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第1部 第1章 第2節 森林整備の動向(1)

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(1)森林整備の推進状況

(森林整備による健全な森林づくりの必要性)

森林の有する多面的機能の適切な発揮に向けては、間伐や主伐後の再造林等を着実に行いつつ、森林資源の適切な管理・利用を進めることが必要である。また、自然条件等に応じて、複層林化(*12)、長伐期化(*13)、針広混交林化や広葉樹林化(*14)を推進するなど、多様で健全な森林へ誘導することも必要となっている。

特に、山地災害防止機能・土壌保全機能を発揮させるためには、樹冠や下草が発達し、樹木の根が深く広く発達した森林とする必要がある。このため、植栽、保育、間伐等の森林整備を適切に行う必要がある。

「国土強靱化基本計画」(平成30(2018)年12月閣議決定)では、森林の整備・保全等を通じた防災・減災対策を強化することとしている。また、継続的な林業生産活動や地域資源の活用による森林の保全管理を通じて国土保全機能を発揮させることとしている。その際、間伐や再造林とこれに必要な路網整備や、地域材の積極的な利用及び建築・土木分野でのCLT等の木材利用のための工法の開発等を進めることとしている。


(*12)針葉樹一斉人工林を帯状、群状等に択伐し、その跡地に人工更新等により複数の樹冠層を有する森林を造成すること。

(*13)従来の単層林施業が40~50年程度以上で主伐(皆伐等)することを目的としていることが多いのに対し、これのおおむね2倍に相当する林齢以上まで森林を育成し主伐を行うこと。

(*14)針葉樹一斉人工林を帯状、群状等に択伐し、その跡地に広葉樹を天然更新等により生育させることにより、針葉樹と広葉樹が混在する針広混交林や広葉樹林にすること。



(地球温暖化対策としての森林整備の必要性)

我が国におけるパリ協定下の森林吸収量の目標(令和12(2030)年度で約3,800万CO2トン(平成25(2013)年度総排出量比約2.7%))達成や、2050年カーボンニュートラルの実現への貢献のため、森林吸収量の確保・強化が必要となっている。

他方、我が国の人工林は、高齢林の割合が増え、二酸化炭素吸収量は減少傾向にあるとともに、主伐後の再造林が進んでいないことも課題となっている。

このため、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法(以下「間伐等特措法」という。)により、間伐等の実施や成長に優れた種苗の母樹(特定母樹(*15))の増殖を促進するとともに、特定母樹から採取された種穂から育成された苗木(特定苗木(*16))を積極的に用いた再造林を推進している。


(*15)エリートツリー等のうち、成長や雄花着生性等の基準を満たすものを「特定母樹」として指定(間伐等特措法第2条第2項)。

(*16)間伐等特措法第2条第4項



(森林整備の実施状況)

林野庁では森林整備事業により、森林所有者等による間伐や再造林、路網整備等を支援するとともに、国有林野事業においては、間伐や再造林、針広混交林化等の多様な森林整備を実施している(*17)。また、国立研究開発法人森林研究・整備機構では、水源林造成事業により奥地水源地域の保安林を対象として、森林の造成等を実施している。

このような取組の結果、令和3(2021)年度の主な森林整備の実施状況は、人工造林面積が約3.4万haであったほか、保育等の森林施業を行った面積が約50万ha、うち間伐の面積が約37万haであった(資料1-10)。

林野庁は、令和3(2021)年度から令和12(2030)年度までに、年平均で人工造林7万ha、間伐45万haとする目標を設定している。


(*17)国有林野事業の具体的取組については、第4章第2節(1)164-169ページを参照。



(適正な森林施業の確保等のための措置)

森林の立木の伐採行為の実態や伐採後の森林の更新状況を把握することは、適正な森林施業の確保を図る上で重要となるため、森林所有者等が立木の伐採を行おうとするときは、あらかじめ、市町村長に対して伐採及び伐採後の造林の届出を行うこととされている。林野庁では、令和3(2021)年9月に、適正な伐採と更新の確保を一層図るため、届出様式を伐採計画書と造林計画書に分け、伐採権者と造林権者の役割の明確化や造林計画の記載事項の充実を図るなど伐採造林届出制度の運用見直しを行った。

また、無断伐採の未然防止を図るため、衛星画像を活用して伐採状況をインターネット上で把握するシステムを令和4(2022)年6月に全都道府県・市町村に提供するなど、関係機関と連携した対策に取り組んでいる。

お問合せ先

林政部企画課

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