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林野庁

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第2章 林業と山村(中山間地域)

1.林業の動向

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(1)林業生産の動向

➢ 我が国の林業産出額は増加傾向で推移しているが、2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により前年比3%減の4,831億円

➢ このうち約5割を占める木材生産は前年比9%減の2,464億円


(2)林業経営の動向

➢ 「2020年農林業センサス」によると、林家69万戸のうち保有山林面積が10ha未満の林家が88%を占め、小規模・零細な所有構造

➢ 林業経営体数は約3.4万経営体で、2005年の約20万経営体から大幅に減少

➢ 一方、1林業経営体当たりの平均素材生産量は増加し、年間素材生産量が1万m3を超える林業経営体は7割まで伸展し、規模拡大が進行

➢ 森林組合は、森林整備の中心的な担い手となっており、林業従事者や山元への一層の利益還元に向けて、経営基盤の強化が必要

➢ 林野庁は、林業経営における収益性の向上を図るため、提案型集約化施業を担う「森林施業プランナー」 、木材の有利販売等を担う「森林経営プランナー」の育成を支援



(3)林業労働力の動向

➢ 林業従事者数は、4.5万人(2015年)で減少傾向であり、従事者の確保・育成や所得の向上、労働安全の確保等が課題
 一方で、若年者率は全産業で低下する中、ほぼ横ばいで推移し、平均年齢は若返り傾向

➢ 林業の労働災害発生率は他産業に比べて高いため、林業経営体に対する安全巡回指導や、林業従事者に対する各種の研修等を実施

➢ 林業従事者の通年雇用化が進展し、年間平均給与も343万円(2017年)まで上昇しているが、全産業より100万円程度少ない状況

➢ 林業に従事する女性割合は低いが、近年、林業の機械化による女性活躍の場や女性が働きやすい環境を整える取組を推進

コラム:林業労働災害の発生状況

コラム:林業活性化に向けた女性の取組

(4)林業経営の効率化に向けた取組

施業の集約化等

➢ 効率的な作業システムにより生産性向上を図るためには、複数の所有者の森林を取りまとめ、路網整備や間伐等の森林施業を一体的に実施する「施業の集約化」が必要

➢ 森林経営計画制度や森林経営管理制度の運用、「森林施業プランナー」の育成により施業集約化を推進

➢ 所有者が不明な森林、境界が不明確な森林の存在が施業集約化の課題

➢ 所有者や境界の情報等を一元的に管理する林地台帳の活用、都道府県での森林クラウドの導入により、林業経営体に対して施業集約化に必要となる森林情報の提供を推進


路網の整備

林内路網の現状と整備の目安

➢ 森林資源の充実や災害の激甚化等を踏まえ、強靱(じん)で災害に強く、木材の大量輸送にも対応した林道の整備を始め、林業・山村の基盤となる路網整備を積極的に推進


「新しい林業」に向けて

➢ 新たな森林・林業基本計画に基づき、新技術を活用して生産性や安全性を向上させ、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」に向けた取組を推進

➢ 現時点で実装可能な高性能林業機械や一貫作業システムの導入、低密度植栽等の取組により、生産性の向上や造林作業の省力化、作業員賃金を向上させた上で、林業経営の黒字化が可能と試算
 「新しい林業」では、エリートツリーや遠隔操作・自動化機械等の導入により、黒字幅を拡大可能と試算

➢ 林野庁では、ICTを活用したスマート林業や、先端技術を活用した機械開発等を推進

コラム:素材生産費等の推移を分析

2. 特用林産物の動向

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(1)きのこ類等の動向

➢ 特用林産物は林業産出額の約5割

➢ 特用林産物の生産額の8割以上がきのこ類で、その生産量については近年ほぼ横ばい

➢ きのこ生産者戸数は減少傾向

➢ きのこ類の消費拡大に向けた取組を支援

(2)薪炭・竹材・漆の動向

➢ 木炭の生産量は長期的に減少傾向で推移

➢ 竹材の生産量は2010年から増加に転じたが、2020年は前年より4%減少し、103万束(3.1万トン)

➢ 国産漆の生産量は、2014年度に文化庁が国宝・重要文化財建造物の保存修理に原則として国産漆を使用する方針としたことを背景に、近年増加傾向で推移


3.山村(中山間地域)の動向

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(1)山村の現状

➢ 山村は、林業を始め様々な生業が営まれる場であり、森林の多面的機能の発揮に重要な役割

➢ 「山村振興法」に基づく振興山村は国土面積の約5割、林野面積の約6割を占めるが、過疎化・高齢化が進行し、空き家の増加等、様々な問題が発生

➢ 山村集落の維持・活性化を図る上で、地域資源を活かした産業の育成や、農林地の管理及び利用等を担う集落の新たな支え手の確保が重要


(2)山村の活性化

➢ 山村の豊富な森林・水資源、景観、文化等に対しては、都市住民や外国人旅行客から大きな関心

➢ 山村地域での生活を成り立たせていくためには、地域資源を活かした産業の育成等を通じた山村の内発的な発展が不可欠であり、森林資源を活用して、林業・木材産業を成長発展させるほか、特用林産物、広葉樹、ジビエなどの地域資源の発掘と付加価値向上等の取組を支援

➢ 協働活動を通じたコミュニティの維持・活性化のため、地域住民や地域外関係者(関係人口等)による里山林の継続的な保全管理や利用等の協働活動を促進

➢ 林業高校・大学校への就学、「緑の雇用」事業によるトライアル雇用等を契機とした移住・定住を促進

➢ 健康、観光、教育等の多様な分野で森林空間を利用しようとする新たな動きを受け、山村地域における新たな雇用と収入機会を生み出し、関係人口の創出・拡大にもつながる「森林サービス産業」の創出を推進

イメージキャラクター

事例 企業の健康経営を新たなターゲットに森林空間を活用したモニターツアーを実施


➢ NPO法人猪之頭振興協議会(静岡県富士宮(ふじのみや)市)は、地域資源を活かしたインバウンド向けツアーの実施等の取組を従来より実施

➢ 健康経営に取り組む企業に着目した新たな体験ツアーでは、参加者は、森林空間で自己と向き合う瞑(めい)想、湧水を巡るe-bike(電動アシストマウンテンバイク)ツアー、ご来光を浴びる早朝リラックスプログラムなどを体験し、心身の健康状態を計測

➢ 心理的回復効果は、体験後1か月間持続するとの結果。これら心身の健康状態のデータは、健康経営に興味のある地元企業にも共有



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219