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第3章 木材需給・利用と木材産業

1.木材需給の動向

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(1)世界の木材需給の動向

➢ 世界の産業用丸太消費量は、近年およそ20億m3で推移し、2020年は前年比2%減の19億8,602万m3(丸太換算。以下同じ)

➢ 世界の産業用丸太の輸入量は前年比3%減の1億3,615万m3。最大の輸入国は中国で、世界の輸入量に占める割合は近年上昇し、2020年は44%


(2)我が国の木材需給の動向

➢ 木材需要量は、2009年を底に増加傾向だが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、前年比9.1%減の7,444万m3

➢ 国産材供給量は、2002年を底に増加傾向で、2020年は前年比0.5%増の3,115万m3

➢ 木材輸入量は、2020年は製材品等の木材製品の輸入量が減少したことにより、前年比15%減の4,329万m3

➢ 木材自給率は、上昇傾向で推移しており、 2020年には10年連続で上昇し、前年比4.0ポイント上昇の41.8%と1972年以来の40%超えを記録。製材用材は前年比0.6ポイント上昇の47.2%


2020年の木材需給の構成

(3)木材価格の動向

➢ 2021年のスギ・ヒノキの製材品価格は大幅に上昇、素材価格は上昇、国産の木材チップ価格はやや下落


(4)違法伐採対策

➢ 2017年に施行された合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律により、全ての事業者は、合法伐採木材等を利用するよう努めなければならないと規定
 特に木材関連事業者は、取り扱う木材等について合法性の確認等の取組を実施

➢ 合法伐採木材等利用確保のための措置を適切かつ確実に行う木材関連事業者は、「登録木材関連事業者」として登録。現在、登録件数は581件(2022年3月末時点)。第一種登録木材関連事業者によって合法性が確認された木材は約3,000万m3(2020年木材需要量の約4割)


2.木材利用の動向

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(1)建築分野における木材利用

建築分野全般における取組

➢ 1~3階建ての低層住宅については、木造率は80%を超えるが、4階建て以上の中高層建築物及び非住宅建築物の木造率はいずれも低位

➢ 住宅分野は木材需要において重要。非住宅・中高層分野は需要拡大の余地

➢ 建築物における木材利用をさらに促進するため、対象を公共建築物から建築物一般に拡大すべく、2021年10月1日に公共建築物等木材利用促進法を改正。創設された「建築物木材利用促進協定制度」については、2022年3月15日時点で、国において5件、地方公共団体において5件の協定が締結


公共建築物等における木材利用

➢ 2020年度に着工された公共建築物の木造率(床面積ベース)は13.9%、うち低層は29.7%

➢ 都道府県ごとでは、低層の木造率にばらつきがあるものの、4割を超える県も存在

➢ 林野庁では、木造非住宅建築物の整備に取り組む地域協議会に対し、専門家派遣などの技術的支援を実施

➢ また、地域材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化・内装木質化を支援


(2)木質バイオマスの利用

木質バイオマスのエネルギー利用

➢ エネルギー利用された木質バイオマス量は年々増加し、2020年における燃料材の国内消費量は前年比23%増の1,280万m3、うち国内生産量は同29%増の892万m3

➢ 再生可能エネルギーの固定価格買取制度により木質バイオマス発電施設が各地で稼働

➢ 原料の製造から最終的な燃料利用に至るまでの温室効果ガス排出量の総量(ライフサイクルGHG)削減の観点等から、地域の森林資源を熱利用・熱電併給により持続的に活用する「地域内エコシステム」の構築を推進

コラム:木質バイオマスエネルギーの利用量を分析

木質バイオマスのマテリアル利用

➢ 木材の工業用素材としての利用に向けた動きが進展

➢ 軽量ながら高強度の素材であるCNF(セルロースナノファイバー)は、製造設備が各地で稼働し、運動靴、塗料等として一部実用化

➢ リグニンは、高付加価値材料への展開が期待される樹脂素材であり、改質リグニンの実用化に向けた製品開発を推進

イメージキャラクター

事例 世界初の改質リグニン実証プラントが稼働


改質リグニン実証プラント(写真提供:(株)リグノマテリア)

➢ 株式会社リグノマテリアを中⼼とする共同事業体は、年間約100トンの改質リグニンを生産する世界初の実証プラントの試験生産を開始

➢ 企業へのサンプル供給を通じ、製品開発を促進。今後、年産数千トン規模の商用プラントを近辺に整備することを目指す


(3)消費者等に対する木材利用の普及

➢ 一般消費者を対象に木材利用の意義を普及啓発するため、2021年10月に施行された木材利用促進法で、10月が「木材利用促進月間」として位置付けられたこと等を踏まえ、多様な主体による「木づかい運動」を展開

➢ 「ウッドデザイン賞」では、木の良さや価値を再発見させる製品や取組等について、消費者目線で評価・表彰し、2021年度は191点が受賞

➢ 子供から大人までが木の良さや利用の意義を学ぶ「木育(もくいく)」を推進
 ワークショップや、関係者間のネットワーク構築等、様々な活動を実施


3.木材産業の動向

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(1)木材産業の概況

➢ 木材・木製品製造業の付加価値額は、2009年を底に回復傾向で推移し、2019年は前年比3.7%増の約87百億円


(2)木材産業の各部門の動向

(ア)製材業

➢ 製材品出荷量は2010年以降はほぼ横ばいで推移し、2020年は前年比9.2%減の820万m3
 製材用素材入荷量の78%が国産材


(イ)集成材製造業

➢ 国内における集成材の生産量は、2020年には174万m3。このうち構造用が167万m3。集成材の製品輸入は102万m3で、集成材供給量全体に占める国産材の割合は増加傾向


(ウ)合板製造業

➢ 普通合板の生産量は、2020年には前年比10.1%減の300万m3であり、用途別では構造用が大半

➢ 合板への国産材針葉樹の利用が拡大し、2020年には国内の合板生産における国産材割合は91%に上昇
 輸入製品を含む合板用材需要量全体に占める国産材割合は47%で増加傾向


(エ)木材チップ製造業

➢ 2020年の木材チップ(燃料用チップを除く。)の生産量は前年比9.7%減の475万トン。原木以外に解体材・廃材、工場残材等から生産。一方、木材チップの輸入量は2020年には949万トン


(オ)プレカット製造業

➢ 木造軸組構法におけるプレカット加工率は2020年には93%まで拡大


(カ)木材流通業

➢ 2018年の国産原木の流通において、素材生産者から木材市売市場等に出荷したものは41%、木材販売業者等へ販売されたものは19%、伐採現場等から工場へ直送されるものは40%であり、直送の割合は増加傾向



お問合せ先

林政部企画課

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