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第1部 第2章 第3節 山村(中山間地域)の動向(1)

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(1)山村の現状

(山村の役割と特徴)

その多くが中山間地域(*70)に位置する山村は、林業を始め様々な生業が営まれる場であり、森林の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしている。

「山村振興法」に基づく「振興山村(*71)」は、令和4(2022)年4月現在、全国市町村数の約4割に当たる734市町村において指定されており、国土面積の約5割、林野面積の約6割を占めているが、その人口は全国の2.5%にすぎない(*72)。


(*70)平野の外縁部から山間地を指す。国土面積の約7割を占める。

(*71)旧市町村(昭和25(1950)年2月1日時点の市町村)単位で林野率75%以上かつ人口密度1.16人/町歩未満(いずれも昭和35(1960)年時点)等の要件を満たし、産業基盤や生活環境の整備状況からみて、特にその振興を図ることが必要であるとして山村振興法に基づき指定された区域。1町歩は9,917.36m2(約1ha)である。

(*72)全国の面積・人口については総務省「令和2年国勢調査」、全国の林野面積については農林水産省「2020年農林業センサス」、振興山村の面積については農林水産省「2015年農林業センサス」、振興山村の林野面積については「2015年農林業センサス」と「2020年農林業センサス」により推計。



(過疎地域等の集落の状況)

山村においては、過疎化及び高齢化が進行し、集落機能の低下、さらには集落そのものの消滅につながることが懸念されている。

「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査(*73)」によると、平成27(2015)年度調査から令和元(2019)年度調査にかけて96市町村において164集落が消滅している。これらの集落の森林・林地の状況については、46%の集落で元住民、他集落又は行政機関等が管理をしているものの、残りの集落では放置されている(資料2-29)。また、山村地域の集落では、空き家の増加を始めとして、耕作放棄地の増大、獣害や病虫害の発生、働き口の減少、森林の荒廃等の問題が発生しており、地域における資源管理や国土保全が困難になりつつある(資料2-30)。


一方、山村には、豊富な森林資源や、水資源、美しい景観のほか、多様な食文化や木の文化を始めとする伝統・文化、生活の知恵や技等、有形無形の地域資源が数多く残されており、都市住民や外国人観光客は、このような地域資源に対し大きな関心を寄せている。また、地方移住に関する相談・問合せ数は増加傾向で推移しているほか(資料2-31)、令和3(2021)年6月に内閣府が行った「農山漁村に関する世論調査」によると、都市住民のうち農山漁村地域への移住願望がある者の割合は26.6%であった。地方公共団体では、林業の魅力を広めることで地方移住を支援する取組もみられる(事例2-8)。

事例2-8 和歌山県における「わかやま林業移住」の取組

和歌山県では、新規就業者を確保するため林業移住を推進しており、都市部等における「わかやま林業体感セミナー」の開催やSNSを活用した情報発信により、紀州林業の魅力を伝え、就業希望者の裾野を拡げるとともに、林業労働力確保支援センターや、わかやま移住定住支援センター、市町村と連携し、就業相談から林業事業体へのあっ旋、住まい・暮らしまで一貫したサポートを行っている。

さらに、就業前に林業の技術を習得するための取組として、和歌山県農林大学校林業研修部において林業の現場で必要な技術と知識の習得や資格の取得などを支援している。

これらの取組により、森林組合や林業事業体等への就業がみられ、林業による県外からの移住につながっている。


(*73)令和2(2020)年に総務省及び国土交通省が公表。


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