第1部 第1章 第1節 森林の適正な整備・保全の推進(2)
(2)森林の適正な整備・保全のための森林計画制度
(ア)森林・林業基本計画
(森林・林業施策の基本的な方向を明示)

政府は森林・林業基本法に基づき、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林・林業基本計画を策定し、おおむね5年ごとに見直すこととしている。森林・林業基本計画(令和3(2021)年6月閣議決定)では、新技術を活用した「新しい林業」の展開や、木材産業の競争力の強化などに取り組むこととしており、間伐や再造林等により森林の適正な管理を図りながら、森林資源の持続的な利用を一層推進して引き続き林業・木材産業の成⾧産業化に取り組むことにより、2050年カーボンニュートラルに寄与する「グリーン成⾧」を実現していくこととしている。
(森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標)
森林・林業基本計画では、森林の整備・保全や林業・木材産業等の事業活動等の指針とするため、「森林の有する多面的機能の発揮」並びに「林産物の供給及び利用」に関する目標を定めている。
「森林の有する多面的機能の発揮」の目標では、5年後、10年後及び20年後の目標とする森林の状態を示しており、これに向けた森林の誘導の方向として、自然的・社会的条件の良い森林については育成単層林として整備を進めるとともに、急斜面の森林や林地生産力の低い育成単層林等については、自然条件等を踏まえつつ育成複層林としていくこととしている(資料1-6)。「林産物の供給及び利用」の目標では、10年後(令和12(2030)年)における国産材と輸入材を合わせた木材の総需要量を8,700万m3と見通した上で、国産材の供給量及び利用量の目標を令和元(2019)年の実績の約1.4倍に当たる4,200万m3としている(資料1-7)。
(森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策)
森林・林業基本計画では、森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策として、(ア)森林の有する多面的機能の発揮に関する施策、(イ)林業の持続的かつ健全な発展に関する施策、(ウ)林産物の供給及び利用の確保に関する施策、(エ)国有林野の管理経営に関する施策、(オ)その他横断的に推進すべき施策を定めている(資料1-8)。
(イ)全国森林計画・地域森林計画等
(全国森林計画等)

農林水産大臣は、森林法に基づき、5年ごとに15年を一期とする全国森林計画を策定し、全国の森林を対象として、森林の整備及び保全の目標、伐採立木材積や造林面積等の計画量、施業の基準等を示すこととされている。令和5(2023)年10月には、令和6(2024)年度から令和20(2038)年度までの15年間を計画期間とする新たな全国森林計画が策定された。
新たな全国森林計画では、盛土等の安全対策の適切な実施、木材合法性確認の取組強化、花粉発生源対策の加速化等の記述が追加されたほか、伐採立木材積や造林面積等の各種計画量について、新たな計画期間に応じた見直しが行われた(資料1-9)。
また、農林水産大臣は、全国森林計画の作成と併せて5年ごとに森林整備保全事業計画を定めることとされており、令和5(2023)年度には、現行計画に定める成果指標の達成状況を検証しつつ、令和6(2024)年度から令和10(2028)年度までの5年間を計画期間とする次期計画の検討を行った。
(地域森林計画等)
森林法に基づき、全国森林計画に即して全国158の森林計画区(流域)ごとに、都道府県知事は地域森林計画を、森林管理局⾧は国有林の地域別の森林計画を、それぞれ立てることとされており、各計画において地域の特性を踏まえた森林の整備及び保全の目標並びに森林の区域(ゾーニング)及び伐採等の施業方法の考え方が提示されている。また、市町村⾧は地域森林計画に適合して市町村森林整備計画を立てることとされており、全国森林計画と地域森林計画で示された水源涵(かん)養機能や木材等生産機能などの森林の機能の考え方等を踏まえながら、重視すべき機能に応じて各市町村が主体的に設定したゾーニングや、路網の計画を図示している。
お問合せ先
林政部企画課
担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
お問合せ先
林政部企画課
担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219