとんどは、鉄骨プレハブにより供給されていたが、東日本大震災においては木造化の取組が進んだ。被災3県(岩手県、宮城県、福島県)では、約5.3万戸の応急仮設住宅のうち27.5%に当たる約1.5万戸が木造で建設された(*8)。


(*8)国土交通省調べ。



(災害公営住宅における木材の貢献)

「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23(2011)年7月東日本大震災復興対策本部決定、同年8月改定)では、津波の危険性がない地域では、災害公営住宅(*9)等の木造での整備を促進するとされており、住まいの復興工程表で計画されていた災害公営住宅のうち原発避難からの帰還者向けのもの等を除く2万9,230戸の工事が、令和2(2020)年度末に完了し、25.0%が木造で建設された(*10)。


(*9)災害により住宅を滅失した者に対し、地方公共団体が整備する公営住宅。

(*10)国土交通省調べ(令和2(2020)年12月時点)。



(公共施設等での木材の活用)

被災地では、新しいまちづくりに当たり、公共建築物等にも木材が活用されてきた。また、地域材を積極的に活用する取組も行われ、被災地域の復興のシンボル的な役割を担ってきた。

例えば、福島県田村(たむら)市において、福島県産材を活用し、避難解除後の帰還者の交通やコミュニティの拠点としてJR船引(ふねひき)駅に学習スペースやコミュニティスペースが整備された(資料5-2)。

資料5-2 JR船引駅(福島県田村市)
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(ウ)エネルギー安定供給に向けた木質バイオマスの活用

平成24(2012)年7月に閣議決定された「福島復興再生基本方針」では、目標の一つとして、再生可能エネルギー産業等の創出による地域経済の再生が位置付けられたこと等を受け、各県で木質バイオマス関連施設が稼働している。岩手県、宮城県、福島県においては、令和5(2023)年9月末時点で、主に間伐材等由来の木質バイオマスを使用する発電所34件がFIT・FIP認定され、そのうち21件が稼働している。また、木質バイオマスの熱利用については、宮城県気仙沼(けせんぬま)市や岩手県久慈(くじ)市で熱供給事業が行われている(*11)。


(*11)木質バイオマスのエネルギー利用については、第3章第2節(3)140-143ページを参照。



(エ)新たな木材工場の稼働

福島県浪江町(なみえまち)では、福島再生加速化交付金を活用し整備した福島高度集成材製造センター(FLAM(エフラム))が令和3(2021)年3月に完成し、令和4(2022)年7月より本格稼働している。県産材を活用した集成材を製造しており、中高層建築物等で活用されている。


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